深夜図書

書評と映画評が主な雑記ブログ。不定期に23:30更新しています。独断と偏見、ネタバレ必至ですので、お気をつけ下さいまし。なお、ブログ内の人物名は敬称略となっております。

ロリータ/ナボコフ~ロリコンについて本気出して考えてみた~

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《内容》

「ロリータ、我が命の光、我が腰の炎。我が罪、我が魂。ロ・リー・タ。…」世界文学の最高傑作と呼ばれながら、ここまで誤解多き作品も数少ない。中年男の少女への倒錯した恋を描く恋愛小説であると同時に、ミステリでありロード・ノヴェルであり、今も論争が続く文学的謎を孕む至高の存在でもある。

 

 

一番惹かれたのは書き出し部分。

 

ロリータ、わが生命のともしび、わが罪、わが魂。

ロ、リー、タ。

舌の先が口蓋を三歩すすんで、三歩目に軽く歯にあたる。ロ。リー。タ。

 

朝、ソックスを片方だけはきかけて立つ四フィート十インチの彼女はロだ。ただのロだ。

スラックスをはくとローラだ。学校ではドリーだ。正式にはドロリス。

しかし、私の腕に抱かれるときの彼女は、いつもロリータだ。

 

 

ロリータ、わが生命のともしび・・・は自主的に覚えたいと思った書き出し。

 

ニンフェットとは

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ここで私は、つぎのような考えを披露したいと思う。

それは、少女は九歳から十四歳までのあいだに、自分より何倍も年上のある種の魅せられた旅人に対して、人間らしからぬ、ニンフのような(つまり悪魔的な)本性をあらわすことがあるという考えだ。

この選ばれたものたちを「ニンフェット」と呼ぶことにしよう。

 

九歳から十四歳までのの少女全員がニンフェットではない。

 

健全な子供たちのなかに、それと知られず、自分でもその魔力に気づかずにまぎれこんだ命取りの小悪魔を、言いあらわしようのない徴候ーかすかに猫を思わせる頬骨の輪郭、うぶ毛のはえた四肢のたおやかさ、絶望と羞恥と感傷の涙のためにこれ以上並べたてることのできないその他もろもろの徴候ー

 

らしい。

男性は分かるだろうか。

これはどちらかというと女性の方が分かる気がする。

全ての女性は誰しもが少女時代を経ているので、その線の細さ、未成熟な華奢な骨が醸し出すか弱さ、必然的な上目遣いが相手から庇護欲を引き出すということを、意識的ではなくとも薄っすら気付いている気がする。

ここで分からない人に私なりの九歳~十四歳を解説しようと思う。

分かる人は生温い目で見守って下さい。

 

九歳~十四歳とはどんな少女かというと、これはハロー!プロジェクトのメンバーがとても分かりやすいと思う。

特に鈴木愛理ちゃん(℃-ute)が一番最初にMステに出たのは九歳。

白い帽子の子が愛理ちゃん。

そして十四歳の愛理ちゃんがこれ↓左から三番目

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誤解がないようにいいますが、愛理ちゃんがニンフって言っているわけではありません。九歳~十四歳のイメージ図として活用させて頂きました。

 

そして十四歳までとなっている理由としては、モーニング娘。の工藤遥ちゃんがとても分かりやすいと思う。

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ピンクが13歳のくどぅ。

オレンジが15歳のくどぅ。

同じような衣装なのにこの違い。

くどぅは他のメンバーと比べて特段ロリっぽかったと思います。特に「One・Two・Three」のとき(13歳)は他のメンバーより小さくて華奢だった。

最年少とはいえ、生まれ年は佐藤優樹ちゃんと一緒である。

ロリフェイスと呼ばれる鞘師里保ちゃんは顔こそ童顔だったけど、身体はすごくしっかりしていた。特に肩幅。

上記理由からくどぅを選びましたが、歴代モーニング娘。でのニンフ的要素を持っていたのは田中れいなちゃんだと思います。

田中れいな写真集『GIRL』(DVD付)

田中れいな写真集『GIRL』(DVD付)

 

 ↑この当時18歳。こんだけ化粧しても滲み出るロリータ感。

彼女がモーニング娘に入ったのは14歳のとき、ハンバートが唱えるニンフの最高年齢なわけですが、彼女は19歳くらいまで少女体型だった気がする。

そして、彼女の表情、四肢の美しさはまさに「かすかに猫を思わせる頬骨の輪郭、うぶ毛のはえた四肢のたおやかさ、絶望と羞恥と感傷の涙のためにこれ以上並べたてることのできないその他もろもろの徴候」にピタリと当てはまる。

 

ということで、ニンフェットは確かに存在すると思います。

性的魅力に映るかは別としてね。

ハロプロってここら辺すごく分かっているんじゃないかと思う。

かわいいとか美系とかそれだけじゃそそられないものがあって、そこを凌駕するのがこのニンフ感だと思うんですよね。

ゆえにハロプロでは八重歯とか、ちょっと癖のある顔とか、少女のような声質とか、18歳を超えても失われない少女感がある子を選んでいる気がする。

これは童顔とかじゃ補いきれない部分だと思う。

 

ロリータ・コンプレックス

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 ↑この人いくつなんだろう?

