≪内容≫
19世紀末―かのヴィクター・フランケンシュタインによるクリーチャー創造から約100年、その技術は全欧に拡散し、いまや「屍者」たちは労働用から軍事用まで幅広く活用されていた。英国諜報員ジョン・ワトソンは密命を受け軍医としてボンベイに渡り、アフガニスタン奥地へ向かう。目指すは、「屍者の王国」―日本SF大賞作家×芥川賞作家が挑む渾身の書き下ろしエンタテインメント長編。早逝の天才・伊藤計劃の未完の絶筆が、盟友・円城塔に引き継がれ遂に完成。
これはですね、読んでる最中も読み終わった後も
なるほど、わからん一択でしたwww
あ、あれ?「虐殺器官」も「ハーモニー」もわりかし読めたからイケる!と思ったのに、全然ページ進まねぇぞ・・・ ( ̄Д ̄;;.
不死化した菌株が言葉で保守派のコロニーでXで僕の意思は僕のものでなくて菌株の・・・もぉおおおおわかんねぇえええええ!!!
となりました(゚д゚)
SF作品を読むのに想像力が大事なのはわかっています。でもこの話は高度過ぎて全然ついていけませんでした。修行が足りませんでした。
この話を理解するにはもう200冊位読んでからまたトライしたいと思います。
そして、その時に「あぁ~この時の自分の読解力クソだな」とふり返る為にわからないなりに残します。
わからなすぎて、何度読みながら寝てしまったことか。
読み切るのに5日間位かかりました。だって寝ちゃうんだもん。
これって副題は「物語は誰が操るのか」なの?
ワトソン博士、この調査で何かが明らかになったとしても、それはあなたの理解であり、あなたに許される物語にすぎません。わたしの物語ではありえないし、物語である以上、アレクセイに関する事実でもない。たとえその物語をアレクセイが信じていたとしてもです。
(P,95.96 クラソートキン)
物語とは厄介なものです。ただ物語られるだけでは足りない。適した場所と適したときに、適した聞き手が必要なのです。
(P,149 アレクセイ)
これは理屈の問題じゃない。人間の理解の仕方の問題なんだ。人間は物事を物語として理解する。暗号が具体的にどんな強引な方法で解かれたかは問題じゃない。誰が解いたことにした方が面白いか、書かれているとされる内容がいかに刺激的かが問題なんだ。
(P,298 ワトソン)
数年前に読んだコレ思い出しました。↓
- 作者: フランク・ローズ,島内哲朗
- 出版社/メーカー: フィルムアート社
- 発売日: 2012/12/25
- メディア: 単行本
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この本にも書かれてますが「物語」は人を魅了します。
その物語が深く緻密ならその分深くハマっていきます。
その習性を利用するということなのか?政府が人が屍者になるのに抵抗できなくなるほどの物語を作って屍者の帝国を作ろうということなのか?
わたしたちの理解できる物語は、大脳活動のほんの一部であるにすぎない。都合のよい言い逃れや嘘にまみれた御都合主義の寄せ集めです。わたしたちが目にしている情報は、背後の処理プロセスを隠蔽してしまったものです。通信ログの開示は、人間の思考の秘密そのものを明かすに等しい。今の人類には早すぎる知識ですよ。わたしたちは、まだ物語なき単調にして無限のリストからなる現実そのものに直面する準備ができていない。
(P,335 バロウズ)
わたしたちは、まだ物語なき単調にして無限のリストからなる現実そのものに直面する準備ができていない。
・・・What do you mean?どーゆーいみーん?
やべぇ。ほんとに準備出来てないよ。全然理解できない。。
ものがたりなきたんちょうにしてむげんのりすとからなるげんじつってどんな現実?
わかりたいのに1/3もわからないよー!!!
で、屍者化は伝染病ってこと?
ざっくりとした屍者の流れ
【土台はグレート・ゲーム。戦力として屍者の技術をいちはやく上げたいよ!】
①最初の時点では死者の頭を刈上げてつるっつるにして、頭蓋骨に突き刺さった針から疑似霊素を電流刺激で書き込んでいくという、技術者ありきの芸当だった筈。
②しかし、①では自然な動きではないため、戦争に使えない。そこで「運動制御」と未知なプラグインがインストールされたNEW屍者と出会う。こちらは動きがスムーズ。
③屍者の眼筋と喉頭筋は何故かネクロウェアを受け付けないはずなのに屍者と目が合う。なんかおかしいぞ・・・
④アレクセイが自分の頭に疑似霊素装置をつけて死に続けているのを発見。生者への霊素の書き込みが可能だと?!
⑤書き込む方法→変性意識をもたらす音楽とアヘンによる混濁した意識は疑似霊素装置によって強制的に生者から屍者に固定されるらしい。
⑥日本の大里化学で何か液に漬かり奇妙な斑点が浮かんでる屍者と新型屍者を操る(?)金属脳発見!←ここの時点で謎。脳は単体で活動可能であるということ?
