深夜図書

不定期に23:30更新しています。独断と偏見、ネタバレ必至ですので、お気をつけ下さいまし。なお、ブログ内の人物名は敬称略となっております。

最後の家族/村上龍~家族の在り方はそれぞれ~

≪内容≫

  リストラにおびえる父親・秀吉、若い大工と密会を重ねる母親・昭子、引きこもりの長男・秀樹、10歳年上の元引きこもりの男と交際する長女・知美。ある日、向かいの家で男に髪をつかまれて引きずられる女を目にした秀樹は、それが「ドメスティック・バイオレンス(DV)」だと知り、いつしか女を救うことを夢想しはじめるが…。

 

 

あややが表紙♪かわいいなー

ドラマやってたんですね。全然知らなかった。観たかったな。

 

ところであなたの家族ってどんな家族ですか?

私の家族は母が内職をしてて、父はサラリーマン、姉は専業主婦です。

本当にふっつーの何もミステリアスな所のない家族・・・と思っています。親の不貞とか子供の非行とかは特になく、小さな喧嘩と姉の家出くらいかなぁと思います。

私の目に映ってるのは。

ここで私の思う普通の家族とは、親が不貞を働いてなく、真面目に仕事をしていて子供も非行(犯罪等に当たるもの)に走らず、就職する(フリーターでもok)という感じです。

 

親が子供に自然に強いてること

  • 他人に迷惑をかけない
  • 普通に生活をする
  • 皆と同じように中、高、大or専門に行く
  • 親の言うことを聞く。

この作品の中で父の秀吉は「家族でご飯を食べる」ということを家族に強いてます。

それが父の思う幸せな家族の象徴だから。

 「幸せ」という単語で人が想像するイメージは十人十色です。ここで問題なのは父が具体的に何故そこに幸せを感じているのか。皆で食事をすることで父がどうゆう風に思っているのか。そこを言葉にせず、ただ単に「家族でご飯を食べる」というルールをつくってしまった。

人って基本優しいと思うので、理不尽や我儘と思ってもその人がすっごく熱く「こうしたいんだよ!!!!」と主張すると「しょーがないなぁ~」と大半受け入れると思ってます。

それがないと「何の為に空腹を我慢して親父を待ってなきゃいけないんだろう?」という小さな亀裂から破裂して行くと思います。「幸せな家族って我慢しなきゃ手に入らないんだろうか」と。

 

子供に「親に嘘をついて遊びに行ってはいけません!!」と叱った時「嘘をつくのは悪いことだからだ」等とはぐらかすと後々「今日買い物したのお父さんに内緒よ!」とか些細な会話にも違和感→不信感に繋がると思ってます。

単純に「心配だからだよ」という感情だったり「何かあった時に場所がわからなかったら探せないでしょう」という具体的な理由だったりすると納得出来ます。

親が子供の納得を待たずに切り上げちゃうとそこでまず見捨てられた感があるのではないかなと思います。

他人から見たら「そんなことで」って思っちゃうことでも親から言われたりすると大ダメージだったりするんですよね。子供は勝手に育つけど繊細なんですね。

 

子供が親に求めてること

昔、高3位の時連続で痴漢やら盗撮やら変質者やらに昼夜問わず遭遇した時、怖くて怖くてバイトも学校も行きたくないって親父に言ったら「そんな弱気でどうする!!!今から警察行くぞ!!!」とキレられまして警察に連れてかれたんですよ。

そこで婦人警官さんが「じゃあお話聞くのでちょっと来てね。親御さんはちょっと待ってて下さいね。」となって現場とか車で行ったんですよ。

それで色々話して「じゃあ・・・」ってなったら両親いなかったんです。父の怒りのまま着のみ着のままだったので財布とか鍵とか持ってなくて唯一持ってた携帯で、父に連絡すると「えっもう終わったの?お父さん今パチンコしてて出ちゃってるんだよぉ~」・・・。

もうね、警察の人も呆れてました。

警察の人も不審者の被害で来てる女子高生を玄関前に置き去りにするわけにはいかないのでパトカーの中で父の帰りを待ってました。。。(父は鍵を開けてまたパチンコに戻った。)

あの時母に言ったら「お母さんだって若い時は電車でOOO押しつけられたり色々あったのよ!」と言われ、姉にも「私だってあるわよ!」と言われたので優しい父に言ったのです。結果キレられたけど。

本当は「辛かったよね、怖かったよね」って言って欲しかったんですよ。誰でもいいので。家族の誰かに。

そんな本気で引きこもろうなんて思ってないけど、それ位怖かったんだよ、脅えてるんだよって事を伝えたかったんだと思います。

今となっては笑える話になってますが、一歩変われば「あんなに私が脅えて怖がっていたのに警察に任せてパチンコに行った!それでも心配だったとでも言うのか!」という気持ちにも転がれます。親だからっていつも子供の気持ちが分かるわけではないですし、子供を中心にしなきゃならないってわけでもないんですけど、ここぞって時には傍にいてほしいものなんですよね。

