深夜図書

不定期に23:30更新しています。独断と偏見、ネタバレ必至ですので、お気をつけ下さいまし。なお、ブログ内の人物名は敬称略となっております。

ボーン・コレクター/ジェフリー・ディーヴァー~生きる苦しみと苦しみながらも生きること~

≪内容≫

連続殺人鬼ボーン・コレクターは被害者の周辺に、次の犯行現場と殺害手口を暗示する手掛かりを残しながら次々と凶悪な殺人を重ねてゆく。現場鑑識にあたるアメリア・サックス巡査は、ライムの目・耳・手・足となり犯人を追う。次に狙われるのは誰か?そして何のために…。ジェットコースター・サスペンスの王道を往く傑作。

 

 

うむ。

思ったんですが、海外ミステリーって警察が絶対的主人公ですよね。

というか主役がすっごいはっきりしてる。

私の好きなミステリーって桜庭一樹的なミステリーで、あとは白夜行とか今追いかけてる京極夏彦の百鬼夜行シリーズなので、主人公は当事者なんです。

 

だからなんというか・・・新感覚というか、慣れない感じがしました。

ライムはとても魅力的な人間に描かれていましたが。

 

 

 

 

ボーン・コレクター

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「人間の核をなすものである。骨は変化することなく、欺くことなく、たわむこともない。汚れた存在である肉、下等な人種の醜さ、弱き性といったうわべが焼け落ち、あるいは蒸散してしまえば、人はすべてー例外なくー崇高な骨である。骨は嘘をつかない。骨は不朽である」

とか言っているボーン・コレクターに興味があるのに、犯人逮捕のシーンとかめっちゃ短くて、すーんって終わりました。

 

この思想の意味は・・・?

私が気付かなかっただけなのか・・・?

 

犯人のボーン・コレクターはある小説になぞらえて犯行を行っていました。(これも悲しみのイレーヌとカブる)

悲しみのイレーヌではその意図が分かるんですが、本作ではそこには触れられておらず、というか触れる前にボーン・コレクターVSライムの対決になってしまったので、?のまま終了・・・。

 

という流れから感じるのが、犯人どうでもいいんだなってことです。

あくまで、主人公のライムと女警察官サックスの関係が出来あがってくることや、そのことによってライムの心情が変化していく、ということが重要なのであって、ボーン・コレクターはそのきっかけでしかない。

 

というかもうライムとサックスのキューピッド的な役割だとさえ感じる。

 

かろうじて分かるのは「何のために」というところくらい。

 

そして、海外ではやっぱり「愛」が大切なのかしら?と思いました。

この二人の関係の進展の早さは日本人的感覚だと「早くない!?なぜ、もう同じ部屋で寝てる!!??」と驚くと思うんですが・・・私だけですかね?

 

ジェットコースター・サスペンスなだけあって、二人の関係もジェットコースター並に進展します。謎

 

 

 

 

リンカーン・ライム

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顕微鏡のつまみが回り、ライムは、どんな代価を支払ってでも自分の目であの接眼レンズをのぞいてみたいと思った。灰色のスポンジゴムに頬を押し当て、輪郭がくっきり浮かんだりぼやけたりする繊維や腐植の細片、血球、金属の削りかすを見つめて過ごした無数の夜の記憶が蘇る。

ライムはある事件で四肢麻痺になりました。

リハビリの結果、生きることは出来ても、ライムは自殺したいと思っており、何度も医師に相談していました。

ですが、答えはNO。

生きながら苦しみ続けなければいけない、自分の意思で動くことが出来ない、そういった苦しみをライムは抱えていました。

 

そして出会ったのがサックスという女警察官です。

とびきりの美女だがなんだかいわくがありそうな不思議な女性。

ライムはサックスに他の人にはない何かを感じ、自分の手や足となるよう命じる。

初めは「なんで私がしなきゃいけないのよ!」と反抗的だったサックスも、だんだんライムを信用し始め、捜査に対して協力的になっていく。

 

引用文のように、ふとした瞬間にライムの猛烈な苦しみが現れます。

何か食べたい、トイレに行きたい、お腹が痛い、こうしたい、ああしたい、そういったことを全て受け入れてくれる人がいるとしても、全てを口に出さなければいけないっていうのは苦しいなぁと思います。

 

事件の内容よりも、こういったライムの自殺したいほどの苦しみの方が魅力になっていると思います。

ライムはサックスと出会ってどんどん変わっていきます。

ほとんどあきらめていたことをやってみよう、動いてみようと思うようになるのです。

 

人が変わるきっかけになるのが、こういった恋愛感情ならば、恋愛ってめっちゃすごくない?とか思う私でした。

面白いというか、素直だなーと思ったのが、サックスが超美人なのにどこか影がある女という設定なところ。

ライムが女性なら男性版サックスは、めっちゃイケメンなのにどこか影がある・・・みたいな感じですかね。

 

そうそう、美しさって人を勇気づけたり、奮い立たせたりするもの。

もしもサックスが美人じゃなかったなら、ライムはどうしていただろう?

美しさともう一つ人を変えるものがある。

それは底なしの明るさ。ポジティブさ。

そういった輝きは他人を照らします。

 

ライムに必要だったのは、同情でも介護でもなくって、変化したいと思えるほどの美しさか底なしの明るさだったと思います。

 

 

 

 

証拠はどこにある?

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きみはきっとこう言うだろうねー犯人はもうわかっているのに、と。だが、そうだろうか。実は私たちは、目撃者の証言しか知らされていないんだ。私の口癖を覚えているかね?目撃者の証言を鵜呑みにするな、だよ。ひょっとしたら、聖書に書かれたことは事実に反するのかもしれない。いいかい、証拠はどこにあるんだ?物的証拠は。釘、血液、汗、槍、十字架、葡萄酒はどこだ?履物の痕、指紋は?

 こないだ読んだ姑獲鳥の夏でも同じ様な話が出てきました。

聖書や歴史のどこに信憑性があるか?

私たちは織田信長と会ったことも、織田信長と話したことがある人とも出会ったことがないのに、歴史は信じる。

だけど、妖怪のことは信じない。

その違いはなんだろう?

どちらとも"証拠"と呼べるものはなにもない。

証言が伝承されているだけです。

 

分かっている、というのはどこで判断しているんでしょう?

 

最近思うのは、知っているつもり、分かっているつもりでしかなくって、本当の本当のところは分からないのが真実なのではないか、ということです。

 

だけど、真実が分からないという現実だったとしても、分かろうとするのが生きていくってことなのかなーと思ったりしています。

 

なんかこの作品人気らしくってシリーズ化しているようです。

映画化もされているみたいです。

 

 

 

ミステリー好きな人は好きなのかも。