深夜図書

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嫌われ松子の一生/山田宗樹~人生は選択の連続~

内容≫

30年前、中学教師だった松子はある事件で馘首され故郷から失踪する。そこから彼女の転落し続ける人生が始まった__。一人の女性の生涯を通して愛と人生の光と影を炙り出す感動ミステリ巨編。

 

有名なお話ですね!

むかーし土曜ワイド劇場的なので観た気がするんですが

かなりコミカル?な感じでいまいち入りきれませんでした。

よく映画で観るといまいちだけど小説読むと良かったり、マンガだといまいちだけどアニメだとめっちゃ面白かったりしますよね。

そんな感じです。

 

おおまかに言うと、主人公川尻松子が男に裏切られ、傷つけられ、報われないまま殺されるというストーリ-です。

 

スラスラと読めますので電車の中や仕事の合間+帰宅後で一日で読み終わりました。面白い・・・というと不謹慎な気もしますが、どうなるの!松子!と気になっちゃって翌日に越せなかったです。

 

かんたん松子の一生

中学教師⇒トルコ嬢⇒刑務所⇒美容師⇒刑務所

  1. 中学教師時代・・・校長に強姦されそうになる。その後、修学旅行先での生徒の窃盗の自首説得に失敗し自分が払い事を納めようとするが失敗し解雇。
  2. トルコ嬢時代・・・付合っていた男にやるように言われ就職。筋トレを欠かさず行いNo.1になる。その後客の男と新たな土地でトルコ嬢をしだすが男は若い女を囲う為松子の金を横領。男を殺人。刑務所へ。
  3. 美容師時代・・・刑務所で美容師の資格を取得。刑務所に入る前にプロポーズしてきた男が美容師だった為一緒に働こうと必死に取得するも男はすでに妻子持ちに。失意のまま働いてる所に中学時代に窃盗した教え子と再会。恋仲になるも二人で覚せい剤を使用し刑務所へ。
  4. 最期・・・教え子の釈放を健気に待っていた松子だったが、教え子は迎えにきた松子の金を奪い去っていった。自暴自棄になった松子はひきこもりの生活へ。

 

 

松子・・・女の友達いなかったんかい。という位男ばかしです。

そもそも、最初の原因は父との関係にあります。

松子には妹の久美がいたのですが、久美は病弱で床に伏せっております。父の関心はいつでも久美にあった為、松子は父の気をひこうと希望でない中学教師となったのでした。

恐らくここが松子の「必要とされたい」の原点だと思います。

愛の話・・・とありますが私は松子は誰も愛せなかったのでは?と思います。

この話で松子に救いの手は差し伸べられています。

でもその手を取らないことを選んだのは松子です。

 

最初にトルコ嬢を迫ってきた彼は自分を太宰治の生まれ変わりと言い、無職で執筆をしているDV男でした。

「俺、ひどい男だろ。才能はないし、暴力は振るうし、働きもしないし。松子に優しくされる価値なんかないのに、虫けらみたいな男なのに、松子はいつも・・・」

わたしは言葉に詰まった。何かに突き動かされるように、徹也の頭を抱きしめた。子供のような匂いのする髪に、頬を擦り寄せる。

「馬鹿ね、徹也」

嬉しくて、涙が出てきた。徹也はわかってくれている。それだけで充分だった。

 

私はどんな暴力を振るわれようが、トルコ嬢になれなんてひどい事を言われても頑張っている。愛する徹也の為に何だってしてあげる。私はとても愛情深い優しい人間なんだ。

という風に私は解釈しています。

徹也を使って自分の存在価値を高めてる・・・というか。

結局翌日に徹也は自殺するんですけど、その後徹也の親友(既婚者)と愛人関係になっています。

徹也が死んで約半年で

「自殺した直後は、徹也が死んだなんて信じられなかったけど、いまはもう、悲しいくらい、なんとも思わない」と言ってます。

 

そしてこの親友と愛人関係から恋人になろうと目論見、後を付け、インターホンを押し奥さんをチェックし

「勝てる。あの女になら、勝てる。」

と笑みが止まらない松子・・・。

しかし、それを知った男に別れを告げられ、トルコ嬢に自らなるのだった・・・。

 

この後、刑務所で出会っためぐみ

トルコ嬢のマネージャー赤木

という自立した人が出て来て松子に手を差し伸べますが

松子は拒絶しています。

二人は自分の力で人生を切り開いていける人だから

自分が必要ないと思ったんだと思います。

 

結局松子は「愛されたい」と思いながら自分を愛してくれる人は受け入れられなかった。

それは自分が両親に愛されていないと思っているから。

無条件で愛してくれる人は信用できない。

相手の苦しみを暴力で受け止めてその代わりに愛を貰う。

それで納得出来る。そうゆう意識だったんじゃないかなと思います。

 

 私は両親が好きです。

でも昔は嫌いでした。愛されていないと思っていました。

姉には甘い両親。「20歳を過ぎたら早く家から出てけ」とずっと言い続けた両親。何か細々した些細な言動とか・・・。

家を出てからやっと親の愛って解りました。

いきなり親が居なくなっても一人で生きていけるように自立出来るように厳しく言っていたんだろうと今では思います。

それに気付くまで、徹也と松子の様な恋をしていました。

DVとまで行きませんが。

 

今思えば彼を盾にして世間から逃げてるだけでした。

それまで「好き」だと言ってくれるやさしい人は一番信用出来ないと思ってました。

「何言ってんの?この人。私を好きなんて頭大丈夫?」みたいなw

彼は私のだめな所を怒り、時に叩き、気まぐれに優しくしてくれました。

私は「こんなだめな私を守ってくれるのは彼しかいない」という気持ちでした。

けれどこの関係に警告を鳴らしてくれたのもまた家族なのでした。

 

私が叩かれた話を姉にした時に「えっあんた叩かれるような事したの?

と聞かれ、「そういえば叩かれるような事ってなんだろう」と思ったのです。

私は両親には叩かれずに育ったので叩かれた時は衝撃だったし、何か凄く自分が悪いんだと漠然と思いました。

けれど、何度も両親(ほぼ母&姉)とひどい言い争いしようが手を挙げられたことはなかったのです。そして父は寡黙だし、怒鳴られるという事にほぼ耐性がありませんでした。

 

そうゆう「あれ?」という事が積もり積もって

目を反らさずに世間を見たら

私も彼を好きではないし、彼も私を好きではない

という事に気付いたんです。

 

お互い逃げてるだけだって思いました。恋人は自分の問題まで一緒に背負わせるためにいるんじゃありません。

愛とは何かとはいまだにわかりません。

それでもこの話にあるように

自分が体験していないことは絶対に分らないのです。

 

それでももし松子がお父さんと向き合えていたら

自分の気持ちを伝えていたら・・・と思ってしまう話でした。

 

最後に松子が「ただいま。」と実家へ帰っていきます。

亡くなった父も久美もいる家へ。

一番幸せだった時へ。

 

人生は有限です。そして終わりは突然です。

どんなに逃げても自己の問題は付き纏います。

向き合うのは本当に怖いけど、人を心から愛する事が出来るように

なりたいなと思うわたしでした。

嫌われ松子の一生

嫌われ松子の一生