深夜図書

書評と映画評が主な雑記ブログ。不定期に23:30更新しています。独断と偏見、ネタバレ必至ですので、お気をつけ下さいまし。なお、ブログ内の人物名は敬称略となっております。

桜庭一樹のシネマ桜吹雪/桜庭一樹~人間というものは本質的に理解できないものかもしれないという”畏れ”こそが映画である~

《内容》 一本の映画で二度三度とおいしい。物語作家ならではの洞察が光る珠玉のエッセイ集。 桜庭さんはこれもそうなんだけど、結構自分の感想が本になることが多い。 本に埋もれて暮らしたい (桜庭一樹読書日記) 作者:桜庭 一樹 東京創元社 Amazon 桜庭さ…

【映画】セックス・アンド・ザ・シティ/SATC~欲しいものを手にするバイタリティが鬱憤を消化する~

《内容》 セックス・コラムニストのキャリーは理想の男性ミスター・ビッグと一緒に暮らすため瀟洒なアパートを購入し、次いで結婚も決意する。PR会社社長のサマンサは俳優を目指す恋人スミスを売り込むためにL.A.に引っ越し、再婚したシャーロットは中国から…

【映画】ライ麦畑の反逆児 ひとりぼっちのサリンジャー~夫や父親や友になるすべを僕は知らない 、なれるのは"作家"だけ~

《内容》 1939年の華やかなニューヨーク。作家を志す20歳のサリンジャーは編集者バーネットと出会い短編を書き始め、その一方で劇作家ユージン・オニールの娘ウーナと恋に落ちる。だが太平洋戦争が勃発し、サリンジャーは戦争の最前線での地獄を経験すること…

フランケンシュタイン/メアリーシェリー~誰の心にも怪物が住み着いている~

《内容》 若き科学者ヴィクター・フランケンシュタインは、生命の起源に迫る研究に打ち込んでいた。ある時、ついに彼は生命の創造という神をも恐れぬ行いに手を染める。だが、創り上げた“怪物”はあまりに恐ろしい容貌をしていた。故郷へ逃亡した彼は、醜さゆ…

鳥~実は鳥が大群で襲ってきたら超怖い~

《内容》 美しいブロンドの女性メラニー・ダニエルス(ティッピー・ヘドレン)が、婚約者のミッチ・ブレナー(ロッド・テイラー)に会いにボデガ・ベイにやってくる。カモメに襲われる彼女。その後、何千羽もの鳥が町に群れをなしてやってきて、子供や住民た…

背高泡立草/古川真人~心の奥底で感じることこそ向き合うべき自分の運命~

《内容》 草は刈らねばならない。そこに埋もれているもは、納屋だけではないから―。長崎の島に暮らし、時に海から来る者を受け入れてきた一族の、歴史と記憶の物語。第162回芥川賞受賞作。 納屋と言ったら村上春樹。 螢・納屋を焼く・その他の短編(新潮文庫…

【映画】ハウス・ジャック・ビルト~引き金を引くのはいつも他人~

《内容》 1970年代の米ワシントン州。建築家になる夢を持つハンサムな独身の技師ジャックはあるきっかけからアートを創作するかのように殺人に没頭する…。彼の5つのエピソードを通じて明かされる、“ジャックの家”を建てるまでのシリアルキラー12年間の軌跡。…

【映画】ミッドサマー~夢落ちで終わらない不思議の国のアリスの世界~

《内容》 アメリカで暮らす大学生のダニーと恋人のクリス、その仲間たちは、交換留学生であるペレの故郷スウェーデンで夏至(ミッドサマー)に行われる祝祭に誘(いざな)われる。その村では、90年ごとに9日間の浄化の儀式が行われ、人々は着飾って様々な出…

【映画】メアリーの総て~「われ思う、ゆえにわれあり」は、ほとんどの女に絶対わからないに違いない~

《内容》 19世紀イギリス。小説家を夢見るメアリーは“異端の天才”と噂される、妻子ある詩人パーシー・シェリーと出会う。互いの才能に強く惹かれあった二人は、情熱に身を任せ、駆け落ちする。愛と放蕩の日々は束の間、メアリーに襲い掛かる数々の悲劇。失意…

小説のように/アリス・マンロー~事件と呼ぶには大袈裟な悪意や人の卑しさを詰め込んだ、スカっとするようでイヤな汗が流れる短編集。~

《内容》 子持ちの若い女に夫を奪われた音楽教師。やがて新しい伴侶と恵まれた暮らしを送るようになった彼女の前に、忘れたはずの過去を窺わせる小説が現われる。ひとりの少女が、遠い日の自分を見つめていた―「小説のように」。死の床にある青年をめぐる、…