深夜図書

不定期に23:30更新しています。独断と偏見、ネタバレ必至ですので、お気をつけ下さいまし。なお、ブログ内の人物名は敬称略となっております。※18/9/8ブログ内工事中・・・

【映画】プライベート・ライアン~映画はほんとうのリアルじゃなくても自分の想像より何百万倍も優れてる~

≪内容≫

過酷なノルマンディ上陸任務の後、ミラー大尉以下8人の兵士は行方不明のライアン二等兵救出を命じられる…。アカデミー賞(R)監督賞ほか全米映画賞を独占したスピルバーグの最高傑作! 冒頭30分のノルマンディ上陸作戦の描写は映像、音響ともに迫真の名場面。

 

 

 

 まず、戦争映画を見るときに自分の中で決めてることがあって、それは海外→日本、もしくは日本→海外、という風にどっちかに偏らずに見ること。

 昔は日本のばかり見ていた。

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 これは二度と見たくないと思うほど嫌な気持ちになった↑

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 帰還し軍神となった夫とその妻とその当時の周りの感じを描いてる。ねえ、そうだよね?って思えた作品。

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戦争・・・というより海猿っぽい印象でした・・・。

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 この二人のように、戦争の時代から永遠にどこにも行けずに彷徨う魂がどれだけあるんだろう、と思う。

 

 

 戦争映画は避けてた。見たくなかったし、最後まで見れる自信がなかった。だから初めて日本以外の戦争映画になると思う。プライベート・ライアン。なぜこの作品を選んだかというと、プライベートに兵卒っていう意味があることを知ったからです。日常の言葉にも戦争が息づいてる。

 

 

※血や臓物が出てきます。苦手な人はターンバック。血は日常茶飯事レベルです。

 

 

 

 

 

 

戦争って人が死ぬってこと。

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  私は基本的に映画の内容欄に書いてあることを九割は信じていないのだけど、「冒頭30分のノルマンディ上陸作戦の描写は映像、音響ともに迫真の名場面。」という言葉はそのまま本当だった。

 

 まず、音がすごい。私はスピルバーグ監督もジュラパの人としか思ってなかったんですが、音がすごい。思えばジュラパの曲はすごく良かったのだった。

 

 歯医者の治療の音が嫌いな人って多いと思うんですが、ちょっと歯医者で聞く音に似てる音が出てくる。そしてパシュッパシュッって結構軽快な音がする。

 ドゴォーン!とかバン!バンバン!!パラララララッっていう豪快な音だけかと思っていたらすごく色んな音があるのですね・・・。

 

ノルマンディー上陸作戦といえばサリンジャーじゃないですか・・・。

「決まって前線に配置されて、きまって真っ先に殺された、つぎからつぎへとまるで波みたいに前線に押し出されて」。

まさにこの言葉通りのことが映像になっていました。

 

 

 銃で撃たれたら死ぬじゃないですか。死ぬじゃないですか。

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 上陸しただけで死んでるんですよ。血の海なんです。だから上陸したくないのに、出ろ!と命令される。上陸しないで水の中にいても水の中に入った弾で死ぬ。

 ほんとに「は?」って思うくらい死ぬ。

は?え?なんで銃なんて作った?

 

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 この人が米軍の腕利きのスナイパー(だと思う)なんですが、だからこそこの人はめちゃくちゃ敵兵を殺す。

 殺すんです。でも、この人が味方にとってはスーパーマンなんだろうな、とも思える。この人がいなかったらもっとたくさんの仲間が死んでた。そう思う・・・そしてその分敵兵は死ぬ。

 

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 本当に映像と音がすごいんですが、思えば私は陸軍兵士視点の映画を観たのが初めてだった。なんか普通にヤバくない?と思う。

なんで人を殺す道具を作っても罪にならないんだろう?なんで人を殺す人がこんなにたくさん同じ場所に集まってるんだろう?なんでこの人達はそれを出来るんだろう?

