深夜図書

不定期に23:30更新しています。独断と偏見、ネタバレ必至ですので、お気をつけ下さいまし。なお、ブログ内の人物名は敬称略となっております。

【映画】僕だけがいない街~人を傷付けないなんてことは無理だけど裏切らない生き方は出来ると思う~

≪内容≫

三部けい原作の同名コミックを藤原竜也、有村架純共演で映画化。売れない漫画家・悟に、同じ時間が巻き戻る「リバイバル」現象が起こる。数日後、誘拐未遂を目撃した母が殺害され、バイト仲間・愛梨も命を狙われる。

 

マンガの一巻の最初の方をパラパラ~と読んだ記憶があって、そのとき面白そうだなぁと感じたのですが、まだそのときは完結していなかったのでやめました。

マンガって続きが気になり過ぎておかしくなりそうなので、完結しか作品しか読まないようにしています。

 

そんな風にしていたらいつの間にか映画になっていたので、見てみました!

やっぱり面白かった。

やっぱりマンガ読もうかな・・・。

 

 

冒頭の世界

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この作品には三世界あるのですが、一番最初は主人公・藤沼悟、主人公の母・佐知子、主人公のバイト先の同僚・片桐 愛梨の三人が軸になっています。

 

主人公は売れない漫画家で友達も恋人もいない。

愛梨には「人に心を開いていない」と言われる。

 

悟には「リバイバル」というタイムリープ能力があり、直後に起こる事件や事故を解決するまで直前に戻るという現象にたびたび襲われてきた。

そして、今回もまたリバイバルが起こり、その事故を防ぐために自分が車に跳ね飛ばされたところ、母が心配して北海道から上京してきて息子の家に居候することとなる。

 

後日、母と買い物中にリバイバルが起こりその原因を見つけた母が何者かに刺され、その犯人は自分にされてしまう。

その原因は幼い頃の事件にまつわるものだった。

その事件を解決すべく、悟の戦いが始まる・・・。

 

2時間映画なので、深い設定までは描かれていないので、リバイバル能力がなぜあるのか?いつから生まれたのか?とか、愛梨は何者なのか?とか、分からない部分がたくさんありました。(原作で分かるのか分からないですが)

でも、楽しいというかハマれます。

だけどそれでいいのか?とも思ってしまいました。

この浅さ(どうしても二時間映画で全ては分からないと思っているので)で納得、満足していいのか。

う~ん。

 

 

 

小学生時代

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殺されてしまうクラスメイト雛月加代を救うべく小学生時代にタイムリープする。

ていうか、この女の子の風貌が「百夜行」を思い出させる!!!!

救われなかった雪穂の少女時代のもう一つのエンディングのように思えて、なんか二重に感動してしまいました。

 

雛月は母子家庭で母とその愛人(義父?)に虐待を受けている。そのせいかクラスでも浮いた存在になっていて一人ぼっち。

中々心を開かない彼女に悟は根気強く声を掛け続ける。

彼女の口癖が「ばかなの?」なんですが、これもいいです。

 

っていうか子役の子たちの演技がすごく良かった・・・。

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目に一切の光が見えないとかすごすぎないか・・・。

こういう目、マンガでみたことあるし・・・放心状態感めっちゃ出てるし・・・・そのあと目に光が戻ってくるまで一切彼女は何も言葉を発しないのですが、その表情だけで観てる側には色んな感情が巡ってきます。

私が思ったのは「どうして私にはこういうやさしい母が、世間一般でいう当たり前の朝が来なかったんだろう」という感情と、母への決別が感じられました。

 

この作品を見て、ほんとうに動けるのって子供なのかもしれないって思いました。

百夜行もそうですが、やっぱり「何かおかしいな?」と気付けるくらい近くにいるのって子供同士なんですよね・・・。

 

虐待やいじめも大人が何とかしようって言っても、大人がもっと関心を持とうとか、気付こうとか言っても物理的にも心理的にも距離がありすぎる。

もちろん、目の前でランドセルを背負った子供が集団でいじめられていたり、明らかに「いじめっぽいな、虐待っぽいな」と感じた場合は通報したり出来ますが、そんなこと白昼堂々やる子供も大人もいませんよね。

 

悟は実際は見た目は子供、中身は29歳なわけですから当事者とは違うし結果も知っているから動けたと思います。

実際、もう一人の男の子はこう言います。

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ほんと言うとさぁ、俺も気付いてたんだ、雛月のあざ。
でも、どうしていいか分からんくてさ。
なあお前いったい何者?

 どうしたらいいか、分かんないよね。

とりあえず何かやばくね?とは思うけど、実際殺されちゃうなんて思わないし、小学生で自分の身近に死があるなんて想像出来ないと思うし。

 

だけど、気付いてはいるんですよね。

「何か悪いことのような気がする」程度には。

だから気付きは子供、行動は大人っていう流れが出来たらいいな、って思いました。

こういう「何か悪いことのような気がする」空気の中にいる子供って、雛月だけじゃないんですよね。

痛みや苦しみを実際受けているのは雛月なのですが、見えない傷や痛みを伴わない苦しみが何となく周りの子にも伝染するんです。

「大人は助けてくれなかった」と思うのは雛月だけじゃなくて、気付いていた子供たちも思うと思います。

 

だから虐待やいじめの被害者を助けるってことは、その周りの子供も助けるってことなんだと思います。

もし自分の子供や親戚の子が「クラスにこんな子がいるんだけど・・・」って言ってきたら、たぶんその子供もすでに傷付いています。

気付くってことは傷付くってことだから。

 

子供たちは大人をひと括りで見てしまうと思いますが、大人って言っても行動できる大人とできない大人がいるし、想像力が豊かな大人と乏しい大人もいるので、出来れば色んな大人に声をかけてほしいと思う。

あきらめないでほしい。

 

そんでやっぱり私は石田ゆり子(佐知子)のような女性になりたいって思いました。

 

 

 

 

もう一つの現実世界

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過去を変えたので、現実は変わっていました。

そして、悟の最後の戦いが始まります。

 

少年時代に誰かを助けたという世界では、冒頭の孤独な悟とは180度違う悟になっていました。

漫画も好評で、友達もいて、見舞に来てくれる女性もいる。

 

あまりこの作品はネタバレしたくないので、犯人が誰かとかは書かないでおきます。

ただ、すごく胸に刺さった言葉がありました。

それを書くとネタバレしちゃうのでやめますが、大人って正義じゃなきゃいけないんだと改めて思いました。

 

大人だって人間ですから、完璧ではないです。

人を、子供を傷付けるときもあります。

だけど裏切ることはしてはいけないと思います。

子供と大人の違いは成長による経験の多さです。

痛みも、苦しみも、やるせなさも、いっぱい生きてく上で降りかかってきます。

大人に傷付けられて大人になった人もいると思います。

子供が嫌いな大人もいるでしょう。

 

人を傷付けないなんてことは無理です。

だけど裏切らない生き方は出来る。

私はそう思っています。

 

そういう正しさで人と向き合って生きて行きたいなって思いました。

久しぶりにいい邦画だったなあ。

 悲劇を喜劇に変える力を誰もが持ってると思うから。