深夜図書

不定期に23:30更新しています。独断と偏見、ネタバレ必至ですので、お気をつけ下さいまし。なお、ブログ内の人物名は敬称略となっております。

【映画】ダブルミンツ~どんなに愛しても一つになれないから生きていけるんだと思う。~

≪内容≫

女を殺した。今すぐ来い―
中村明日美子原作の問題作を実写映画化。淵上泰史×田中俊介(BOYS AND MEN)W主演、内田英治監
督が描く、犯罪と暴力の中で翻弄される男たちの極限の愛憎劇。

 

 

 

www.youtube.com

 

原作・中村明日美子と聞いて。

この人の漫画読んだことはないんですが、「【映画】同級生」が良かったので、今回もそんな感じかなーと思って予告も見ずに観てみました。

 

今回はアニメーションではなく、実写。

やっぱり実写っていろいろリアルですよね。今更だけど。

原作にどれだけ情報が詰め込まれているのか、映画だから削られてるのかは分からないのですが、この二人を繋いでいるのは同姓同名という名前だけです。

 

その他にこの二人が共通するところはないと思うし、真逆な人生を送ってる感じ。え?二人友達なの?みたいな。

さらに、二人の出会いも、それぞれの個人的な性癖なり過去なりの描写もほとんどないですし、たぶんこの作品は好きとか愛してるとかそういうのじゃないんだ、という印象がありました。

 

人が誰かと一つになりたいと思う時があるとすれば、その相手のことを好き好きでしょうがない、とか、愛して止まない、といった感情に突き動かされて起こると思うんですが、この二人(作品)はそういう感情の部分ではなくて、本能というか運命みたいな部分で起きた繋がりだと感じました。

 

運命的な観点から見ると、「【映画】君の名は。」を思い出しました。

 

 

 

 

アンドロギュノス

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二人のミツオはミツオの家でこのテレビを見ている。

アンドロギュノスはすごく傲慢で
いつしか神様に二つに分けられ
二人は永遠に求め合うことになりました。

アンドロギュノスは日本では両性具有という意味です。詳しくはwikiってみてください。

中々ロマンチックなギリシャ神話だと思いました。

元々は一つだったものが、二つに分けられてしまったから、人はその半身を求める、故に女は男を、男は女を、もしくはその片割れを探すのだと。

 

きっと俺とミツオくんは同じひとつの身体だったんだ。

 それが分かれてしまったのかも。

 ミツオがミツオに語りかける。

漢字は苗字も名前も違うんですが、響きは全く同じ。

だとすると、視覚より聴覚の方がいかに人に作用しているかが分かりますね。

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不良のミツオと優等生のミツオって感じですかね。

 

ちなみに、ダブルミンツってどういう意味なんだろう?ってすごく気になっていました。ミンツ=ミントの複数形、ダブル=二人というのは分かるんですが、ミントってどういう意味?食べるミント?って感じで調べて見ました。

 

ミントって和名・薄荷ですが、そう考えると、キンキキッズの「薄荷キャンディー」っていう曲の歌詞に「薄荷の匂いの運命のひとさ~♪」っていうのが思いつきました。しかも作詞が松本隆さん。

薄荷キャンディー

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 あと、韓国映画の「ペパーミント・キャンディー」

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 ミント、薄荷ってなんなんでしょう?

私自身がミントガムとか、チョコミントとか、ドロップのハッカ味とか苦手で避けてきたせいで、全くミントへの思い入れや興味がなく分かりません。

 

花言葉の「迷いからさめる」の意味なのか、効能にある毒性を意味しているのか、分かりませんが、「迷いからさめる」というのだと割としっくりくるかな、と思います。

 

自分の片割れを見つけた瞬間から、本当の世界が始まる、といったような意味で。

そう考えると終わりも割と納得がいく感じです。

 

 

 

 

 

入口と出口

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↑私は煙草が嫌いなので、早く無くならないかなって思うんですが、こういう映画ではものすっごくいい味出しますよね。

静止画だと死んじゃうんですけど、このシーンの煙がすっごくいい感じなのです。

こういう暴力的な映画を彩る一つに煙草の煙があるのだと思うと、我ながら矛盾に苦しみます。

私生活では嗅ぎたくないので、嫌ですが、映像的にはすごく刹那に感じる。煙草。

二つに分かれてたもんが一つになった
で、どうなるんだよ
半欠け同士がくっついて
また丸いボールになって転がって
どこに行くんだよ俺たち
どこに行けんだよ

寝てるミツオに不安な胸の内を吐露するミツオ。

 

話が進んで行く内に感じるようになったことがあって、

それはミツオ=ミツオだということです。

 

これは片割れ(悪いミツオ)+片割れ(良いミツオ)=ミツオではなくて

悪いミツオ=良いミツオなんです。

 

物事には必ず入口と出口がなくてはならない。というのは「1973年のピンボール/村上春樹」で出てきた言葉ですが、まさにその通りだと私は思っていて、たぶん、引用文を話したミツオも漠然と思っていることだと思います。

 

悪いミツオは良いミツオと一緒に暮らすようになっても、放浪癖は治らず、組から抜けることもなく、更に金をちょろまかす悪事まで働いて組の者にしめられてしまいます。

 

私は悪いミツオのもう一人の自分が良いミツオだと思って観ていました。

パラレルワールドというか、もしも、自分が違う人生を歩んでいたら・・・という存在。

故に、悪いミツオ=良いミツオなんです。

 

だから、彼らは入口であり出口でなければならないし、始まりであり終わりでなければならない気がしてました。

彼らが出会い、一つになるということは、入口も出口もなく始まりと終わりもない、いわば永遠のループ状態になる気がするのです。

しかも、アンドロギュノスの話に戻ると、一つになったとしたら、待ちうけているのは断絶じゃないですか。

結局一つになったところで、その先に待っているのは、また二つに分けられてしまう未来なのです。

 

ギリシャ神話上は神が裁きますが、この世界では人が人を裁くでしょう。

悪いミツオはなんとなく漠然とそういう未来が分かっていたんじゃないかなぁと思います。

関係を始めたのも悪いミツオなんですがね。

悪いミツオはたぶんすごく繊細なんだと思います。

良いミツオは割と図太いというか、まぁ、Mって強くないとなれないから。

 

だからね、私は割とラストシーンから想像する彼らの未来はバッドエンドになってしまう気がします。

故にちょっと救いのない物語に感じました。

 

私が悪いミツオだったら、最後の最後の希望として、良いミツオとは一緒になりたくないんです。どんなに好きでも。

一緒になったらもう、出口が完全になくなるから。

離れていれば、自分がどうにもならなくなったときでも、自分には出口(救世主)として良いミツオがいるんだ、と希望を持てるから。

 

出口がなければ鼠取りに捕まった鼠みたいに出口を見つけられず死んでいくだけだと、思ってしまう・・・ので悲しい物語に映りました。

 

 

人は一つになりたいと思うけど、実際一つになれないから生きていけるんだと思うのですよ。

お互いが入口になったり出口になったりして、それが生きていくってことだと思うんです。どうか二人がそれぞれのミツオのまま、生きていきますように・・・。

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マンガの評価すごく良いですね。気になる・・・。 

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