深夜図書

書評と映画評が主な雑記ブログ。不定期に23:30更新しています。独断と偏見、ネタバレ必至ですので、お気をつけ下さいまし。なお、ブログ内の人物名は敬称略となっております。

【映画】ティファニーで朝食を~おもちゃの指輪にも名前を刻めば立派になるのさ~

≪内容≫ 輝く宝石のようなオードリーの魅力をちりばめた、素敵でおしゃれなラブ・ストーリー。彼女と駆け出しの作家ポールとのロマンスは、アカデミー賞(R)にも輝いたヘンリー・マンシーニの主題歌「ムーン・リバー」のメロディと共にいまも多くの女性の心を…

乳と卵/川上未映子~ジェンダーレス、どうでしょう?~

≪内容≫ 第138回芥川賞・受賞作品。現代の樋口一葉の誕生! 初潮を迎える直前で無言を通す娘と、豊胸手術を受けようと上京してきた母親、そしてその妹である「わたし」が三ノ輪のアパートで過ごす三日間の物語。三人の登場人物の身体観と哲学的テーマが鮮やか…

池袋ウエストゲートパーク/石田衣良~大人たちは良いことを教えるけど、死ぬほど好きになれる何かを教えてくれるわけじゃない。~

≪内容≫ 池袋西口公園(おれたちはカッコつけるときはいつも「ウエストゲートパーク」と呼んでいた)の本当の顔は週末の真夜中。噴水のまわりの円形広場はナンパコロシアムになる。ベンチに女たちが座り、男たちはぐるぐると円を描きながら順番に声をかけていく…

【映画】時計じかけのオレンジ~インテリジェンスバイオレンスファッション~

≪内容≫ 巨匠のレンズを覗くと見えてくるもの:それは素晴らしく貴重で、感動に満ちた素晴らしい世界。喧騒、強盗、歌、タップダンス、暴力。山高帽の反逆児アレックス(マルコム・マクダウェル)は、今日も変わらず最高の時間を楽しんでいた ― 他人の犠牲の上に…

【映画】カポーティ~死は無意識に生者にコミットする~

≪内容≫ 1959年、カンザスの田舎町で一家4人が惨殺される事件が発生。作家トルーマン・カポーティは、事件にかつてない好奇心をそそられ、死刑判決を受けた被告人ペリー・スミスに近づく。6年間に及ぶペリーへの取材を経て、カポーティは衝撃の作品を描き上げ…

【映画】ギルバート・グレイプ~何かを手にするために、何かを捨てなくたっていい~

≪内容≫ ある田舎を舞台に家族愛を描いた、ジョニー・デップ、ジュリエット・ルイス、レオナルド・ディカプリオ共演で贈る感動の人間ドラマ。 これ冒頭とラストの描き方がすごく好きです。こういうの大好きです。最後まで見たら、もう一度最初に戻りたくなる…

クリスマス・キャロル/ディケンズ~子どもはどこにも行けない~

≪内容≫ クリスマスの前夜、ケチで意地悪なスクルージ爺さんの前に、7年前に死んだはずの共同経営者マーレイの幽霊が現われた。そしてスクルージは、3人の精霊によって自分の過去・現在・未来の姿を見せられる…。文豪ディケンズが、クリスマスを舞台に人間の…

不思議の国のアリス/ルイス・キャロル~現実世界を殺伐としないために非現実がある~

≪内容≫ ある昼下がり、アリスが土手で遊んでいるとチョッキを着た白ウサギが時計を取り出しながら、急ぎ足に通り過ぎ、生き垣の下の穴にぴょんと飛び込みました。アリスも続いて飛び込むと、そこは…。チェシャーネコ、三月ウサギ、帽子屋、ハートの女王など…

少年カフカ/村上春樹~静かにタフになりましょう~

≪内容≫ 「海辺のカフカ」出版以前に公式ホームページで読者とのやりとりをした、往復2440通を掲載。さらに著者自身が初めて自分自身について語る。村上春樹の研究書としても面白い、「海辺のカフカ」マガジン。 ブログ書きたくて書きたくてしょーがないんで…

アンナカレーニナ/トルストイ~生きるって地道の連続~

≪内容≫ 青年将校ヴロンスキーと激しい恋に落ちた美貌の人妻アンナ。だが、夫カレーニンに二人の関係を正直に打ち明けてしまう。一方、地主貴族リョーヴィンのプロポーズを断った公爵令嬢キティは、ヴロンスキーに裏切られたことを知り、傷心のまま保養先のド…