深夜図書

書評と映画評が主な雑記ブログ。不定期に23:30更新しています。独断と偏見、ネタバレ必至ですので、お気をつけ下さいまし。なお、ブログ内の人物名は敬称略となっております。

【映画】レッド・ドラゴン~目にガラスを埋め込まれた女の死体と、盲目の女~

≪内容≫

天才精神科医、レクター博士(アンソニー・ホプキンス)が、連続猟奇殺人犯であることを見抜き、重症を負いながらも彼を逮捕したFBI捜査官グレアム(エドワード・ノートン)。しかし、精魂尽き果てた彼はFBIを辞職、妻子ともに隠遁生活を送っていた。

 

 

 

ハンニバルシリーズの公開順は

「羊たちの沈黙」→「ハンニバル」→「レッド・ドラゴン」→「ハンニバル・ライジング」だそうです。

前回の「ハンニバル」の記事で同じ人にクラリスを演じてほしいと書いたんですが、今回のFBI捜査官はクラリスではなく、グレアム(♂)。

レクター博士を牢屋に送った人間です。

 

グレアムとレクター博士。勝つのはどっちか。

 

※グロ画注意です!

 

 

 

 

 

似通った二人の決定的な違い

f:id:xxxaki:20180519150550p:plainレクターは自分を捕まえたグレアムを認めています。

君と僕は似通っている、だから君は僕を捕まえることができた、と。

 

二人が持っている類まれなる想像力。 

レクターはその力で捜査の目をかいくぐり、グレアムは真実に辿り着いた。

悪と正義。f:id:xxxaki:20180519175740p:plain

 グレアムはレクターを拒否します。

そもそもレクターとの対決の後、FBIを退職していたのです。

しかし、残虐な殺人事件の発生がまた彼を現場に呼び寄せます。更にはレクターへの面会もです。彼はレクターとの対決で瀕死の重体に陥った。その経験は恐怖となって今もグレアムに刻みこまれているのです。

f:id:xxxaki:20180519180735p:plain

さて、今回の残虐な事件は一家惨殺だけには留まらず、その家の妻の目には死後、ガラスの破片が埋め込まれていた。犯人は家中の鏡を割り、その破片を使ったのだ。

犯人は妻を強姦し、その光景をすでに息絶えた家族達に見せつけた。

f:id:xxxaki:20180519182512p:plain

両親のベッドサイドの壁に残る血の跡、子供たちのベッドについた血とそこから引きずられた跡が、グレアムに事件当日の様子を語りかける。

f:id:xxxaki:20180519182831p:plain

グレアムは確かに一流の想像力を持ち合わせているのかも知れない。

しかし、その才能を開花させたのは本人の努力であると思う。彼は何度も自分に問いかける?「なぜ?」

そして、何度も繰り返す。簡単には飲みこまず考えて考えて考える。

f:id:xxxaki:20180519183200p:plain

すでにFBIが捜査したはずの現場からは情報が届いているはずですが、彼は自分の足でもう一度その場に赴く。そして彼らが取りこぼした小さなサインを拾っていく。

彼の想像力を支えているのはただの直感ではなく、丁寧な行動なのだと思います。

一見意味のない行動と見えるもの、何のメッセージ性のない欠片、それらの蓄積がある時にグレアムの中で弾ける。

f:id:xxxaki:20180519183657p:plain

嫌味でもなんでもない真実。

しかし、それを他人は彼の特別な能力として見る。

グレアムはその力故にこの事件に引きずり込まれていきます。

f:id:xxxaki:20180519185116p:plain

一方レクターはグレアムと事件について話し合う一方、犯人とコンタクトを取ります。これは成功し、犯人からの手紙が彼の元へ届く。

レクターは、記事に「人喰い魔」と書かれ、犯人は「咬みつき魔」と評されている。犯人はこの"あだ名"を大変遺憾に思っていた。

f:id:xxxaki:20180519185750p:plain

今回もハンニバル逮捕時に記事を書いたゲスい記者が現る。

この人画面に出てきた瞬間「カポーティ何してるんじゃ!」と思ってしまった。笑

カポーティ [DVD]

カポーティ [DVD]

 

 よく見ると金髪に青い瞳で、痩せたらディカプリオみたいになるんじゃないかしら・・・。

カポーティの時と全然違う話し方で(当たり前ですが)、味のある俳優さんだなぁと思ったのですが、残念ながらもういないのですね・・・。

f:id:xxxaki:20180519191701p:plain

目にガラスを埋め込まれた死体と、盲目の美女

グレアムの問い「なぜ目にガラスの破片を?」

f:id:xxxaki:20180519192654p:plain

これは犯人のクラップノートの一部です。一瞬映っただけだし、英語なので何について書かれているのか分からない・・・。ただ彼が目について調べていたということが分かる。

犯人が感じているのは目への執着か、恐怖か・・・。

目の手術で想像できるのは斜視くらいなのですが、もしかしたら犯人は斜視だったのかな。

f:id:xxxaki:20180519195947p:plain

レクターの言う通り、犯人は「まだ変身の途中だ」というようなことを言いました。

彼は自らの肉体を自ら造り上げる。ただ、その自らの中には何者かがいる。

f:id:xxxaki:20180519200108p:plain

現場に残された貴重な情報である歯型。

これが入れ歯なのですよ。

f:id:xxxaki:20180519200150p:plain

彼は犯行にはこの歯を使い、通常は綺麗な白い入れ歯を使う。

では、この汚い歯の源はなんだろうか。

f:id:xxxaki:20180519200241p:plain

私はこのおばあちゃんの歯だと思うのですよ。

前歯の二本と下の歯の隙間の三角地帯が歯型にそっくりじゃないですか?

犯人は祖母にいびられて育った。愛のない言葉に傷付き、彼は自分自身を否定せずには生きられないようになる。その結果が自分と、もう一人の自分を産んだ。

f:id:xxxaki:20180519200720p:plain

これがタイトルにもある「レッド・ドラゴン」なわけですが、私には犯人自身がレッドドラゴンになりたいのか、レッドドラゴンを絶対神(祖母)と見ているのか、の違いが分からないのですよね。

でも、wikiにはこうあるので

殺人鬼は「赤き竜」レッド・ドラゴンを自分と同一視し、いつかは自分も竜になるのだと信じて凶悪犯罪を重ねていた。(wikipediaより) 

殺人行為のときには 「レッド・ドラゴン」になっていたわけです。

そう考えると、目にガラスの破片を入れたのも、レッド・ドラゴンを見るためと腑に落ちますね。

f:id:xxxaki:20180519201750p:plain

ついに犯人を見つけたグレアム。

 

怖いのはここからなんですよ。

ラスト10分がメインみたいなもんです。

いや、もちろんめちゃくちゃ面白かったんですよ。110分間。正直前作の「ハンニバル」よりすこぶる面白い。「羊たちの沈黙」と同じ構図だからかもしれない。(クラリスほどレクターに依存はしていないが)

 

でもね、正直「羊たちの沈黙」のラストよりこっちのラストの方が残る。

なぜなら怖いから

f:id:xxxaki:20180519202155p:plain

レクターのいう夢ってなんなんでしょう。

次のライジングで明かされそうな予感・・・。

レッド・ドラゴン [DVD]

レッド・ドラゴン [DVD]

 

 最後のシーン泣いた・・・。