≪内容≫
芥川賞作家・絲山秋子の同名小説を「DEATH NOTE デスノート」シリーズの金子修介監督が成宮寛貴、内田有紀主演で映画化したラブロマンス。強気な年上の女性に冷たく捨てられたダメ青年が、どん底人生を歩んだ末に彼女との再会を果たすが…。
これすっごい良かった。
派手じゃないし、内容も普遍的だから惹かれる人は少ないかもしれないけど、これすっごくイイ。
別にすっごい泣ける程感動するわけでもないし、胸糞悪くなるような話でもない。
成宮演じるヒデがアル中になったり、内田有紀演じる額子が左手失ったり、どこにでもある話ではないけど、「普通」の人生送ってる奴なんて本当は一人もいないんじゃないかと思った。
恋愛映画では「ブルーバレンタイン」と並んで至高の一作。
年下男×年上女
額子の誕生日に競馬に行く(しかも負ける)。額子より何万倍も騒いで楽しむヒデ。「ごめんな、誕生日なのに」というヒデに「期待してねーし」という額子。額子、口悪い。
そしてヒデは「額子~額子~」と犬のよう。
「オレ頑張るから!」が口癖のように、額子に対して口答えなんか一切しない出会った頃の19歳のヒデ。
今まで、年下の男性に全く興味がなかったけど、成宮くんのせいで何人の女性が年下に目覚めたことか。笑
「NANA」のノブの時も、「下弦の月 ラスト・クォーター」の知己の時も思ったけど、成宮くんってダメ男というかちょっと頼りない男が似合うんだよなぁ。
なんか守ってあげたくなっちゃうよーな。
しかしヒデが求めてるのは甘やかしてくれる女性ではなくてぶん殴ってくれる女性であった。
ヒデくんアル中時代
「別れようか、俺みたいなダメ男といてもいい事ないだろ」
「ごめんなさい、わたし・・・ごめんなさい」
「なんで謝んだよ」
「ごめん・・・」
「だからなんで翔子が謝るんだよぉお」
と拳を握りしめるヒデ。
実際DVはしてないが、飲んだくれで翔子のいう事は一切聞かずヒモ男になり下がっていたヒデ。
しかも親友から飲んだ後、友達や翔子に絡んでると注意される。実際翔子は「お酒をやめて」以外は何も言わない。
額子のようにダメなものはダメだと叱ってくれる人はいない。
「あなたは悪くないの、私が悪いの。」って悲劇のヒロインみたいな台詞溢れてますが、これって現実見てないだけで、相手を許してるようで見てもいない。無視してる状況です。ヒデはますます孤独に苛まれていきます。
10年を経て再会
掟上今日子さんですか!?
と思ってしまった。こんな37歳いるか?笑
10年ぶりに額子に会いにきたヒデ。
左手を失った額子。それでも運転したり、ご飯を作ったり日常を一人で過ごしています。
暫く通う内に大学時代の友人が事件に巻き込まれ死亡したとのニュースをテレビで見る。
「どうしても酒を飲まなきゃやってられない」と料理酒に手を出すヒデに額子の拳が飛ぶ。
バチコーン☆
「ごめん・・・力入っちゃった・・・・大丈夫?」
「ほんとつえーなお前」
「・・・」
「おっかねー女だな」
「でも!飲んじゃいけないんだよ!」
「おっかねー女だな」というヒデはちょっと嬉しそう。
びっくりして、ほっとしたんでしょうね。
よく男にゃ刀を納める鞘が必要なんだよと聞きますが、自分ではどうにも出来ない衝動を身体を張って止めてくれる存在が恋人と同義語だと思いたい。
10年経って、ヒデはもう出会った頃の額子の背を追うだけの年下の男じゃない。ちゃんと言いたいことも言うし、嫌なことは嫌という。
分かんない事は分かんないと言える。一緒に泣いたり、笑ったり出来る存在になった。
最後のふたりの会話が本当にすてきだなと思う。
飾らない言葉で分かりあえる存在になった。
ヒデ「額子」
額子「なんだよ」
ヒデ「また殴ってくれよ。俺が何かに溺れそうになったら。額子が殴ってくれたら俺大丈夫な気がする。」
額子「殴ってやるよ。何発でも」
(ヒデ川の中に入っていく)
額子「何やってんだよ川の中で」
ヒデ「おめーが落ちてきたら受けとめてやんだよ」
ヒデ「おめーさ、俺と結婚してーのかよ」
額子「養子にしてやるよ、大人になるまで面倒みてやるよ」
ヒデ「ばかもの」
「おめー、俺がいねーと生きてけねーような女になるな!」に匹敵する言葉だなと思う。
「養子にしてやるよ、大人になるまで面倒みてやるよ」に額子の愛を感じる。
私が男だったらヒデのような男だったかもしれない。
そんで、額子のようなたくましい女に惹かれると思う。
てゆか今現在女だけど額子に惹かれるぅうう。
思いがけずイイ映画ですっごく嬉しかった。
内田有紀すっごい美人だし。眼福も兼ねて是非見てみてください。