深夜図書

毎日23:30更新の書評ブログです。独断と偏見、ネタバレ必至ですので、お気をつけ下さいまし。なお、ブログ内の人物名は敬称略となっております。

花酔ひ/村山由佳~セックスとか性癖とか表立って話せないのは心の奥まで知られちゃうから~

 

≪内容≫

結城麻子・東京の呉服屋の一人娘「夫婦のつながりは、セックスだけじゃないでしょう?」×桐谷正隆・千桜の夫。婿養子だが野心家「俺は、今すぐにでもあんたを抱きとうてたまらんのや」、桐谷千桜・京都の葬儀社の社長令嬢「もう逃がさへん。あんたはうちの奴隷や」×小野田誠司・麻子の夫。ブライダル会社の営業「お願いだから、もう苛めないでくれ」。共犯関係は緊張を帯び、秘密の濃度は高まり、堕ちていく―身も心も焼き尽くすねじれた快楽の行方。恋ではない、愛ではなおさらないもっと身勝手で、もっと純粋な、何か。夫婦だからこそ言えない秘密がある。『ダブル・ファンタジー』を超える衝撃の官能の世界。

 

「ダブル・ファンタジー」が店頭に並んでいた頃、興味本位で試し読みしたら止まらなくなった。

その時はまだ女性作家がこんな官能的な小説を書くなんて思ってなかったからすごい衝撃だった。

それ以来、恋愛小説なら唯川恵暗い小説なら辻村深月イヤミスなら真梨幸子官能小説なら村山由佳となったのだった・・・。

 

性癖って誰にでもあるもの?

というかそもそも、好きな異性のタイプの時点でその人の奥深くに通じそうな気がしますけど。

簡単に登場人物×性癖を紹介します。

 

■主人公/麻子

強引で、いささか乱暴で、けれど狂おしいほどの想いから生まれたものだということだけは伝わってくる仕打ち。これまで、男からただ優しく扱われたことしかなかった麻子は、桐谷の仕掛けてくるすべてにいちいち戸惑い、狼狽え、翻弄された。

 

■麻子の夫/誠司

当たり前のように形作られてしまった男女間の支配と被支配を逆転させ、妻である彼女のほうから夫の俺を思い切り踏みつけにしてくれたなら、どんなに・・・ああ、どんなに楽なことだろう。考えただけで恍惚するほどだ。 

 ■千桜

ずっと探している。

どれほど欲しくとも呼ばわるわけにはいかず、求める心さえ忌むべきものと押しこめて、けれどそのじつ、探し続けている。

恥ずかしさを押し殺してそっと空気にさらす肉のあわいを、節高な指先と尖らせた舌先とでまさぐり、つつきまわし、いやだと言っても決して許さずに蹂躙し尽くして欲しかった。 

 ■千桜の夫/桐谷

どんな時も凛と背筋を伸ばしたままの麻子を好ましく思い、なぜか妙に惹かれる気持ちのちょうど裏側に、彼女を思いきり傷つけ貶めてやりたい衝動がぺたりと貼り付いて剥がれない。苛立ちが、同時に甘やかであるのが解せない。

 

いわばM×Mの麻子×誠司とS×Sの千桜×桐谷。

 そしてひょんなことからカップリングが変わる事に・・・。

大人のママレードボーイかっ!!

ママレードボーイが連載してる時、私はあの4人の関係が全く分からなかった。

もはや遊の親父が誰かさえも分からなかった。

でも今なら分かる。

大人って色々あるよね。

 

まぁ、麻子に関しては普通・・・という印象です。

女性なら「求められたい」という欲を持っている人の方が大多数だと思いますし。

桐谷に関しても特に・・・。

まぁ仕事の為の枕営業までするほど絶倫な男が本気で恋しました。的な感じ。

 

問題は千桜。

彼女の性癖は叔父の影響。

叔父に襲われたというか、襲われたんだけど、ずっと愛撫され続けた・・・という感じでしょうか?

「綺麗や・・・もっと踏んで」と言われて育った千桜。

自分に奉仕することに快感を覚える男に愛され作られた千桜は多分普通の「可愛いよ」「愛しているよ」じゃ足りないんでしょう。

 

そして誠司。

彼は麻子に対して劣等感を持っています。

自分に自信がない。妻に隷属したい。

責任から解き放たれたい。

作中で一番弱い人です。そして一番強いのが麻子。

麻子は正しい。そしてその正しさが誠司を追いつめる。

 

性癖に見る人となり

常々思うのですが、好きな異性のタイプって電車でも話せるのに性癖の話って出来なくないですか?

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なんでだろう?ってずっと考えてたんですが

性癖って「一番の弱み」という考えに至りました。

故に例えカップルになったとしても言い出せない。

寧ろ大好きな恋人に嫌われたくない、自分のイメージする理想の自分のままでいたい、という感情の果てにセフレというトモダチを作ってしまう。

 

恋人って何だろう?

