深夜図書

書評と映画評が主な雑記ブログ。不定期に23:30更新しています。独断と偏見、ネタバレ必至ですので、お気をつけ下さいまし。なお、ブログ内の人物名は敬称略となっております。

【映画】メメント~自分の外側に真実はあるか?~

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≪内容≫

数分前の記憶を忘れてしまう前向性健忘の男が妻殺しの犯人を追う、クリストファー・ノーラン監督が贈る異色サスペンス。

 

名前だけすっごい聞く作品。でも、周りで見てる人がいるかというと、そこは謎だった。なんだか不思議な作品。

 

 

登場人物

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  主人公のレナード通称レニーは妻を殺された後、記憶障害が起こり記憶が10分しか持たない。妻を殺害した犯人を探す。

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 テディ。レニーの犯人捜しを手伝う男。しかし、レニーが写真の裏に書いたメッセージには「ウソを信じるな」と書かれている。レニーはテディを常に疑っている。

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 サミーとその妻。レニーと同じ記憶障害(だがサミーの方が症状は重い)を持っている。レニーの昔の顧客。レニーは繰り返しサミーの話をする。

  他にもナタリーとかドッドとか出てきますが、大筋はこの三人だと思います。

 

レニーは妻を愛していたか?

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 大前提として、レニーは殺された妻の復讐に燃える愛妻家みたいになってます。その為にすぐ消えてしまう記憶を絶えずメモに残し、何度も同じことを我慢強くこなしていきます。

 

 だけど、妻殺害の犯人探しの協力者ナタリーとキスするし寝ちゃうんですよね。愛妻家とは・・・?みたいな。私が思ってたのと違う。アジア系復讐劇とはちょっと違うなぁ・・・と思って見てました。

 なんでかな、って思ったところ、レニーがぶれっぶれなんですよね。こういう場合10分しか記憶がなくても、殺される前の妻との記憶はあるわけだから一緒にいた記憶も楽しかった思い出も残ってるわけじゃないですか。

 

 だけど、レニーの回想に出てくる妻とレニーの関係は全然よくない。テディも怪しいけど、レニーだって十分怪しくなってくる。こいつ・・・どこまで真実を喋っててどこから作り話してるんだ・・・?と。

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 復讐を遂げても、妻は帰ってこない。

 レニーのこの「やったったぜ!」っていう感じの写真。指差している胸の部分には「I'VE DONE IT」のタトゥーが彫られる。

 だけどこのタトゥーはレニーの目を閉じた世界(理想郷)にしか存在しない。なぜなら、彼にとって「I'VE DONE IT」は妻のいる世界にしか存在しない言葉だから。

 

 レニーだけが生きる世界で「I'VE DONE IT」はあり得ない。もしもそれを彫るならば彼女と同じ世界に行くときなんだと思う。だからそれが彫られるまで、レニーの復讐は続く。

 

 つまり妻のために復讐するのか、生きるために復讐するのか、はたまた復讐のために亡き妻を理由としてるだけなのか、そこら辺がグチャグチャなのです。

 

 ここら辺が非常に人間臭いなぁ、と思います。そんな白黒はっきりとつけられる人間なんてほぼほぼいないと思うんですが、映画ってはっきりしないと二時間観客をとどめておくことって難しいと思うので、分かりやすく白黒させる印象です。

 だからそういう意味でもなまなましい映画です・・・。

 

サミー夫婦はレニーの理想

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 サミーが頻出するので、サミーの女房が復讐のためにレニーを追い詰めてるのかと思ってしまった。けれど、このシーン自体がレニーの造り上げた物語だったわけです。

 

 実際サミーという男はレニーの顧客だったが、彼に妻はいない。

 この二人の姿はレニーの理想だったと思う。記憶障害の夫を支える献身的な妻。やさしく彼を見つめてくれる妻。それがレニーが自分の妻に求めたもので、得られなかったものだった。

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 そう思わなきゃこんなことにはならないんだろうなぁ、と思う。自分の内に世界を見れば現実と鉢合わせだから。

メメント (字幕版)

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 ギャッツビーもそうなんだけど、意外に自己中なんだよな・・・と思う。

華麗なるギャツビー(字幕版)

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「華麗なるギャツビー」の記事を読む。

でも、その自己中っぷりも魅力になるんだから人間ってほんと意味不明。