≪内容≫
空き巣の父・和彦(竹野内豊)と結婚詐欺師の母・皐月(松雪泰子)は、犯罪で生計を立てながら 3人の子どもたちと暮らしていた。
そんなある日、 母の詐欺が相手に見破られたことで誘拐され、身代金を要求されてしまう。
血のつながりはなくとも、それぞれに苦しい過去を持つ寄せ集めの家族は、ささやかな幸せを守るため立ち上がる。
誰一人血が繋がっていなくて、誰とも過去に共通点がない。
歴史のない家族。
家という牢獄
首輪をつけられ風呂に繋がれた弟。父から性的虐待を受けるお姉ちゃん。家族から人間として扱われないお兄ちゃん。夫のDVに耐える妻。
そんな「家」に繋がれていた3人の子供と、妻を繋ぎ合わせた父・和彦(竹野内豊)。空き巣に入ろうとした家で発見したのは誰に見られることもなく静かに処刑されている子供だった。
完全に外界と切断された薄暗い風呂場で、気まぐれに食糧を持ってくる母を待っていた。この静かな虐待は一般の人には伝わらない。他人の城に無断で入る悪人が、子どもを牢獄から解放したのだ。
空き巣で生計を立てる和彦は、行き場のない人間を受け入れ一つ屋根の下で一緒に暮らすよう計る。DVを受けていた妻で結婚詐欺師の皐月も家計のために詐欺活動を行うが、皐月の詐欺に気付いた男によって皐月はリンチされてしまう。偽物の家族だとしても、母親のように皆の世話をしてきた皐月のピンチに家族は居ても立ってもいられず駆けつけてしまう。
ぼく決めたんだ
ぼくの家族は殴らせたりしないって
児童虐待を受けていた隆史は、殴られてボコボコになった皐月の姿を目にして銃を手にする。ここで相手を許すことは自分が受けたひどい過去も許すことになる。暴力に屈するしかなかったあの時の自分。その自分を見捨てることになる。
集結した家族の誰もが引き金を引きたかったと思うが、それなりに生きてきた年数が自分の意思や衝動よりも、未来を案じてしまうのだった。
まだ小さくて純粋な彼の存在は家族の安寧を壊してしまったけれど、それは彼にしか出来なかったし、また創造の前には必ず破壊が必要なのだ。
銃発によって偽物の家族たちは解散します。だけど、そこからが本当の家族なんだなぁ、というのが月並みですが感じたことです。
家族って最初から家族なんじゃなくて、家族になっていくものなんだと思うんです。血が繋がっていようが、繋がっていなかろうが家族になるには時間が必要なんだと思います。
家族って基本的に選べないじゃないですか。
だけど、この話の中の人たちは選んで家族になって、本物の家族よりも自然な家族になった。大事なのは「家族」が本物か偽物かじゃない。どれだけ自然かということ。
最後のシーンはすっごいジーンときたなぁ。