 

恋人の延長は家族であり、家族とはぶつかり合うもの・・・

人の性格は千差万別、よって性癖も千差万別。

人を受け入れるって自分を受け入れていなきゃ出来ない。

「受け入れてほしい」だけじゃ、自分で自分を受け入れられないのを相手に負担してもらおうしてるだけ。

 

誠司は繊細でネガティブな部分があって、それでも会社ではイイ人になるように演じている。だからこそ、本当の自分を誰かに見せたいと思っている。

 

千桜は自分のアブノーマルな部分を捨てる事が出来ず、夫に対しては自分が望む性癖を曝したいとは思っていない。

 

麻子は何となく、恋愛結婚だけど恋愛に重きを置いていない。

 

桐谷は千桜の会社が欲しくてまぁ千桜も綺麗だしいっか。という感じ。

 

自分と向き合わないまま恋愛すると自分も相手も不幸になるよ。 

 付き合っていく中で見つかった問題なら、恋人に協力してもらいましょう。

まずセックスしている時点で裸でむき出しじゃないですか。

無防備なお腹が近くにあるって事は、もしそこにナイフを突きたてたら殺せるし殺されちゃいますよ。

 

どうせ殺されるなら自分がされたい、して欲しいセックスがしたいなと思う。

 

例えば「教師と生徒の禁断の恋」とか「上司からミスを怒られた延長で」とか

こういうシチュ好きというと、自分の性格が甘えたで叱られたい、褒められたい、認められたい、そういう願望が奥深くにあるんだろうなーと思います。

 

 

なぜ人は出産を伴わない性行為を行うのか

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 え?気持ちいいから?

ていうかセックスで気持ち良くなるってかなり難題だと思うのですが。

別にすればオートで気持ちよくなれるってもんじゃないし、好きだからって気持ち良くなれるわけでもないし。

かなり高度なコミュニケーションだと思うのです。

 

ただ抜き差しされるだけの、用途の幅からすればすりこぎほどの役にも立たない棒などよりも、千桜が欲しいのはただ、細やかに動く指であり、熱く濡れた舌だった。

 

性行為でしか満たされない部分があるのかなーって思います。

logmi.jp

瀬戸内寂聴さんって結構過激な女性なんですよね。

びっくりしたのはこの映画。

 

 

瀬戸内さんの実体験らしいんですが、まぁ過激ですね。

 

この記事にも書いたのですが人は絶対的に孤独な生き物です。

www.xxxkazarea.com

だからこそ向き合うことを恐れちゃいけない。

「夏の終わり」の主人公は全然良い子じゃありません。

決して世間から褒められるような女性じゃありません。

ただひたすらに自分の「愛」に従って自己中心的に生きてます。

 

でも人生って一回きりだから。

どうせなら自分のやりたいように、自分の信じる愛に向かって走ったっていいんじゃないかと思うのです。

その中で周りの人を傷付けてしまう事もあるだろうし、自分で自分の性格の悪さにドン引くこともあると思う。

 

つまるところ、何故セックスするのかって分かり合う為にするんじゃないかなと思うのです。

相手とのコミュニケーション。

相手を通しての自分との対話。

ただ「快感」だけしか得られないならその快感を習得するための塾があったっていいじゃんね。

 

桜庭一樹の「ばらばら死体の夜」という小説があるのですが

 

いきなり古書店の二階に住む女性を男が強引に襲うんですがその時に

女性は塗りかけのペディキュアが剥がれないように足を大きく開いたわけです。

「塗り直すの面倒だし」という理由で。

だけどその行為に男性は「受け入れてくれるのか・・・」と安堵したのです。

 

人は孤独です。

そして一人では生きていけなくて

どんな言葉にも、美しい景色でも満たされないものがあって

唯一それを満たすのが人肌なんだと思います。

 

男性になった事がないから分からないけど、女性器って多分温かいと思うんです。

手を繋いだり、キスしたり、そういうのとは比べ物にならない位。

だって粘膜だし。

 

遺伝子を残すための行為だろうが、本能だろうが

セックスとはすっごい疲れるし、無防備だし、大変危険な行為なわけです。

 

そんな行為を行うって事はそれ以上に孤独が人を殺すという事です。

なぜ、セックスをするのか。

そもそもセックスとはどこから?という疑問も増えましたが

また違う記事で追及していきたいと思います。

 

不倫の果て

 

誠司が千桜との緊縛プレイ?の果てに首が吊った状態になり緊急入院した事をきっかけにこのダブル不倫は終わりを告げます。

 

やるなら徹底的にやりなよ。

 

中途半端にするから誰もが不完全燃焼じゃん。

誠司に至ってはボロボロだよ。

うつ病になっちゃったよ。

 

だけどね、男女感だけで済むならボヤで済むけど

桐谷と千桜には子供がいます。

 

子供を巻き込むのだけは絶対にダメ、絶対。

だからまぁ不倫はダメですね。

でも人生何が起こるか分りませんから、その果てには寂聴さんの様に出家することも厭わない覚悟で行いましょう。