深夜図書

不定期に23:30更新しています。独断と偏見、ネタバレ必至ですので、お気をつけ下さいまし。なお、ブログ内の人物名は敬称略となっております。

盲目的な恋と友情/辻村深月~女の美醜は女が決める~

≪内容≫

これが、私の、復讐。私を見下したすべての男と、そして女への――。一人の美しい大学生の女と、その恋人の指揮者の男。そして彼女の親友の女。彼らは親密になるほどに、肥大した自意識に縛られ、嫉妬に狂わされていく。そう、女の美醜は女が決めるから――。恋に堕ちる愚かさと、恋から拒絶される屈辱感を、息苦しいまでに突きつける。醜さゆえ、美しさゆえの劣等感をあぶり出した、鬼気迫る書下し長編。

 

辻村深月さんは中学生の頃「冷たい校舎の時は止まる」を読んで以来・・・かな?

何かあまーい恋愛の話読みたいなーと思ってタイトルで決めたんですが

 

恋愛の話じゃなかった( ´Д`)

 

これね、図書館で読んだので帯とか内容を知らなかったんですが

帯に「女の美醜は女が決める」とか昼ドラを予感させる言葉が書いてあったんですね・・・

 

女のドロドロといえば真梨幸子

と思う私ですが、今思えば「冷たい校舎の時は止まる」も嫉妬が原因だったっけ・・・?

 

うん!書評行きまーす!

 

まず主要人物

 

蘭花ちゃん:母は元タカラジェンヌ、とんでもない美人、教養も有り、大学のオーケストラで第一ヴァイオリンを担当、誰もが憧れる指揮者の茂実と恋仲に。高スペック女子。留利絵とルームシェア

 

留利絵ちゃん:父が画家。姉が美人。昔からニキビがあり、その事で男子からからかわれる。容姿に強烈なコンプレックス有り。幼少時からヴァイオリンをやっており、オケ部のコンマスにもなる。才女。蘭花ルームシェア

 

美波ちゃん:大学からオケ部に入り、第二ヴァイオリンを担当。明るく人懐っこいキャラクター。容姿普通。成績普通。至って普通の女子。リア充ともいえる。留利絵から猛烈に嫌われるも自覚なし。演出家と結婚。子供も出来る。

 

茂実くん:大学の指揮者。容姿も素敵らしい。指揮者は大体大学の一番可愛い子と付き合っているらしい。蘭花と付き合ったのは、指導者の妻 菜々子のススメから。

 

菜々子:40歳くらい?茂実とはもう何年も前から寝てるらしい。年相応のシワ等の描写があるも、綺麗な女性らしい。蘭花曰く、若者への復讐として茂実をコントロールしているとのこと。

 

ま、菜々子さんはあんま関係ないです。

 

内容の「これは私の復讐」というのは留利絵ちゃんの言葉ですね。

留利絵ちゃん超闇です。真っ黒です。でも思春期のニキビって大問題ですからね、男子はむやみに女子の容姿をからかうべからず。

一生の傷になり、その子の人生を破壊しかねないのでね。

 

簡単にいうと、

超モテ男の茂実と超美人の蘭花が付き合いだし、誰もが羨む人生へと行く最中茂実と菜々子の関係が指導者にバレて、茂実は干され無職のクズ男に。

蘭花に金をせびったり、盗撮してあった二人の性行為を別れるならばらまく等と言い脅迫。そんな状態に憔悴する蘭花を一番近くで支えていた留利絵。

とうとう蘭花は茂実を殺害。その場に居合わせた留利絵がスマホを回収。

二人は知らないままに共犯に。

そして蘭花が会社の後輩と結婚。海外に行くと決まり、結婚式を行う事に。

友人代表として立つ留利絵は前日に警察にスマホを送りつけていたのだった。

スマホには当時のまま血痕がついてあり、蘭花を逮捕しに警察が会場まで来たところで終了。

 

最初の主人公は蘭花ちゃんで、茂実との恋愛が盲目的な恋の部分です。

誰の声も届かない、茂実が欲しくてたまらない、菜々子と関係があると知っていても

菜々子が教えたレストランで菜々子が選んだプレゼントを渡す無神経な男だと分かっても別れたくない。だけど。クズ男になった茂実を見て心が覚めていく蘭花なのであった・・・。

 

次の話の主人公(盲目的な友情)は留利絵ちゃんです。

 

留利絵ちゃんは選ばれない存在として自分を語っています。

まず、家庭内が異常で、父は姉に性的虐待をしていました。

自分に対しては無関心な父が姉に触り、抱きしめたりしている。

それを母は知りながらなかった事にしている。

 留利絵はここでまず、美人な姉が選ばれ、自分は選ばれなかったと思います。

 

そして学校内で、クラスの男子にニキビのことで「うつる」といってからかわれます。

その事で嫌な思いをした留利絵は女子高に行くと優しい女子たちに出会います。

そして自分の過去を話した時に「そんなに肌ひどくないよ」という言葉に

「そんなに?じゃあどこまでならいいの?」という気持ちが産まれます。

 

