深夜図書

書評と映画評が主な雑記ブログ。不定期に23:30更新しています。独断と偏見、ネタバレ必至ですので、お気をつけ下さいまし。なお、ブログ内の人物名は敬称略となっております。

書評-戦争

指の骨/高橋弘希~死んだまま、静かに澄んでいた~

≪内容≫ 太平洋戦争中、南方戦線で負傷した一等兵の私は、激戦の島に建つ臨時第三野戦病院に収容された。最前線に開いた空白のような日々。私は、現地民から不足する食料の調達を試み、病死した戦友眞田の指の骨を形見に預かる。そのうち攻勢に転じた敵軍は軍…

「帰還兵はなぜ自殺するのか」を読んで

≪内容≫ ピュリツァー賞作家が「戦争の癒えない傷」の実態に迫る傑作ノンフィクション。内田樹氏推薦! 本書に主に登場するのは、5人の兵士とその家族。 そのうち一人はすでに戦死し、生き残った者たちは重い精神的ストレスを負っている。 妻たちは「戦争に行…

ナイン・ストーリーズ/サリンジャー~バナナフィッシュにうってつけの日の謎~

≪内容≫ バナナがどっさり入っているバナナ穴に行儀よく泳いでいき、中に入ると豚みたいにバナナを食べ散らかすバナナフィッシュ。あんまりバナナを食べ過ぎて、バナナ穴から出られなくなりバナナ熱にかかって死んでしまうバナナフィッシュ……グラース家の長兄…

サリンジャー選集(2) 若者たち~理想はリアルからすごく遠い場所~

≪内容≫ ライ麦畑の原型「気ちがいのぼく」やホールデンの兄ヴィンセントの物語も収録。 ずーっとサリンジャーを読んでいるので、しばらくサリンジャー記事になってしまいます。サリンジャーの「ナインストーリーズ」と「フラニーとズーイ」はすでに半年くら…

戦争と平和/トルストイ~人間の愛で愛していれば、愛から憎悪に移ることがある~

≪内容≫ 19世紀初頭、ナポレオンのロシア侵入という歴史的大事件に際して発揮されたロシア人の民族性を、貴族社会と民衆のありさまを余すところなく描きつくすことを通して謳いあげた一大叙事詩。1805年アウステルリッツの会戦でフランス軍に打ち破られ、もど…

アンネの日記~戦死した人間は、ものすごく生きたかった~

≪内容≫ 1926年、ドイツで裕福なドイツ系ユダヤ人家庭の二女として生まれたアンネはナチスの迫害を逃れ、一家でオランダのアムステルダムに移住。1944年、姉マルゴーの召喚を機に一家で隠れ家生活に入る。ついに1944年、ナチにより連行され、最後はベルゲン=…

夜と霧~涙は苦しむ勇気をもっていることの証~

≪内容≫ 心理学者、強制収容所を体験する-。飾りのないこの原題から、永遠のロングセラーは生まれた。原著の改訂版である1977年版にもとづき、新たな訳者で新編集。人間の偉大と悲惨をあますところなく描く。 したいことの一つがオーロラを見ること。 そして…

海の向こうで戦争が始まる/村上龍~恐怖の向こうにあるものは何だ?~

≪内容≫ 海辺で出会った水着の女は、僕にこう言った。あなたの目に町が映っているわ。その町はゴミに埋もれ、基地をもち、少年たちをたくましく育てる町、そして祭りに沸く町。夏の蜃気楼のような心象風景の裏に貼りつく酷薄の真実を、ゆたかな感性と詩情でと…

総員玉砕せよ!/水木しげる~キレイで刺激的な戦争モノばかり見ても意味ない~

≪内容≫ 昭和20年3月3日、南太平洋・ニューブリテン島のバイエンを死守する、日本軍将兵に残された道は何か。アメリカ軍の上陸を迎えて、500人の運命は玉砕しかないのか。聖ジョージ岬の悲劇を、自らの戦争体験に重ねて活写する。戦争の無意味さ、悲惨さを迫…

五分後の世界/村上龍~もしも日本が降伏してなかったら~

≪内容≫ 気づくと、硝煙漂う泥濘を行進していた小田桐……。現在より五分時空のずれた地球では、もう一つの日本が戦後の歴史を刻んでいた。屈指の戦闘国家日本の聖戦を描く、鮮烈なる大長編。 五分遅れた世界では大日本帝国は消滅し、「アンダーグラウンド」と…

卑怯者の島/小林よしのり~私たちの役回りとは~

≪内容≫ 日本人よ、これが戦争だ! 『ゴーマニズム宣言スペシャル戦争論』で戦後日本人の戦争観を覆した小林よしのりが、戦後70周年の節目に、初の戦場ストーリー巨編に挑む。舞台は天皇皇后両陛下も訪問したパラオ・ペリリュー島を想定した南の島。玉砕戦に臨…

虐殺器官/伊藤計劃~目も口も閉じれるけど耳は閉じられない~

≪内容≫ 9・11以降の、“テロとの戦い"は転機を迎えていた。先進諸国は徹底的な管理体制に移行してテロを一掃したが、後進諸国では内戦や大規模虐殺が急激に増加していた。米軍大尉クラヴィス・シェパードは、その混乱の陰に常に存在が囁かれる謎の男、ジョン…