 

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 タイトル「プライベート・ライアン」の意味がここで出てきます。

二等兵のライアンをこの大勢いる兵士の中から見つけ出し帰国させよ!との命令が下ります。四人兄弟を戦争に送った奥さんの元へ、三人の戦死の知らせが届く。上層部は四人全員の死を告げることを回避するため、生死不明の末息子ジェームズ・ライアンを戦地からと帰国させようとしたのだった。

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 しかし、ライアンを探し出すのは困難をきわめた。移動中に戦闘がないわけがない。彼らの大切な仲間は二人亡くなっていた。生きているかも分からないし、その人物さえ知らないのに自分や仲間の命をかけて命令に従いライアンを見つけ出した兵士たち。

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しかし、ライアンは命令を拒否。

彼は血の繋がった兄弟は戦死したが、ここにいて共に闘っている兄弟を見捨てて自分だけ帰国するなんて出来ない、と言う。

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そこで、隊長たちはライアンを戦死させないことを決める。

その為に自分たちもこの激戦地に残って闘うと。

でも、そもそもライアンにしか母がいないわけではなく、彼らにも死んでいった仲間たちにも母がいるわけです。確かに四人の息子全員が戦死したと知らせを受けるのも伝えられるのも悲しすぎることで、心揺れますが、誰もが母から生まれているわけです・・・。

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 戦争というのは個人がないじゃないですか。大きな目標に向かって全員一致で向かっていく。そのために個性とか個人的な意見と言うのは排除されていく。

そうなると、「何のために」という明確な理由や、それを遂げるための強い意志は、日に日に消耗されていくと思うのです。身近な誰か特定の人物のために、という動機はマイク軍曹が言ったように"誇り"となるのだろう・・・と思う・・・。

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 冒頭30分も激戦ですけど、ライアンを探しだすまでの道のりも、最後の戦いも相当に激しいです・・・。うぉっうぉおおおおおおおっうわぁっひっ・・・となりながら見てました。

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 基本みんな怒鳴ってます。

爆撃の中なので大声じゃないと聞こえないんですね。耳もおかしくなるし。この人ここでも撃ちまくるんですけど、次の弾丸の準備をしているときの焦り具合がこっちも焦る。

 こういう場面は文面を読んで自ら想像する光景の貧困さに毎回無知を思い知らされる。映像の過激さ、リアリティはほんとうのリアルじゃなくても自分の想像より何百万倍も優れてる。

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兵隊同士の友情をモチーフにした小説を書きたいというアパム。

彼は地図作成と翻訳のために派遣されたのだったが、今回の緊急任務で思いがけずチームに入れられてしまった。戦闘経験のないアパム。

ないからこそ、彼はどんな場所でも規律や道徳を持ち込む。もちろんそれだけじゃない。彼は兵士の格好をしているが、画面のこちら側にいる我々一般人視点でもある。

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彼を見て思ったのは、人は兵士の素質を持って生まれたんじゃなくて、戦場と経験が人を兵士に変えるのだ、ということです。

 

見てると「アパーーーーーム!!!!!!」と叫びたくなると思う。どうしても、米軍視点で見てしまうと思うから。この絵の通り、彼は戦闘経験がないから人を銃で殺すのではなく弾丸の運び係なわけです。(恥ずかしながらそんな役割があるとは全然知らなかった)

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超重要なんですね、アパム。弾丸が尽きる怖さが描かれてます。

兵士になりたいと思う理由に「強くてタフな男になりたい」というのがあるとして、その強さというのは、単純に敵を倒せる強さ(戦闘能力)ではなく、仲間を守るためにどれだけ自分が戦えるか、ってことなんだろうなぁと思いました。

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 「夜と霧」で著者フランクルは「いい人は帰ってこなかった」と書いてましたが、仲間を守るために攻撃し続ける兵士をいい人とするなら、この映画の中でもまたいい人は帰ってきませんでした。

 守られた兵士と、逃げ続けた兵士が大地を踏んでいました。

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映画中盤ではこう言っていたアパム。

まだ戦闘区域に入ったのは二回目でした。

その彼がどう変わっていくのか、変わらざるを得なかったのか、戦争における法がどれだけ矛盾していて、現場の心情と異なるのか、その点も描かれていました。

 生き残ることの罪悪感というのが少しだけ分かった気がします。生き残ったんだからさ、なんて言えない。ていうか何も言えない・・・。