そして大学では低能なイジメはなくなり、頭もよくヴァイオリンも上手い留利絵は男子にも頼られたりとうまくやっていけてると思っていた矢先に

男子が自分を他の女子とは違う扱いをしていた事に気付きます。

どこまでいっても他の女子とは違う自分。選ばれない自分・・・。

 

蘭花ちゃんはとんでもない美人で、頭もよく、留利絵と話が合うし、ずけずけと留利絵の心に入ってきたりはしません。留利絵は蘭花ちゃんに心を許していきます。

そうして蘭花ちゃんというとんでもない美人の親友というポジションが留利絵の存在価値になっていきます。

 

ぶっちゃけ、茂実と蘭花ちゃんの恋の部分はありきたりといえばありきたりです。

なんで飛ばします。

 

一番印象に残ってるのはクズ男になった茂実が留利絵に言った言葉

 

「君さ、誰にも愛されたことがないでしょ」
声を、失う。
茂実は微笑んでいた。
「誰にもきちんと執着されたことがないから、友達のことをまるで自分のことみたいに躍起になるんだよ。気色が悪いね」
「どういう、意味ですか」
声が震えた。
訂正して、撤回して、今の言葉を、なかったことにしてほしかった。けれど、茂実が冷淡に言う「そのままの意味だ」と。
「君は子供っぽいよ。そろそろ蘭花を自由にしてくれないか」

 

えっ・・・クズ男なのに、すげー的を得てる(゚Д゚)

と思いました。

 

この文を読んで、なるほどなってすごい納得しました。

小さい子供って友達が泣いてたりすると状況わからないのに「○○ちゃんを泣かすな!!」とか全然関係ないのに入ってきたりするじゃないですか。

 

小さい子だから「かわいいなぁ」とほほえましく見える事も

大人がやると「お前関係ないやん」って白けるしかない状況になりかねないですよね。

 

でも「きちんと執着」って何ですかね?

親からの教育?それとも彼氏からの束縛とか?

「きちんと向きあう」とかならわかるんですけど。

でも「執着」って重いから茂実的には「お前親友っていっても重すぎるよ!もうそれ友情通り越して執着だよ、こえーよ」って意味ですかね。

 

 うん。私が蘭花ちゃんの親友だったらキレますねw

だって男が来たからって深夜にルームシェアしてる部屋追い出されますからw

蘭花ちゃんは「悪いって解ってるけど、抱き合っちゃうの!ごめんね・・・」みたいな感情だしwえwここでw

家賃折半なのにwふざけろよwこれは留利絵ちゃんの「深夜に私が襲われるとか心配はないんだ」って気持ち分りますよw

つーか金持ちなんだから、せめてビジネスホテル行けよ!!!と思いますよね。うん。

親友とはいえ距離は必要です。

 

とはいえ男性のこうゆうズバッと的を得る発言はかなり大事だなと思います。

女子の中にいると気付かない事ってたくさんあるし

留利絵の蘭花への執着を周りの友達は知ってても言えなかったでしょうし

いいづらい事をずばっとね。

 

恋愛って難しいですよね。

帯の「女の美醜は女が決める」ってでも、結局は男性からどれだけ選ばれてきたかって事じゃないかなぁ?と思います。

選ばれることに価値を見出してる女。

蘭花ちゃんも留利絵ちゃんも選ばれたい女。

対して美波ちゃんは自分がやりたいように生きる女。

選ぶとか選ばれるとか関係なしに、自分の意思で生きる女。

 

結局そうゆう子が一番素直でかわいいなぁと思うのでありました。

それに気付いてるから留利絵ちゃんは嫌いなんだろうなとも思いました。

 

留利絵ちゃんは美波ちゃんを親友に選べば人生変わってたのになと思います。

そう思った一節↓

 

オケ部の友達がOBの先輩?か何かに襲われて泣いてるときに皆がなぐさめる中、留利絵が「私が行けばよかったね。そしたら襲われる心配もなかったろうし」的な事を言います。悪気なく。

それに美波ちゃん激怒。

「そんなに自分のコンプレックスの方が大事なの!?」と詰め寄ります。

全く悪気なく素直に気持ちを言った留利絵は訳がわからず。そんな留利絵を見て

「ひどいこと言ってごめんね」という美波ちゃん。

 

えっ美波ちゃんごっつええ奴やん・・・!!!

と思ったのでした・・・。

 

留利絵ちゃんは結局周りに変わってもらおう、解ってもらおうばかりで自分が変わろうとはしてませんでした。いつも自分を正当化して周りを蔑んでました。

そして蘭花ちゃんは自分以外興味がないので留利絵ちゃんに深くかかわろうとしません。傷を治すにはまず、消毒しなきゃいけません。

痛くても染みても、毒を取り払わないと治らないんです。

留利絵が傷つくと分かってもそこに触れた美波ちゃんと

放置プレイの蘭花ちゃん。

 

最後の結末は自分の事しか見てなかったからこそ降りかかってきた蘭花への復讐なんですかね。

本当は留利絵ちゃんは蘭花ちゃんにこそ美波ちゃんのように傷に触れてほしかったのかもしれませんね。

 

ほんとね、自分の人生生きないとね。

盲目的な恋と友情 (新潮文庫)

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