深夜図書

毎日23:30更新の書評ブログです。独断と偏見、ネタバレ必至ですので、お気をつけ下さいまし。なお、ブログ内の人物名は敬称略となっております。

【映画】ばかもの~2016年で観た映画の中で一番良かった~

≪内容≫

地元高崎の大学で気ままな生活を送る19歳のヒデ(成宮寛貴)は、近所のおでん屋で27歳の額子(内田有紀)と初めて出会った。

数日後、偶然再会したその日に、額子はヒデを部屋に連れ込み、半ば強引に童貞を奪ってしまう。額子の奔放さに戸惑いつつも、ヒデは額子にのめりこんでいく。
そんな二人の別れは突然だった。ある夜、額子はヒデに唐突に他の男との結婚を告げる。「遊び以外のなんだっていうんだよ」と言い放ち、去ってゆく額子、そして茫然自失のヒデ。
大学卒業、就職、とヒデの環境は変わっていく。友人(池内博之)の紹介で付き合うことになった翔子(白石美帆)と暮らし始めたヒデだったが、虚しさは募るばかり。
虚しさを紛らわすかのように、ヒデは酒に手を伸ばした。酒に蝕まれたヒデは会社で疎まれ、恋人や友人は去り、仕事を休んでは部屋で酒を飲み続ける。
そして、遂には飲酒運転で交通事故を起こしてしまう。事故を契機にヒデはアルコール依存症の治療を受け、苦しみながらも快復していく。
アルバイトを始め、新しい一歩も踏み出した。そんなある晩、ヒデは額子の母親と再会する。
母親が語る額子の人生、そしてヒデと別れてからの惨い運命。気づけば、額子と出会ってから10年もの年月が流れていた…。
額子に会いたい。気持ちを抑えられないヒデは、額子が住んでいる街へ向かう。待ち合わせたバス停で佇む額子は変わり果てた姿だった。
それでも、忘れたくても忘れられなかった2人の10年にわたる想いが溢れだす…。

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これすっごい良かった。

派手じゃないし、内容も普遍的だから惹かれる人は少ないかもしれないけど、これすっごくイイ。

別にすっごい泣ける程感動するわけでもないし、胸糞悪くなるような話でもない。

 

成宮演じるヒデがアル中になったり、内田有紀演じる額子が左手失ったり、どこにでもある話ではないけど、「普通」の人生送ってる奴なんて本当は一人もいないんじゃないかと思った。

「普通」の恋愛がしたいとか「普通」の人と付き合いたいの「普通」ってどこにもありゃしないんじゃないかと思う。

「究極の愛の物語」とか謳ってるけど、なんか違う。

「愛の物語」で連想させられる綺麗で純粋な感動系じゃないんだよ。

人間臭くてどうしようもなくダメな奴らだから「ばかもの」なの。

「ばかもの」って認め合って分かりあって殴りあえるからこの話は最高なんだ。

だって人間って誰しも「ばかもの」でしょ。

だから理想押し付けあっても、相手の顔色窺っても意味ないの。

 

2016年に観た映画「ヒロイン失格」「脳内ポイズンラズベリー」「ピースオブケイク」「天空の蜂」「クリムゾン・ピーク」「予告犯」「グラスホッパー「誰も知らない」「女の子ものがたり」「Always三丁目の夕日シリーズ」とか色々観た中で一番良かった。

 

恋愛映画では「ブルーバレンタイン」と並んで至高の一作。

 

年下男×年上女

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もうね、年下かわいいわぁ~。

額子の誕生日に競馬に行く(しかも負ける)。額子より何万倍も騒いで楽しむヒデ。

「ごめんな、誕生日なのに」というヒデに「期待してねーし」という額子。

額子、口悪いっす。

そしてヒデは「額子~額子~」と犬のよう。

「オレ頑張るから!」が口癖のように、額子に対して口答えなんか一切しない出会った頃の19歳のヒデ。

 