⑦ワトソン、コレラに罹患。原因は大里化学で戦った屍者からの感染とみる。
⑧何らかの病気に侵された生者に屍者を上書き。斑点は病原により脳機能に齟齬をきたし、セキュリティの緩んだ脳へ命令を書き込む。つまり死にかけている生者への上書きをしていた。
⑨外部脳という特化された屍者の脳を発見。遠隔操作可能。しかしザ・ワンとハダリーに限る。
⑩大村というザ・ワンに治療された日本人と会う。ネクロウェアを部分的にインストールされたが今ではどこまでが自我でどこまでがネクロウェアかわからないと言う。
⑪ザ・ワンと対決してたらチャールズと名乗るサーヴァント現る。
⑫チャールズ=ザ・ワン。すなわち最初の屍者。しかし、元になった死体はなくただ目覚めただけと言う。
チャールズは屍者の研究に没頭。
何故わたしたちの命は生まれ、意思は生まれる。屍者には 意思が生まれず、意思がわたしを突き動かすのは何故か。霊素のほんの微細な配置の違いが、誰が何を感じるのかを決める。この世界とは何なのか。世界は物質の法則により動くのか、魂の法則に従うのか。
(チャールズ)
この世界では動物には魂(霊素)はないから蘇らない(屍者化出来ない)とされている。
チャールズはなぜ人間にしか魂はないのか。魂とはなんなのかと問う。
人間は言葉で死者を蘇らせる。とするならば?
パンチカードに記すことができる程度の呪文によって屍者化は成功している。
動物を屍者化出来ないのは動物たちの魂の使う言葉を理解できないからだとしたら。
全ての生物に存在する魂の言葉を探し出し、魂は普遍であると明かそうとする。
「ヴィクターの書記」を記す際に使われた言語=魂の言語 を理解したチャールズ。
しかし動物の屍者化は失敗し続ける。
⑬結局、人間の屍者化も成功していない。
言葉による菌株の不死化に過ぎない。
わたしたちが自分の意思と思っているものは、二人の体内でのみ活性化するこの菌株の活動 がみせる幻であるにすぎない。(省略)他の動物の体内では害を持たない菌株はわたしたちの体内では。劇症を伴い活性化する。わたしたちの本来の意識や魂を侵し、上書きする。伝染病との差異は、それが死をもたらすか、偽の意識をもたらすかの差にすぎない。意識は伝染病だと言ってしまっても、そう本質を外していない。
(チャールズ)
!?意識が・・・伝染病・・・だと!?
人間固有の魂とは、魂が存在すると菌株に考えさせられているものにすぎない。
マジでか・・・
⑭じゃあなぜ生者は屍者化しないのか?
今までの流れだと、生者を屍者化するには脳を変な状況にしたところで強制的にパンチカードを読み込ませる的な流れだった筈。
それは、人間と同じく、菌株の中にも屍者化を受け入れる派閥と受け入れない派閥が存在して、生者の場合受け入れない派閥が多いから。
死体の中で活動しているのは受け入れる派閥だけの為屍者化可能とのこと。
我々は魂を誤解している。
しかしそれは、我々固有の魂や意思の不在を示すわけではない。
人間以外の動物ではこの菌株は活性化しないが、動物たちに魂や意思がないわけではないのと同じだ。
ほぅ・・・
自らの意志を菌株によって上書きされ、封じ込められているにすぎない。人間の意思は、勝手に意志を名乗り出して、他の動物たちにはそんざいしないものを持っていると主張する菌株たちの活動だ。
菌株は言葉を理解するが、それを理解出来るにはチャールズとリリスと大規模な解析機関のみ。その言葉(文字列)こそが魂。
つまり魂=菌株=文字列でおK?
⑮菌株はもともとあった訳ではなく、人類が生まれてからの長い時間に主導権を握った。今では引き離せないほど混じり合っている。
⑯屍者化を受け入れている拡大派を何とかしないと今後みんな屍者になっちゃうかも・・・保守派のコロニーの結晶体持って乗り込むぞ!
⑰解析機関へGO!しかしそこでザ・ワンは花嫁を実体化させる。えっ!?しかも実体化させるために全ての死者も屍者化して襲ってきたよ!
ハダリーが応戦するもザ・ワンは花嫁と逃げる。
⑱追われるワトソンを捕まえにきたハダリー。
理由は保守派のコロニーの結晶体よこせよというもの。
ワトソンは渡すのイヤなんで、自分の脳にいれてくれるかとハダリーに頼む。
最後にフライデーの任を解いて終了。
結局のところ
わたしたちは、まだ物語なき単調にして無限のリストからなる現実そのものに直面する準備ができていない。
って私たちの意思は菌株によって侵されてるのが現実ですよーっていう現実のことですかね?
まとめてる内に書き始めた時より理解はしてきたけど、もう一度読むにはちょっと疲れるので最後に書かれてる参考文献読んでまた読もうと思います。
ワトソンとかハダリーとか聞いたことあるなー位の無知なので、そこら辺もわかればもっと入り込んで楽しめるかなーとも思います。
あとがき
円城塔氏のあとがきですが、伊藤氏について書かれてて面白かった。
ここが一番面白かった。
「虐殺器官」「ハーモニー」どちらも言葉に重点が置かれていたので伊藤氏は「言葉」をテーマというか主軸にしてるんだろうなーと思ってたので、円城氏が「言葉」をラスボスのように出してくれた事が嬉しかったです。
そして、伊藤氏の「物語」というキーワードを広げてくれた事にも。
よくわからないまま読んだ私でも「物語」と「言葉」を軸にして「魂とは何か」「生と死の違いとは何か」をテーマに書かれていることは伝わってきた。
ただ読み手の読解不足のため不完全燃焼という結果になったというだけのことで。
受け手とか聞き手って受け身じゃだめなんですよね。
わかってるつもりだったけど痛感した一冊でした。次読むときにはちゃんと考察したいなと思います。