深夜図書

不定期に23:30更新しています。独断と偏見、ネタバレ必至ですので、お気をつけ下さいまし。なお、ブログ内の人物名は敬称略となっております。

最後の息子/吉田修一~海に近い土地って何か特別(独特)なものがあるのかなぁ?~

≪内容≫

新宿でオカマの「閻魔」ちゃんと同棲して、時々はガールフレンドとも会いながら、気楽なモラトリアムの日々を過ごす「ぼく」のビデオ日記に残された映像とは…。第84回文学界新人賞を受賞した表題作の他に、長崎の高校水泳部員たちを爽やかに描いた「Water」、「破片」も収録。爽快感200%、とってもキュートな青春小説。

 

 

爽快感200%はうそだろ!!!!

って思いました。

だって、吉田修一ですよ?

まぁ私が読んだ作品が暗いだけで、明るい作品もあるかもしれないし、村上龍だって

69sixtynine/村上龍書いてるしね・・・と思って読みましたけど、やっぱりなんだかあの不穏な感じ

 そういうの、感じます。

 

というかこの作品、西原理恵子とちょっと感じるものが同じでした。

あとコレ。

そこのみにて光輝く

そこのみにて光輝く

 

 独特の堕ちていく感じというか、諦念感というか、厭世感みたいなものが漂っている感じがします。

 海に近い土地って、共通するものがあるんですかね・・・。

 

 

 

破片

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収録作品は、「最後の息子」、「Water」、「破片」の三編です。

どれも面白いというか、湿っぽさを感じつつ、ページが進んで行く感じなのですが、その中で一番濃いなと私が思う「破片」について書いて行きたいと思います。

 

正直、「破片」が一番、いろんな箇所が理解に難しくて、一番ざわついた話です。

だから読んでいて気持ち良い話ではなかったです。

爽快感200%、とってもキュートな青春小説。」っていう説明文がなかったら、絶対に暗い話だと思って読んでいました。

 

この話が理解に難しいと感じた理由の一つが、母を失った父と息子二人のその後の話であることで、もう一つは女は男が世話するもの、というこの話の世界観です。

「男が世話してやらんで、誰が女の世話するとや?」

 

「だけんさ、東京の女は自立しとるけん、男の世話になんか、ならんでもよかとさ」

 

「はははっ、なんが自立や。そがんと女じゃなか!自分一人で暮らしていける女なら、わいと一緒に住む必要なかやっか。早う追い出した方がよかぞ」

東京で彼女と同棲する兄・大海と地元に残りホステスにいれ込む弟・岳志が中心の話なんですが、兄弟の女性に対する思いが正反対です。

 

俺が女を守る!っていうのが弟で、共働きしながら生きていくのが兄。

兄の彼女はブランドのバッグが欲しくて、そのお金を彼氏である兄が買ってあげられないと言うと、自分で稼ぐといってテレフォンセ・・・のお仕事を同棲している部屋で始める。

 

弟は七歳上の訳ありホステスの桜に肩入れしている。

店に通い、桜が上がるまで待ち、自宅まで送り、酒屋をやっている自分の家のお金を盗んで毎月渡している。

桜は迷惑がっているが、岳志は相手を守ってやっているのだと信じている。

 

正直なにひとつ共感できる場面も、「分かる」と感じられる場面もありませんでした。でもそれって、西原理恵子の作品にも言えます。

 

これが一番分かりやすいかな。 

女の子ものがたり [DVD]

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大人になると、男に殴られて、だから子供のことも殴る。

そんな大人になりたくなかった、と西原さんが何かで話していたのを見たことがあります。

 

「女の子ものがたり」は東京に上京したマンガ家の主人公が、地元の友人である二人の女の子との思い出の回想といった内容です。

これほんとに胸が痛くなる作品でした。

地元でしか生きられないと殴られる道を歩く二人が、迷っている主人公に「あんたは私たちとは違う、友だちなんかじゃない、どっか行け、帰ってくるな」的なことを言うんです。

 

 

この作品が何を書いているのか正直分からないでいます。

分かるとか分からないとか、正しいとか正しくないとかっていうのは、自分の中である程度知識があるから出てくるものだと思っています。

なので、私のこの作品に対する解釈はものすっごい見当違いなんじゃないかと思います。

 

 

核になっているのは母の存在で、破片というのは母のことなのかな、と思っています。

母は土石流に流されて死んでしまいました。

母に「こっちに来てはだめ」と言われたのに心配で兄弟はその濁流の中に足を踏み入れてしまった。

そして母が電柱にしがみついて、父を待っているとき、後で小さな悲鳴が上がる。

足を滑らせて岳志が流されてしまったのだ。

父が岳志を助けて、電柱に目を向けたとき、母の姿はなかった。

悲鳴も上げず、静かに土石流れの中へ沈んでいったのだ。

 

男が三人いて、誰も母を助けられず、母は声もなく消えてしまった。

兄・大海は助けられなかった自分から抜け出せず女を守る力がないと思い、弟・岳志は失わないためにいつでも全力で女にいれこむようになる。

 

なんか、佐藤泰志の作品にしても西原理恵子の作品にしても、吉田修一の作品にしても、すごく男女が密なんですよね。

なんでそんなめんどくさいものずっと持っておきたいの?って思うくらい手放さない。

生活の一部として相手が必ず組み込まれているというか・・・。

 

このさき、兄弟のおにぎりがどう変わっていくのか、色んな可能性を想像できるような自分になりたいと思う。

 

 

 

 

 海なし県民として

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キジはたまーに姿を見せます。

海なし県民であり、女性であり、二人姉妹の私からすると、まさに正反対のような作品でした。

 

埼玉県ってすごく楽なんです。

東京まで一時間くらいだし、東京に近いからそれなりにオシャレというか流行も一応入ってくるし、かといって都会ほど人口も多くなく、程良い田舎というか。

秩父とかってなるとまた違うかもしれませんが。

 

だけど、その分「埼玉はいいよ~でも特に埼玉らしいものは何もない」っていうのをすごく感じます。

なんていうんですかね、自分が埼玉にずっといるから気付かないだけかもしれないんですが、京都や広島はもちろん東北地方だって、やっぱり個性があるな~って思います。

 

新潟なら新潟、福島なら福島、岩手なら岩手の空気というか独特の土地感というものを感じることができました。

ちなみに私が一番好きなのは宮城県です。

のんびりしていて、ご飯も美味しいし、綺麗なイメージがあります。あと、行く時大体晴れているので、明るいイメージがあります。

 

埼玉の土地感ってなんだろ?って思うと、イオンとか総合ショッピングモールが多いことと、都会と田舎の中間っぽい何とも中途半端な感じ・・・しか思い浮かばない。

 

なので九州の作家さんとか北海道の作家さんとか、東北各地の作家さんとかって興味が沸くけど、埼玉出身の作家です!!と言われても土地にそこまで特徴がないから、「埼玉?だから何?」みたいな感じがする。

 

私の独断かつ偏見なんですけどね。

埼玉は住みやすく大好きなのですが、特徴なりブランドはないよなー・・・ってことをこの小説を読んでてすごく思いました。

 

なんか方言とかいいなぁって思います。

海辺って言葉とか無性にかっこよく感じる。

 

 どんな場所に生まれようと、今日を乗り越えて生きていくだけなのだけど。