今まで、年下の男性に全く興味がなかったけど、成宮くんのせいで何人の女性が年下に目覚めたことか。笑

NANA」のノブの時も、「下弦の月」の知己の時も思ったけど、成宮くんってダメ男というかちょっと頼りない男が似合うんだよなぁ。

なんか守ってあげたくなっちゃうよーな。

 

しかしヒデが求めてるのは甘やかしてくれる女性ではなくてぶん殴ってくれる女性であった。

 

ヒデくんアル中時代

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「別れようか、俺みたいなダメ男といてもいい事ないだろ」

「ごめんなさい、わたし・・・ごめんなさい」

「なんで謝んだよ」

「ごめん・・・」

「だからなんで翔子が謝るんだよぉお」

と拳を握りしめるヒデ。

 

実際DVはしてないが、飲んだくれで翔子のいう事は一切聞かずヒモ男になり下がっていたヒデ。

しかも親友から飲んだ後、友達や翔子に絡んでると注意される。

実際翔子は「お酒をやめて」以外は何も言わない。

 

額子のようにダメなものはダメだと叱ってくれる人はいない。

「あなたは悪くないの、私が悪いの。」って悲劇のヒロインみたいな台詞溢れてますが、これって現実見てないだけで、相手を許してるようで見てもいない。無視してる状況です。

ヒデはますます孤独に苛まれていきます。

 

10年を経て再会

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掟上今日子さんですか!?

と思ってしまった。こんな37歳いるか?笑

 

10年ぶりに額子に会いにきたヒデ。

左手を失った額子。それでも運転したり、ご飯を作ったり日常を一人で過ごしています。

暫く通う内に大学時代の友人が事件に巻き込まれ死亡したとのニュースをテレビで見る。

「どうしても酒を飲まなきゃやってられない」と料理酒に手を出すヒデに額子の拳が飛ぶ。

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バチコーン☆

「ごめん・・・力入っちゃった・・・・大丈夫?」

「ほんとつえーなお前」

「・・・」

「おっかねー女だな」

「でも!飲んじゃいけないんだよ!」

「おっかねー女だな」というヒデはちょっと嬉しそう。

びっくりして、ほっとしたんでしょうね。

 

よく男にゃ刀を納める鞘が必要なんだよと聞きますが、自分ではどうにも出来ない衝動を身体を張って止めてくれる存在が恋人と同義語だと思いたい。

 

10年経って、ヒデはもう出会った頃の額子の背を追うだけの年下の男じゃない。

ちゃんと言いたいことも言うし、嫌なことは嫌という。

分かんない事は分かんないと言える。

一緒に泣いたり、笑ったり出来る存在になった。

 

最後のふたりの会話が本当にすてきだなと思う。

飾らない言葉で分かりあえる存在になった。

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ヒデ「額子」

額子「なんだよ」

ヒデ「また殴ってくれよ。俺が何かに溺れそうになったら。額子が殴ってくれたら俺大丈夫な気がする。」

額子「殴ってやるよ。何発でも」

 

(ヒデ川の中に入っていく)

 

額子「何やってんだよ川の中で」

ヒデ「おめーが落ちてきたら受けとめてやんだよ」

 

ヒデ「おめーさ、俺と結婚してーのかよ」

額子「養子にしてやるよ、大人になるまで面倒みてやるよ」

ヒデ「ばかもの」

 

ホットロードの「おめー、俺がいねーと生きてけねーような女になるな!」に匹敵する言葉だなと思う。

養子にしてやるよ、大人になるまで面倒みてやるよ」に額子の愛を感じる。

 

私が男だったらヒデのような男だったかもしれない。

そんで、額子のようなたくましい女に惹かれると思う。

てゆか今現在女だけど額子に惹かれるぅうう。

 

思いがけずイイ映画ですっごく嬉しかった。

内田有紀すっごい美人だし。眼福も兼ねて是非見てみてください。

 

ばかもの [DVD]

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