 さて九歳~十四歳までの少女が想像できたところで、いわゆるロリコンについて考えてみようと思う。

この主人公ハンバートはロリコンだったのだろうか?と私は思う。

題名「ロリータ」からして、少女主義であることは明白だし、ということは十四歳を過ぎれば興味を失うと思っていたんです。

ところがハンバートはドロリスを追いかけ続けます。十四歳を過ぎて二十歳になっても。

彼が少女愛に目覚めたのは自身が十三歳のときに出会ったアナベルという少女がその年に亡くなってしまったことがきっかけと思われる。

そこでハンバートは永遠に十三歳の少女に囚われてしまった・・・ということだろう。

もしアナベルが死なずにハンバートの恋が実っていたら、ただの若い女性好きで修まったかもしれない。

先日読んだ「袈裟と盛遠」の話でも、盛遠は袈裟に執着しています。

どうやら叶わなかった願いというのは強ければ強いほどその人を縛るようです。

 

ロリコン・・・。

まさに、ハンバートは気持ち悪いです。

こんな人に捕まったら自死したいくらい気持ち悪いです。

これは「モールス」でも出てきますが、とりあえず海外のロリコン作品しか見てませんがどちらも少女の奴隷のように働いています。

「MORSEモールス」の記事を読む。

 

その対価として愛撫を求めているんです。

つまり、極度のドMと思えてくるんです。

これは春琴抄の佐助と同じです。

春琴抄 (新潮文庫)

春琴抄 (新潮文庫)

 

「春琴抄」の記事を読む。

誰でもいいわけではない、圧倒的な美しさから放たれる理解不能な気性の荒さに翻弄されたい、その暴力的かつ理不尽に隷属したい・・・というフェチだと思います。

 

ここで大事なのは「誰でもいいわけではない」ということ。

いくらハンバートがドロリスに尽くし、身を粉にし働こうが彼女は捕らえられた可哀想な蝶であり、その主人はハンバートなのです。

 

隷属したいと思いつつ自由を許さないロリコンは怖いの一言に尽きます。

創作だから美しかったり認められるけどね、人間が美しいのは自由があるからに過ぎないと思いますよ。

ロリータ達がとんでもなく美しく可愛らしいのは首が落ちるほど分かる。

だからこそ、その短い少女期間が彼女達にとって幸福な時間であってほしいと思う。

 

少女はそっと見守りましょう。

私が中学1年生のころ、一個上の先輩が自殺未遂に陥ったことがあります。

部活動中に倒れた先輩を、他の先輩が持ち上げたときジャージの腕の部分が持ち上がり両方の手首から肘にかけてびっしりとリストカットの後が残っていました。

その光景を私は今でも鮮明に覚えているし、そのとき思わず息を呑んだ恐怖心も、その先輩の青白い顔と力を失くした身体のぐにゃぐにゃ感も忘れられない。

詳しい事件の内容は説明されなかったけど彼女を傷付けたのは生徒ではなかった。

 

もし彼女たちが潤んだ瞳で見つめてきても、手を出してはいけません。

なぜなら彼女たちは細い華奢な体が示すように壊れやすいからです。

大人の一歩が、彼女たちには崖の上での一歩かもしれないのです。

 

未成熟に惹かれる理由

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ハンバートの意見はこうです。

 

事実、そもそも私が未成熟に魅せられるのは、清純で妖精のような禁じられた美少女の清らかさに魅せられるというよりは、むしろ、あたえられた小さなものと約束された偉大なものー赤味をおびた灰色に輝く到達不能の偉大な頂点ーとのギャップを無限の可能性が埋める状態の平穏さに魅せられるのかもしれなかった。

 

少女の華奢さと、女性の華奢さってどうやっても違うんですよね。

それは骨盤的の発達もあると思うけど未知数な成長という魅力なのかな~って思います。

不変を求めるもの→熟女好き

変化を求めるもの→少女好き

にはならないだろうか。

女性の場合だと

成長を求める人→おじさん好き

守ってあげたいとか保守的な人→年下好き

にならないだろうか。

 

そうなると同年代は?となると思うんですが、これは精神が上か下かどっちに近いかによると思います。

 

人間って生まれたときから死に向かってるじゃないですか。

だからどんどん老いに近づいて行ってるんですよね。

自分はすでに成長しきっている(肉体的に)状態になったとき、その先にはもう衰えるしかないわけです。

 だからこそ未成熟な生体に夢を見るのは正常な気がします。

赤ちゃんというのは可愛がられるために可愛く生まれてきます。

十四歳までというのはその残滓がまだ垣間見える時期なのかもしれません。

  

ニンフェットに魅せられた旅人と、ロリータの物語。

是非一度、ロリータについて考えてみてはいかがですか。