深夜図書

書評と映画評が主な雑記ブログ。不定期に23:30更新しています。独断と偏見、ネタバレ必至ですので、お気をつけ下さいまし。なお、ブログ内の人物名は敬称略となっております。

シンプルな情熱/アニー・エルノー〜彼は、彼自身の知らぬ間に、私を以前より深く世界に結びつけてくれた〜

《内容》 「昨年の九月以降わたしは、ある男性を待つこと──彼が電話をかけてくるのを、そして家へ訪ねてくるのを待つこと以外何ひとつしなくなった」離婚後独身でパリに暮らす女性教師が、妻子ある若い東欧の外交官と不倫の関係に。彼だけのことを思い、逢え…

列/中村文則〜せっかく生まれてきたのだから、楽しく、あれ〜

《内容》 男はいつの間にか、奇妙な列に並んでいた。先が見えず、最後尾も見えない。そして誰もが、自分がなぜ並んでいるのかわからない。男は、ある動物の研究者のはずだった。現代に生きる人間の姿を、深く、深く見通す――。競い合い、比べ合う社会の中で、…

1922/スティーヴン・キング〜証拠は土の下にあっても、真相は一生つきまとうのだ〜

《内容》 かつて妻を殺害した男を徐々に追いつめる狂気。友人の不幸を悪魔に願った男が得たものとは。巨匠が描く、真っ黒な恐怖の物語を2編。 キングの作品をちょこちょこ読むのが楽しみになっている。 まだまだ先のことだけど、キングの作品全部読んじゃっ…

蜜蜂と遠雷/恩田陸〜音楽という、その場限りで儚い一過性のものを通して、我々は永遠に触れている〜

《内容》 近年その覇者が音楽界の寵児となる芳ヶ江国際ピアノコンクール。自宅に楽器を持たない少年・風間塵16歳。かつて天才少女としてデビューしながら突然の母の死以来、弾けなくなった栄伝亜夜20歳。楽器店勤務のサラリーマン・高島明石28歳。完璧な技術…

羊と鋼の森/宮下奈都〜人は皆それぞれの森を歩いている〜

《内容》 第13回本屋大賞、第4回ブランチブックアワード大賞2015、第13回キノベス!2016 第1位……伝説の三冠を達成!日本中の読者の心を震わせた小説、いよいよ文庫化!ゆるされている。世界と調和している。それがどんなに素晴らしいことか。言葉で伝えきれ…

マリアージュ・マリアージュ/金原ひとみ〜男というアイテム〜

《内容》 他の男と寝て、気づく。私はただ唯一夫と愛し合いたかった――。結婚の後先を巡る六篇。キスをして抱きしめられ、初めて普通の状態になれたあの頃。今の私は年下の彼に、昔の自分を重ねてしまう(「試着室」)。私の性を抑圧し続けてきた、私に対して…

火口のふたり/白石 一文〜セックスが僕らに何をもたらすか〜

《内容》 挙式を控え、忘れられない従兄賢治と一夜を過ごした直子。出口のない男女の行きつく先は?不確実な世界の極限の愛を描く恋愛小説。 昔映画を見たんだけど、なんかずっとセックスしてるだけ、っていう印象しか残らなかった。いや、んなわけあるかい!…

淑やかな悪夢/シンシア・アスキス他 〜読む者の正気を失わせる小説とはこれいかに〜

《内容》 神経の不調に悩む女にあてがわれた古い子供部屋。そこには、異様な模様の壁紙が貼られていた……。“書かれるべきではなかった、読む者の正気を失わせる小説”と評された、狂気と超自然の間(あわい)に滲み出る恐怖「黄色い壁紙」ほか、デモーニッシュ…

AM / PM /アメリア・グレイ~人は生きていく中で、その小さな歪みに絶え間なく出会う~

《内容》 このアンバランスな世界で見つけた私だけの孤独————箱に閉じ込められてしまったふたりの男、朝起きたら種に覆われていた女、テスの手は鉤爪に変わり、フランシスは魚しか食べないことにした……。AMからPMへと、時間ごとにゆるやかに奇妙にずれていく…

共喰い/田中慎弥〜逃げ場のない血と性の問題〜

《内容》 一つ年上の幼馴染、千種と付き合う十七歳の遠馬は、父と父の女の琴子と暮らしていた。セックスのときに琴子を殴る父と自分は違うと、自らに言い聞かせる遠馬だったが、やがて内から沸きあがる衝動に戸惑いつつも、次第にそれを抑えきれなくなって─…