深夜図書

書評と映画評が主な雑記ブログ。不定期に23:30更新しています。独断と偏見、ネタバレ必至ですので、お気をつけ下さいまし。なお、ブログ内の人物名は敬称略となっております。

書評-恋愛・人生

お供え/吉田 知子~知らない間に人間ではない何かになっていた~

≪内容≫ 家の前に供えられる花、庭に投げ込まれるお金。知らぬ間に神様に祀り上げられてしまった未亡人を絶妙な筆致で描く、川端賞受賞の表題作ほか6篇を収録。 これはけっこう怖いです。 川端康成はまだ、恋愛とか品のある男女が出てきてたのでそこまでおど…

水の精-ウンディーネ-~300冊以上読んだ中で一番最低な男~

≪内容≫ 妖しい森で道に迷った騎士フルトブラントは、湖の岸辺に立つ一軒の漁師小屋にたどり着く。そこで出会ったのは、可憐にして妖艶、無邪気で気まぐれな美少女ウンディーネだった。恋に落ちた二人は結婚式をあげるが…。水の精と人間の哀しい恋を描いたド…

若きウェルテルの悩み~ゲーテから学ぶ感情表現の美しさ~

≪内容≫ ゲーテ自身の絶望的な恋の体験を作品化した書簡体小説で、ウェルテルの名が、恋する純情多感な青年の代名詞となっている古典的名作である。許婚者のいる美貌の女性ロッテを恋したウェルテルは、遂げられぬ恋であることを知って苦悩の果てに自殺する………

奇想と微笑―太宰治傑作選/森見登美彦~DAZAIは割とお茶目さんなのである~

≪内容≫ 中学校の国語の時間。「走れメロス」の音読テープに耳をふさいだ森見少年は、その後、くっついたり離れたりを繰り返しながらも、太宰の世界に惹かれていった―。読者を楽しませることをなによりも大切に考えた太宰治の作品群から、「ヘンテコであるこ…

Red/島本理生~人とぶつかることで解ける呪い~

≪内容≫ 夫の両親と同居する塔子は、可愛い娘がいて姑とも仲がよく、恵まれた環境にいるはずだった。だが、かつての恋人との偶然の再会が塔子を目覚めさせる。胸を突くような彼の問いに、仕舞い込んでいた不満や疑問がひとつ、またひとつと姿を現し、快楽の世…

生まれたままの私を/加藤ミリヤ~鏡に映る自分と自分が思う自分が乖離している~

≪内容≫ 女性の裸を描き続けているヌード専門画家のミク。初めて開いた個展で、孤独を纒った美しい青年に出会う。この人が欲しい―彼をひと目見た瞬間、ミクの体内に始まりのサイレンが鳴り響く。ひとりの時間を愛し、絵を描くことで自分の存在する意味を探る…

恋しくて - TEN SELECTED LOVE STORIES~言葉を交わしたり関わりあうだけが恋ではないと思う~

≪内容≫ 村上春樹が選んで訳した世界のラブ・ストーリー+書き下ろし短編小説。 本作には9作品と、村上春樹氏による「恋するザムザ」の計10編が収録されている。 私はその中から一番恋愛要素が薄く、一番心に残った一作品を紹介しようと思います。 テレサ アン…

小島信夫の「馬」を読む/表現の冒険

≪内容≫ 既成の通念を乗り越えようとする果敢な試み―言葉の生命力を生かして、新しい文学表現の可能性を追求した十二篇。 若い読者のための短編小説案内/村上春樹 を読んでからずっと気になってた「馬」。 村上さんの本ですでに読む準備が自分で出来ていたの…

クジラの彼/有川浩~いい年した大人が活字でベタ甘ラブコメできゅんきゅんしました~

≪内容≫ 『浮上したら漁火がきれいだったので送ります』。それが2ヶ月ぶりのメールだった。彼女が出会った彼は潜水艦(クジラ)乗り。ふたりの恋の前には、いつも大きな海が横たわる――有川浩がおくる制服ラブコメ短編集! 図書館戦争や3匹のおっさんでお馴染み(…

人のセックスを笑うな/山崎ナオコーラ~あなたにしかない個性を世間に奪われないで~

≪内容≫ 19歳のオレと39歳のユリ。恋とも愛ともつかぬいとしさが、オレを駆り立てた——「思わず嫉妬したくなる程の才能」と選考委員に絶賛された、せつなさ100%の恋愛小説。第四一回文藝賞受賞作。 セックスって文学の中ではたくさんの意味があるんだろうな、…

動かないで/マルガレット・マッツアンティーニ~動かないで、ここにいて~

≪内容≫ 外科医ティモーテオの愛娘が交通事故に遭い、彼が勤める病院に運び込まれる。意識不明の娘の枕許で彼が語りだしたのは、惨めで、みすぼらしい、彼が唯一愛した女の話だった-。イタリア文学界の最高峰、ストレーガ賞受賞作。 これもばらばら~のために…