 

誰かの為になっているということ

これが人間を支えてると思います。自分が誰からも必要とされていないと感じた時グラっとしちゃうと思います。引きこもりになって一番辛いのはきっと本人だと思います。本当は親を傷つけたくはない、というか誰も傷つけたくないですよね。でも自分の不安に勝てない・・・。ケースバイケースと思いますが・・・想像・・・。

DVを目撃した秀樹の中である思いが芽生えます。

「彼女を救いたい」「彼女はそれを求めてるはず」

自分の存在意義を彼女に見出しました。それからDVについて調べていくうちに弁護士さんと会うことに・・・。ここでこの小説の核となる部分に触れます。

「女性を救いたいというのは、DVの第一歩なんです。救いたいという思いは案外簡単に暴力につながります。それは、相手を、対等な人間として見てないからです。対等な人間関係には、救いたいというような欲求はありません。彼女は可哀相な人だ。だから僕が救わなければいけない。ぼくがいないと彼女は不幸なままだ。(中略)そういう風に思うのは、他人を支配したいという欲求があるからなんです。(中略)他人を救いたいという欲求と支配したいという欲求は、実は同じです。」

 私達は発展途上国に対して「可哀相」「募金してあげよう」「自分達に出来る事は何だろう」と大多数の人が思っていると思います。

それは間違いなのか?支配したいと思っているのか?

答えは「No」だと思います。助けたいと思ってるとは思います、可哀相とも。

だけど、それは正解ではないかもしれません。なぜ募金しても発展途上国は貧困から抜け出せないのか。それは国の問題です。一時の募金額で救われるのはその国の中のある程度裕福な人と聞きます。上の人からどんどんお金をくすねて最後に、本当に貧しい人たちには渡らないと・・・。

だから私達に出来る事は募金ではなくて、その国が変わるのを見守ることだと思ってます。学校を作る。教育する。お金ではなく、その国のその土地で生きる人々が生きていける仕事をマネジメントする事・・・ではないでしょうか。

でも自分の募金で一人でも餓死がなくなれば・・・という思いが前提に絶対あってほしいです。

 

自立することで変わる

自分を変えるのは自分。誰かを変えることは出来ない。他人に出来るのは言葉をかける、行動で示す。それだけ。

秀樹を救ったのは母です。その理由として母がカウンセラーやNPO、大工の恋人(?)と話す内に自立したからと弁護士は言います。

「親しい人の自立は、その近くにいる人を救うんです。」と。

誰もが一度は無意識の内に「家を出て行きたいけど、お母さんが悲しんでしまうかもしれない」の様な事を家族なり、恋人なり、親しい人に感じた事あるのではないでしょうか?

だけど、母が自分がいなくても楽しそうにしてたらそんな事思いませんよね?両親が家族の為に生きてます!!!って感じだと息苦しくてたまらない。

もしかしたら家の両親が執拗に家を出てけと言ったのも「縛られるな」という親心があったのかもしれないなぁと今では思います。

結婚しようが、一人で生きていけるように自立すること。

それこそが夫を、子供を救うことになる・・・。まだ、全然実感ないですが、いつか分かる時が来たらいいな。

余談ですが、私の大好きな少女マンガの名台詞はホットロードの「てめーおれがいないと生きてけねーような女になるなっ」なので「俺がずっと守ってあげるよ」的な感じだと閉まっちゃうおじさんに捕まったぼのぼのの様な気持ちになります。

結局自分のやりたいよーにやってる人って輝いてるし、人を巻き込んでるようで元気にしてるんだよなーって思うことが多いので自分のやりたいよーに生きようと思います!

 

あとがきから

この小説は、救う、救われるという人間関係を疑うところから出発している。誰かを救うことで自分も救われる、というような常識がこの社会に蔓延しているが、その弊害は大きい。そういった考え方は自立を阻害する場合がある。 

 自分ひとりでも生きていける力を身につけること。

それは一人で生きてくって事でもなくて、人の助けを求めないって拒否する事でもなくて、逆に親しい人の箍を外すきっかけになりうるということ。

人が勝手に決めてる自分ルール。でもふとした瞬間「それってやっていいんだー」「もっと自由に生きていいんだー」そう思える瞬間があると思います。

あなたが、私が自立することを引き止める人がいるかもしれない。「そんなに強くならなくていんだよ」とか「どこにも行かないで」とか。

それでも、自立するべきだと思う。自立したあなたの姿が誰かのきっかけになるかもしれないから。

最後の家族 (幻冬舎文庫)

最後の家族 (幻冬舎文庫)