死にたい。
でも、辛くて死にたいとか苦しくて死にたいとか、虚無感に苛まれて、とかそういう切実なものじゃなくて、何かポップに死にたくなった。
終戦記念日を前にしてこいつは何を言ってるんだろう、と思う人もいるでしょう。でも、仮死の儀式は7月に無事完了して私はアップデートされました。(自分比)
ポップに死にたいってどういうことか申し上げますと、たぶん変わりたい、と強く思ったんだと思います。一回全てリセットしたい。自分の容姿や歴史や家庭環境、貯金額、仕事、友人関係、そういうものの表面は何一つ変わんなくていいから、自分がそれらを見る目を新しくしたい。そうしたら今まであるものも新しいものに変わる。
だから・・・引っ越しました。
そのときにほとんどのものを捨てました。
親が買ってくれたから、といらないのに捨てられなかったブックシェルフやメタルラック等の家具や小物。そして"いつか"を永遠に待ち続けてる服と靴たちと再読してないしする予定もない漫画と本。家電も全部引き取ってもらうか譲るか捨てるかしました。
そう。
仮死の儀式とは引っ越し、もしくは引っ越しに伴う断捨離のことです。
でも、本当は引っ越しの予定も断捨離の予定もなかったんです。だから更新料金だって払ったばかりだったし、新しく靴を買ったり本買ったりしてたし・・・。
だけど、そうせざるを得ない出来事が起きたのです。
ちょっと怖いかもしれないし、スピリチュアルっぽいので苦手な人はこの先注意です。
ノイローゼになるかと思いました、ほんとに。
急に始まった騒音で不眠症になる
軽量鉄骨四階建てアパートの二階に住んでました。それまでの三年間、上の階からの騒音はなく安穏の中で暮らしていた私。
それが今年の3月ごろ。
急に二階からドンドンドンッ!!!と何かを床に打ちつけるような音が響くようになりました。ドシドシと歩く音、掃除機をかける音も天井からガンガン響くようになりました。
それでも最初はなんかイライラしてるのかな~くらいにしか思っていなくて、あんまり気にしませんでした。うるさいことはうるさいけれど、一過性のものだと思っていたのです。
しかし、その音が止むことはありませんでした。私は知らず知らずの内にベッドに入って天井を見つめると、その音がいつ鳴り始めるのか待つようになっていました。
そんな中、5月のある日、その音は深夜の三時を過ぎても続きました。何か工作でもしているのか、家具でも組み立てているのか、床に何かを打ちつけるような音、高いところから床に物を落とす音、足音・・・
それまでの私は一回眠ってさえしまえば起きることはありませんでした。しかしその日は眠ることも出来ず、四時になりカーテンをめくると空が明るくなっていました。しばらくすると電車の音も聞こえ始めました。うとうとと夢うつつの状態になると、上からの音で目が覚める。その繰り返しで、その日は文字通り一睡も出来ませんでした。月曜日の朝でした。
その日、怒りで電車の中でも会社でも眠気はやってきませんでした。昼休みに管理会社及び大家に連絡すると、上階の人にすぐ注意をしてくれました。謝っているから様子を見てくれ、と言われました。それから2,3日は奇妙なほど静かでした。恐怖を感じたほどです。しかし、四日目からは変わらず騒音が始まりました。
私は耳栓を買いました。
もっと前に百均の耳栓は勝手使ってたのですが、あまりにうるさいので、いいやつを買おうと思って・・・。
8個入り。
迷彩のやつなんて米軍耳栓って書かれてた。効きそう。真っ先に使った。
百均のやつもそこそこ静かになったけど、桁違いに静かになりました。
逆に不安になる。そして自分の心臓の音が・・・キコエル。
でも、それでも聞こえるし、何より自分がその音を待つようになってしまったんです。疑心暗鬼がハンパない。眠ろうと思っても、めちゃくちゃに眠くても、仕事帰りに水泳二時間泳ぎまくって即寝落ちシステムを作っても、布団に入ると、眠気が吹っ飛ぶ。
「だって、どうせ今は静かでも、突然大きな音たてるんでしょ?」
いつなの?寝てるの?今日はどこかに行ってるの?そんな疑心暗鬼状態が一時間以上あり、その間無音ならば少し安心するのか眠気がやってくる。
しかし、自分の寝たい時に眠れないストレスは日に日に募ります。
私はご法度である、天井を思いっきりコロコロで殴る、という行為をするようになりました。それをしても全く効果がないときもあるし、止むときもあった。でも、音が止んでも私は悲しかった。何で私が天井を殴らねばならないのだ。意図的な暴力で解決するのは自分にとって想像以上に自分に負荷がかかった。
それから私は上の階の音が止まないとき、外に出て外から自分の部屋の上階の灯りを見に行くようになった。例え深夜の二時三時だとしても。
部屋の中より外の方がずっと静かだった。このまま階段で眠りたいと思ったし、近くにカフェスペース付きのコンビニがあったら、確実に気晴らしに行ってたし、交通機関が動いていたなら漫画喫茶でもカラオケでも行ってた。
もう深夜だから危ないとか、怖いとかそういう感覚は壊れていた。
深夜に外に立って自分の部屋の上の部屋の灯りを見つめながら「静かな場所に行きたい」と強く思った。
どこでもいい。私を脅かす音がない場所、私の手が何かを殴らなくてもいい場所、ただ眠れる場所に行きたい。
そう思ったとき、上の部屋の灯りが消えた。私はやっと寝たか・・・と思って部屋に戻った。しかし騒音は続いていた。私はまた外に出て、部屋の灯りが見える場所まで歩いて行った。そして見えたのは、私の隣の部屋の上の部屋の灯りだった。