≪内容≫
妖しい美しさで王エロドの心を奪ってはなさない王女サロメ.月光のもとでの宴の席上,7つのヴェイルの踊りとひきかえに,預言者ヨカナーンの生首を所望する.幻想の怪奇と文章の豊麗さで知られる世紀末文学の傑作.R.シュトラウスのオペラ「サロメ」の原典にもなった.幻想的な美しさで話題を呼んだビアズレーの挿画をすべて収録.
「神様が殺してくれる」の各章の冒頭引用に使われていたので気になったので読んでみた。
「サロメ」の見せどころ「七つのヴェールの踊り」は本書には「踊った」としか書かれていないので、こちらを見てみた。
大体90分位で、最初はドキュメンタリーで後半がダンス作品。
ダンス作品とあって、ダンサーに台詞はありません。
「七つのヴェールの踊り」は七枚のヴェールを踊りながら脱ぎ、最後には真っ裸になるという踊りでした。
耽美とは?
どうやら耽美作品らしいのですが、よく分かりません。
一応耽美主義とは美を一番にする思想らしいんですけど、どこからどこまでが耽美なのか難しくないですか?
エログロのことですかね?
それとも同性愛のこと?
基準が全く分かりません。
ただwikiに載ってた耽美主義の作家の作品をほとんど知らなかったので、もしかしたらこれが初めての耽美との出会いになったのかもしれません。
無花果
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これ何の絵だろう・・・と思ってたんですが、多分無花果ではないかなぁと。
作中にも
月が血のごとく染まり、星が無花果の実の、いまだ熟れざるに落つるがごとく落ちてくる、
さあ!今こそ、その口づけを。この歯で噛んでやる、熟れた木の実を嚙むやうに。
と出てきます。
無花果って熟れるとぐちゃぐちゃで勝手に皮は向けるし、何だかグロテスクだなぁ~と思ってます。
でも何だか耽美に感じます。
これが耽美ということでしょうか?
ちなみに小さい頃、無花果とアケビの違いが分かりませんでした。
田舎に行くと父がポっととって食べ始めるんですが、その気持ち悪いこと・・・。
今では大丈夫ですけど、当時は父が狂ったと思ってました。
サロメ
あたしは生娘だつた、その花をお前は穢してしまつたのだ。あたしは無垢だつた、その血をお前は燃ゆる焔で濁らせた・・・・
ヨカナーンと出会ったことで朽ちていくサロメ。
内容としては、可愛がられて育った美しい王女が初めて恋した男に拒絶され、踊りの褒美として王に男の首を求める・・・というお話。
サロメはヨカナーンが生きて自分を見ることはないと分かっていたのだと思う。
ヨカナーンはサロメを罵倒し、呪い、拒絶する。
けれど、その言葉、その声、顔、髪がサロメをどんどん悪魔に変えていく。
あゝ!あゝ!どうしてお前はあたしを見なかったのだい、ヨカナーン?
一目でいゝ、あたしを見てくれさへしたら、きっといとしう思うてくれたらうに。さうとも、さうに決まつてゐる。
恋の測りがたさにくらべれば、死の測りがたさなど、なにほどのことでもあるまいに。
恋だけを、人は一途に想うてをればよいものを。
自分を決して見てはくれない相手への切なる想い。
表現がすごく美しいなぁと思います。
月の喩えも素敵です。
内容自体は、サロメの一方通行な恋によりヨカナーンもサロメも死んでしまうという特段面白いとかではないんですけど、表現や言葉がすごくキレイで、何とも言えない気持ちになります。
もしかしたら耽美とは、私が今感じてる何とも言えない気持ちというものなのかもしれません。
登場人物のだれに感情移入するわけでもなく、ただただ美しい言葉と表現に惹かれてしまう。
いつかこの感情を言葉に出来たらいいなぁ。
言葉に出来ないということを「言葉に出来ない」以外の表現で出来たらいいな。