禁色/三島由紀夫~芸術とは、表現とは、美とは、何か。~

≪内容≫ 女を愛することの出来ない同性愛者の美青年を操ることによって、かつて自分を拒んだ女たちに復讐を試みる老作家の悲惨な最期。 岡本太郎→バタイユ→三島由紀夫という典型的な流れになっています。 岡本太郎やバタイユを知る前に三島由紀夫の「春の雪―…

女生徒/皮膚と心/葉桜と魔笛/太宰治~世の中の人というものは、お互い、こわばった挨拶をして、用心して、そうしてお互いに疲れて、一生を送るものなのでしょうか。~

≪内容≫ 「幸福は一夜おくれて来る。幸福は、―」。女性読者から送られてきた日記をもとに、ある女の子の、多感で透明な心情を綴った表題作。名声を得ることで破局を迎えた画家夫婦の内面を、妻の告白を通して語る「きりぎりす」、情死した夫を引き取りに行く…

白河夜船/吉本ばなな~この世にあるすべての眠りが、等しく安らかでありますように。~

≪内容≫ いつから私はひとりでいる時、こんなに眠るようになったのだろう―。植物状態の妻を持つ恋人との恋愛を続ける中で、最愛の親友しおりが死んだ。眠りはどんどん深く長くなり、うめられない淋しさが身にせまる。ぬけられない息苦しさを「夜」に投影し、…

愛する言葉/岡本太郎、敏子~いつでも愛はどちらかの方が深く、切ない~

≪内容≫ 天才芸術家、岡本太郎とそのパートナー岡本敏子。二人が遺した、激しく熱く純粋な、男が男のまま、女が女のまま、愛するためのメッセージ。 愛ってなんだと思う?と親友に聞いたらこの本を薦められました。 疑問を投げかけたとき、いつも答えが見つか…

ホットロード/紡木たく~ずっとずーっと長いあいだいっしょにいたよーな気がするんだ、オヤよりも~

≪内容≫ 子供のやさしさと正義を持ちながら。自分のことすら見えずただひたすらテイルランプの光を追う主人公和希。欠落した恐怖心と生意気な顔を持つ少年ハルヤマ…。追いかける瞳を笑うように、細いうしろ姿は一瞬の狂気を抱いて走っていた――。 漫画原作の映…

すべて真夜中の恋人たち/川上未映子~一人の女性のとても人間臭くてとても美しい小説~

≪内容≫ 「真夜中は、なぜこんなにもきれいなんだろうと思う」。わたしは、人と言葉を交わしたりすることにさえ自信がもてない。誰もいない部屋で校正の仕事をする、そんな日々のなかで三束さんにであった―。究極の恋愛は、心迷うすべての人にかけがえのない…

ぼくんち/西原理恵子~泣いてるヒマがあったら笑え!そして生きろ!~

≪内容≫ 「ぼくのすんでいるところは―/山と海しかない しずかな町で―/はしに行くとどんどん貧乏になる。/そのいちばん はしっこが/ぼくの家だ―」。腹違いの兄、一太。突然現れた、美しくてやさしい年の離れた姉、神子(かのこ)。そして「ぼく」、二太。…

トーマの心臓Lost heart for Thoma/森博嗣~オスカーはロンギヌスの槍?~

≪内容≫ ユーリに手紙を残して死んだトーマという美しい下級生。ユーリを慕っていたという彼は、なぜ死を選んだのか。良家の子息が通う、この学校の校長のもとに預けられたオスカーは、同室のユーリにずいぶんと助けられて学生生活を送ってきた。最近不安定な…

トーマの心臓/萩尾望都~死を以て生と成す~

≪内容≫ 冬の終わりのその朝、1人の少年が死んだ。トーマ・ヴェルナー。そして、ユーリに残された1通の手紙。「これがぼくの愛、これがぼくの心臓の音」。信仰の暗い淵でもがくユーリ、父とユーリへの想いを秘めるオスカー、トーマに生き写しの転入生エーリク…

自殺直前日記/山田花子~私の中のもやもやを吐き出した愚痴日記~

≪内容≫ 1992年5月、高層住宅の11階から飛び降り自殺し、24年の短い生涯を閉じた“カルト漫画家”山田花子。死後六年を経過した現在も“信者”とも言える熱狂的なファンを増やし続けている彼女が、死の前日まで記していた日記が存在した。テレビ、新聞、雑誌など…

さよなら渓谷/吉田修一~愛ではないと思う・・・~

≪内容≫ 緑豊かな桂川渓谷で起こった、幼児殺害事件。実母の立花里美が容疑者に浮かぶや、全国の好奇の視線が、人気ない市営住宅に注がれた。そんな中、現場取材を続ける週刊誌記者の渡辺は、里美の隣家に妻とふたりで暮らす尾崎俊介に、集団レイプの加害者の…