深夜図書

不定期に23:30更新しています。独断と偏見、ネタバレ必至ですので、お気をつけ下さいまし。なお、ブログ内の人物名は敬称略となっております。

クリスマス・キャロル/ディケンズ~子どもはどこにも行けない~

≪内容≫

クリスマスの前夜、ケチで意地悪なスクルージ爺さんの前に、7年前に死んだはずの共同経営者マーレイの幽霊が現われた。そしてスクルージは、3人の精霊によって自分の過去・現在・未来の姿を見せられる…。文豪ディケンズが、クリスマスを舞台に人間の愛と善意をペーソス溢れる筆致で描く世界的名作。

 

 

 

これ今読むとあんまりしっくりこない気がするんですよね。

まさに時代小説というか。

今を生きる人にとっては分かりきってるというか。

なので、この作品を読むときは当時の時代背景を想像した方がいいです。

ディケンズの「クリスマス・キャロル」がかけた魔法 - 英国ニュース、求人、イベント、コラム、レストラン、イギリス生活情報誌 - 英国ニュースダイジェスト

私のコンプレックスの一つがこういう名作をほとんど知らないことです。

なんとなく名前だけ知っているっていうのが多くて、空っぽな自分が恥ずかしいというか。今年は名作にたくさん触れたいとも思っています。

 

 

 

 

 

 

子供はどこにも行けない

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  本作はいじわるな守銭奴スクルージの元に死んだ共同経営者のマーレイが現れ、スクルージにこのままお前が変わらなければこんな未来になるぜ、と忠告をしにくるところから始まる。

三人の精霊の言うことをよく聞くのだ、とマーレイは告げ夜の中に消えていく。

マーレイが言ったとおり三人の精霊がスクルージの元にやってきて、現在、過去、未来にスクルージを連れて行く。

そこでスクルージは自分の無力な子ども時代を、自分が見捨てた子どもの死を見る。そして自分の成れの果ても・・・。マーレイと精霊たちによって客観的に自分を見たことと、幼き自分を思い出したことで、スクルージは改心した。

しかめ面をやめて、メリークリスマス!と上機嫌に待ち行く人に声をかける。

スクルージ爺さんがクリスマスに得たものは「思いやり」だったのだ。

 

というのが、私的「クリスマス・キャロル」の内容です。

もう最初から最後がわかるような内容なんですけど、それでもだからといって途中で「あ~はいはいそういうの分かってるんで大丈夫です」とはいかないのが物語の物語であるゆえんとも思えます。

 

解説より。

寂しい子供も、ちびのティムも、そして前に触れた『オリヴァー・ツイスト』に出てくる衰弱しきったディックも、みな哀れな子供で、じっと目をとめずにはいられないが、これらはチャッタムでの懐かしい子供時代と気の毒な靴墨工場時代の自分の心境を理念化したものと考えられ、弱々しい子供でも、ちゃんと目をかけてやれば立派に伸びる才能、資質を持っているということを作者はいいたかったのである。彼はどこかで、子供は大人の父だといっているが、それはそういう意味でいっているのだ。子供を被害者にしてはいけない、放置してはいけないという考えと、大人の社会の嘆かわしい現状を直さなければならないという考えとが重なってくるのである。 

 ※下線および太字は私がつけました。

 

子供ってほんっと無力だと思うんですよ。

それをストレートに書いてるのがこれ。

 

 

子供は親を選べないし、環境を変えることはできない。

大人になると、子供時代を懐かしんだり帰りたいと思うこともあるけれど、子供時代のあの無力さをもう一度体験したいかと言われると、頷きかねる。

 

本作の主人公はスクルージ爺さんで子供ではありません。自分の子供もいないしね。だけどスクルージ爺さんの行いで一人の子供の未来が変わるんです。

 

大人って子供にとってすごく影響力があると私は思っています。

それこそ鏡みたいに。

それは自分の子供だけじゃなく、人の子供、街で出会う子供、電車で、スーパーで、コンビニで、一期一会的に出会う子供たちにも影響してると思うのです。

 

私が最近思っているのは、子供の時に見捨てられて何とか生き残った大人がどうしたら子供時代に得られなかった大人からの愛を貰えるのかってことです。

【映画】君はいい子~優しさは使おう、貰おう、逃げよう、求めよう~ - 深夜図書

の中で出てくるワンシーン。

あたしがあの子に優しくすれば、あの子が他人に優しくしてくれんの。

だから、子どもを可愛がれば世界が平和になるわけよ。

ねぇ母親ってすっごい仕事でしょ?

 こういうことだと思うんです。

 

大人に優しくされて育った子供は他人に優しくできる。というか、優しさを理解することができる。もちろん、人だからいつでもどんなときでも優しくするってことは難しいけど、優しさを優しさのまま受け止めたり与えることができるんです。

それが減るものや損することではないことを分かってるんです。

 

そういうものを与えられず戦い続けて大人になると、優しさを優しさとして受け止められずに何に対しても裏を考えたり、与えることに臆病になっているように、思えるときがありました。

 

だけどそういう人に「いや、でもあんたもう大人なんだからさ、辛かったかもしれないけど子供に優しくしなさいよ」とか「大人気ないよ」とかは言いたくないのです。

その人が怖がらずに受け取って、それを誰かにあげること。

そうじゃなきゃ優しさじゃないんです。

 

そのことをずっと考えてる。

 

 

 

 

最後の鑑賞でイギリス的幽霊、日本的幽霊の話があってすごく分かる!と思ったので紹介します。

日本の幽霊は生きている人間に悪さをする。いわゆる「たたる」のである。「うらめしや」がそのきまり文句だ。縁もゆかりもないひとにまで、生前の自分のうらみつらみを押しつけて、うらみを晴らそうとする。そこで、心あるひとが、なんらかの形で供養をし、成仏を願うというパターンである。

 なんと自立していない幽霊であろうか。自分の運命にたいしていさぎよさがなく、いやらしい存在ではないか。私は日本の幽霊は嫌いだ。 

 これめっちゃ分かる。

だから日本のホラーって嫌い。大嫌い。絶対見ない。あの理不尽さ、許せない。せめて関係あるやつ呪えよ!無差別に呪ってんじゃねえよ!と思う。

 

イギリスの幽霊は危機を救うために現れる「良き幽霊」である、と続くのですが、そこで私もどういう幽霊いたかなーと考えてみました。

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 確か、これはその「良き幽霊」だった気がする。

あとこれも↓確か忠告してくれる霊だった気がする。どちらもギレルモ監督作品。この方イギリス人ではないですが・・・。

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 うーん、あとは人間のヤツかカルトホラーしか覚えていないな。見た感じめっちゃ怖いんですけど、頑張ってる人を応援してくれる幽霊です。

後はちょっと違うけどこれ。やっぱりギレルモ監督。

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この作品に関しては話すとネタバレになっちゃうんでやめときます、でもびっくりする作品です。ギレルモ監督の作品はほとんど子供が出てくるんですが、環境や大人によって犠牲になったりします。

 

子供ってかわいいだけじゃなくて心底腹立つときもあります。

生意気でくそがき!ってイライラすることもあります。

そう感じる大人が優しくないってことじゃなくて、謙虚な子供だけに手を差し伸べるってことじゃなくて、世界全体というか、もっと長期的な視野で見ていきたいな、と思っています。

 

 

大人になってからふとしたときに、ふとした瞬間の大人の行動を思い出して、いまさらありがとう、って思ったりするから。