深夜図書

書評と映画評が主な雑記ブログ。不定期に23:30更新しています。独断と偏見、ネタバレ必至ですので、お気をつけ下さいまし。なお、ブログ内の人物名は敬称略となっております。

【映画】サイレントヒル~子供にとって母は神~

≪内容≫

最愛の娘・シャロンが、悪夢にうなされて叫ぶ「サイレントヒル…」という奇妙な言葉。母親のローズはその謎を解くため、ウェストバージニア州に実在する街・サイレントヒルを訪ねることにする。しかしまったくひと気がなく、深い霧に覆われたその街は、一度足を踏み入れたら抜け出すことのできない呪われた迷宮だった。そこで失踪してまったシャロンの身を案じるローズは、おそるおそるサイレントヒルを探索するうちに想像を絶する恐怖に見舞われていく…。

 

 

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 これ最初にちょっと出てくる女の子の幽霊みたいな顔が日本っぽいなーって思ってたら原作は日本なんですね!

 

 ゲームが原作とあってか、ホラーだけどアドベンチャーっぽくてエンターテイメントホラーみたいで面白かった。

 今更だけど、ホラーって蟲が割と頻出するから、苦手だったけど慣れた気がする。これGに酷似した蟲が大量に出てくるので、失神レベルで苦手な人はやめた方がいいかもしれない・・・。

 

 

 

 

体験型ホラー

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 このトイレを一つずつ開けてくシーンとか鉄板なんですが怖い。

「ひええ・・・ひええ・・・」となりながらwkwkしちゃう自分がいる。

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 この地図を覚えなきゃいけないのも、右右・・・左、右・・・とかローズと一緒に覚えちゃう。ホラー映画が観れるのは、誰の立場にも自分を置くことができないからだと自分で分析してるんですが、この作品はローズ視点になりながらも楽しめるというホラーとしては異色な気がします。

 

 これカナダとフランスの合作らしいのですが、欧米ってほんとサービス精神旺盛だよな、と思う。そしてIt's cool。アジアではあまり見ないアッサリ感。だから怖くないんだよなぁ。欧米のホラーって。

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 サイレントヒルは灰が降り注ぐ街。この映像も綺麗なんですよね。ラルクの「snow drop」とかブリグリの「Ash like snow」の世界みたい。ホラーなんだけど、こういう幻想的な世界を描くところがすごく好き。

 

 

 

選ばれたのは母親

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 娘のシャロンが夢遊病で変な絵を描いたり、「サイレントヒルに帰る!!!」とか言い出すので、てっきり呼ばれてるのはシャロンで追いかけてやってきたのがローズと見えるんですが、実際呼ばれてるのはローズ(というか母親)で、シャロンは餌に過ぎない感じです。

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 たぶんなんですけど、サイレントヒルに残ってる母親はこのボロボロの女だけなんです。じゃあ皆残ってる人間は孤児かというとそうではなくて、名詞的な母親はいるんですが、この世界における「子供にとって母は神」という意味の母親はこの女性だけなのです。

 

 サイレントヒルが母親を呼んでいるなら、現地にいるじゃん!って感じなんですけど、彼女は母親なのですが、「子供にとって母は神」と言える母ではないのです。

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 だけど、だからと言ってそれ以外の母親でもなく、混沌とした場所にいるのです。だからサイレントヒルが生まれた・・・という解釈でもあながち間違ってなさそう。

 

 彼女が子供にとっての神になれなかったのは、自分の娘を守り切れなかったから。そして、今回もまた奪われてしまう。

 求めているのは母親。

宗教や力の強い者に屈伏する母親じゃなくて、子供だけの唯一になってくれる母親。

そして満を持してやってきたのがローズだったのです。

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 自分の子供を神に委ねて祈るだけの母親はこの「サイレントヒル」という作品では否定されています。それが「子供にとって母は神」の意です。

 母親は子供のために自分自身が神となる覚悟を決めなければならない。

 

 ほんとホラーって母×娘が多いよなぁ。「MAMA」

Mama (字幕版)

Mama (字幕版)

 

もそうだし、ジャパニーズホラーの代名詞「リング」もそうだし、母親×血のつながらない子供という点では「仄暗い水の底から」を思い出して、これと同じ結末に行くかと思った。

仄暗い水の底から

仄暗い水の底から

 

  この「子供にとって母は神」って色んな作品の根底にあるんだよなぁ、と思う。この後みた「泣く男」もそうだし、「嘆きのピエタ」もそうだし、そう考えると、この作品は色んなホラーやサスペンスの基礎を描いてるのかもしれない。

 

 

 

神のいない女、神になれない女

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 この世界を誰が作ったのか、と考えると語られているアレッサであると思うのが素直な見方だと思うんですけど、実はアレッサの母親であるこの女性、ダリアなんじゃないか、と思う。

 とは言ってもアレッサが無関係なのではなく、アレッサとダリアの間違えてしまった選択をもう一度やり直すための世界、という気がするのです。

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 ローズによってアレッサの善なる魂は正しい母親の元に導かれました。しかし、ダリアは今回もまたアレッサ(シャロン)を邪悪な狂信者たちに奪われる、という前回と同じことをくり返してしまったのです。

 

 しかしそんなことはシャロンの母親であるローズが知る由もなく、私は自分の娘を見つけたし帰るわ!と帰ってしまう。

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 だから帰れないのですよ。たぶん、あのサイレントヒルに子供が取り残されている限り、帰れないのです。子供とは、ダリアのこと。

 彼女は娘を守れなかった=神になれなかった女であると同時に、自分を守ってくれる母親のいない子供でもあるのだと思うのです。

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 現実世界では父が二人の帰りを待っているが、同時間に同じ場所にいるのに、パラレルワールドになってしまっているのでお互いの姿は見えない。

 

 ローズとシャロンの心の中にサイレントヒルが住み着いてしまったんでしょうね。二人の帰る場所が全てサイレントヒルと化してしまった。もう1ラウンド戦わなきゃいけないようです。

サイレントヒル(字幕版)
 

  お父ちゃんが戦うホラーもあります!