深夜図書

毎日23:30更新の書評ブログです。独断と偏見、ネタバレ必至ですので、お気をつけ下さいまし。なお、ブログ内の人物名は敬称略となっております。

【映画】きみに読む物語~自分の人生を無難に選んじゃだめだよ~

≪内容≫

『ジョンQ-最後の決断-』のニック・カサヴェテス監督がニコラス・スパークスのベストセラー小説を映画化した純愛物語。アルツハイマー病に侵された老女・アリーの下を訪れた老人・デュークは、17歳の彼女が過ごしたひと夏の物語を読み聞かせ始める。

 

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有名で、泣いたーって人が周りにたくさんいたので、いつか観よういつか観ようと思っていた作品。

 

泣いた。

 

 ライアンゴズリングはブルーバレンタインで初めて見たけど、こういう一途な役が本当に似合うなぁ。

瞬きが少ないせいかな?

1カット中、瞬きしないでアリーを見つめてることが多い。

 

 

身分差の恋

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 彼はいい青年よ
だけど・・・クズよ
あなたの相手じゃないわ!
肉体労働者よ!

 お嬢様アリーと肉体労働者ノアの恋物語。

アリーはお嬢様なので、毎日たくさんの習い事と読書のノルマをこなす日々で「自分が何をしたいのか」を考えることさえ忘れていました。

 

アリーに一目ぼれしたノアはアリーと話していく内に、アリーはとても不自由に生きていることに気付きます。

 

お金持ちで美人で明るいアリーは不自由。

貧乏な肉体労働者のノアは自由。

 

お互いにないものに惹かれあうのは大恋愛の予感ですね~。

田舎で育ったノアののんびりとした生活は都会に暮らす人々には無駄に見えるかもしれません。

そんな人間がお金で買えないものの価値に気付くには、それを教えてくれる人がいなければ一生気付けないものだと思います。

 

 

アリーの周りには「こうした方がいいよ」と言ってくれる人がたくさんいて、アリーも素直に受け止めて進んで行きます。

この素直さこそアリーの愛らしさなのですが、結局自分がどうしたいのかよりも他人が自分にどう望んでいるか、を一番に考えるようになってしまいました。

 

自由に生きているように見えて、アリーの心は自分のものではありません。

 

 

無難に選ぶな

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 将来を思い描いてみて
30年後 40年後 誰と一緒だ?
もしヤツなら-行け!
それが君の望みなら俺は耐えていける

 

無難に選ぶな

人のことは考えるな
俺もヤツも両親も忘れろ

 

君だよ 問題は

君はどうしたい?
どうしたい?

 アリーのように「こうした方がいいよ」「こうしなさい」と言われて育った人間にとって一番困るのが「君はどうしたい?」という質問じゃないでしょうか。

 

他人のことを考えて答えを出すのって簡単なんですよね。

「だってOOがそうした方がいいって言ったから」「だって皆を傷付けたくなかったから」

無難に生きていくことを選んだなら、なぜ結婚間近に元カレのところにきた?君は今の日常が退屈だからさ!というノア。

 

ノアはアリーが誰かのレールの上じゃなくて、自分で富豪と結婚すると決めたなら受け止めようと思っています。

事実、アリーを町中で見つけて追いかけた先には、アリーが楽しそうに婚約者とキスしながら笑っているのを見て声もかけずに去って行きました。

 

ノアの改築した家が新聞に載っていて、それを見たアリーがノアの家にやってきました。アリーが自分の意思で動くのはいつもノアに対してだけです。

 

アリーにとってノアは一緒にいて楽な存在ではないはず。

ケンカばかりだし、どうしたいの?って聞いてくる。

だけど「君はどうしたいの?」と聞かれると、アリーは自分のことを考えることができる。

誰かのためじゃなくて、自分のために生きることができる。

自分のために生きることを教えてくれたのがノアだったのでした。

 

しかしこの二人のケンカ面白いので是非見てほしい。笑

 

 

 

誰だって平凡な人生

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私はどこにでもいる平凡な思想の平凡な男だ
平凡な人生を歩み
名を残すこともなくじきに忘れ去られる

 

でも1つだけ誰にも負けなかったことがある
命懸けである人を愛した

 

私にはそれで十分だ

これは冒頭のプロローグ的な言葉なんですが、すごく素敵だなぁと思いました。

 

小説や映画を見て思うのは、自分では平凡な毎日を送っていると思っても、少し視点や重点を変えるだけで大きな物語になるんだということ。

 

この話だって、他の視点で言えばノアは自分の家を売ったお金と復員兵手当(途中ノアは兵隊になる)で廃墟と化した大きな屋敷を買って大改築をしたという物語にも出来るわけです。

 

映画や小説を見て「いいなぁ、こういう人生を送りたいなぁ」と思うのは、何だか違うのかもしれない、と最近思い始めました。

それは人を羨んじゃいけない、とかそういうのじゃなくて、「自分の人生を大きな物語にしてみよう」という風に考えた方が、とっても現実的でロマンチックだと思ったからです。

 

世界を変えるとか、大恋愛をするとか、大金持ちになるとか、玉の輿に乗るとか、そんあ大それたことがない人生でも、きっと特別な物語が自分の人生には詰まってるんじゃないかなぁと思いました。 

肉体労働者をクズ呼ばわりしたアリーの母も若かりし日に肉体労働者と恋に落ちていたのです。

やっぱ自分の身体全てを使って働く人はかっこいい。