深夜図書

書評と映画評が主な雑記ブログ。不定期に23:30更新しています。独断と偏見、ネタバレ必至ですので、お気をつけ下さいまし。なお、ブログ内の人物名は敬称略となっております。

悲しみのイレーヌ/ピエール・ルメートル~文学という歪んだ鏡に映るのはなに?~

≪内容≫ 『その女アレックス』のヴェルーヴェン警部のデビュー作。 奇怪な連続殺人をめぐる物語がたどりつく驚愕の真相。 「その女アレックス」の前作です。 奇怪な連続殺人をめぐる物語というより猟奇的な殺人という言葉が合うかなぁ。 もうとりあえず気持ち…

ちびくろ・さんぼ~トラがバターになったりミツバチになったりするアレ~

≪内容≫ あるところにかわいいくろいおとこの子がいました。なまえをちびくろ・さんぼといいました。 さんぼが新品の服を着て森を歩いているとトラが次々あらわれて?! かの有名なトラがぐるぐる回ってバターになっちゃう話です! 私が小さい頃に読んだ絵本っ…

凛の世界/~写真を見るのは大好きだけど、自分で撮ると虚しくなる~

≪内容≫ 銀塩写真と俳句で綴る、凛の世界。 本屋さんで試し読みしてすごく気に入った写真集です。 写真に合う俳句がついていて、その言葉の美しさと、短い文字数で表現できる言葉の力を感じた一冊。 白銀の世界 ※写真集の中の写真ではありません。 私は埼玉県…

ねじまき鳥クロニクル第三部♦鳥刺し男編/村上春樹

≪内容≫ 僕は少しずつ核心に近づいている。猫は戻る、笠原メイは遠い場所から手紙を書き続ける、間宮中尉はもうひとつの秘密を打ち明ける。ねじまき鳥に導かれた謎の迷宮への旅。第3部完結編。 新しい重要なキャラクターが出てきます。 この作品は今までの村…

ねじまき鳥クロニクル第二部♦予言する鳥編/村上春樹

≪内容≫ 致命的な記憶の死角とは?失踪したクミコの真の声を聴くため、僕は井戸を降りていく。 第二部はタイトル「ねじまき鳥」のねじについての話が出てきます。 自らを「ねじまき鳥」という主人公は、笠原メイに「ねじまき鳥さん」と話しかけられます。 最初…

ねじまき鳥クロニクル♦第一部泥棒かささぎ編/村上春樹

≪内容≫ ねじまき鳥が世界のねじを巻くことをやめたとき、平和な郊外住宅地は、底知れぬ闇の奥へと静かに傾斜を始める…。駅前のクリーニング店から意識の井戸の底まで、ねじのありかを求めて探索の年代記は開始される。 すごく面白いです。 三部作なので読め…

最後の息子/吉田修一~海に近い土地って何か特別(独特)なものがあるのかなぁ?~

≪内容≫ 新宿でオカマの「閻魔」ちゃんと同棲して、時々はガールフレンドとも会いながら、気楽なモラトリアムの日々を過ごす「ぼく」のビデオ日記に残された映像とは…。第84回文学界新人賞を受賞した表題作の他に、長崎の高校水泳部員たちを爽やかに描いた「W…

私の男/桜庭一樹~与えるでも奪うでもなく、サポート出来るような人間になりたい~

≪内容≫ 落ちぶれた貴族のように、惨めでどこか優雅な男・淳悟は、腐野花の養父。孤児となった10歳の花を、若い淳悟が引き取り、親子となった。そして、物語は、アルバムを逆から捲るように、花の結婚から2人の過去へと遡る。内なる空虚を抱え、愛に飢えた親…

ラスカルの扇風機~感性は形はないけれど、形ある物に宿るなぁと思った話~

小学校のときに買ってもらった(と思う)ラスカルの扇風機。 部屋の扇風機として近くのホームセンターで買ってもらいました。 中学生は平日はもちろん土日も夏休みや冬休みも部活だったので、ほとんど使うこともなく、高校生になるとさらに遊びまわったりクー…

クジラの彼/有川浩~いい年した大人が活字でベタ甘ラブコメできゅんきゅんしました~

≪内容≫ 『浮上したら漁火がきれいだったので送ります』。それが2ヶ月ぶりのメールだった。彼女が出会った彼は潜水艦(クジラ)乗り。ふたりの恋の前には、いつも大きな海が横たわる――有川浩がおくる制服ラブコメ短編集! 図書館戦争や3匹のおっさんでお馴染み(…