≪内容≫
三部けい原作の同名コミックを藤原竜也、有村架純共演で映画化。売れない漫画家・悟に、同じ時間が巻き戻る「リバイバル」現象が起こる。数日後、誘拐未遂を目撃した母が殺害され、バイト仲間・愛梨も命を狙われる。
やっぱりマンガ読もうかな・・・。
悲劇は変えられる
この作品には三世界あるのですが、一番最初は主人公・藤沼悟、主人公の母・佐知子、主人公のバイト先の同僚・片桐 愛梨の三人が軸になっています。
悟は売れない漫画家で友達も恋人もいない。愛梨には「人に心を開いていない」と言われる。
悟には「リバイバル」というタイムリープ能力があり、直後に起こる事件や事故を解決するまで直前に戻るという現象にたびたび襲われてきた。
そして、今回もまたリバイバルが起こり、その事故を防ぐために自分が車に跳ね飛ばされたところ、母が心配して北海道から上京してきて息子の家に居候することとなる。
後日、母と買い物中にリバイバルが起こりその原因を見つけた母が何者かに刺され、その犯人は自分にされてしまう。
その原因は幼い頃の事件にまつわるものだった。その事件を解決すべく、悟の戦いが始まる・・・。
殺されてしまうクラスメイト雛月加代を救うべく小学生時代にタイムリープする。
雛月は母子家庭で母とその愛人(義父?)に虐待を受けている。そのせいかクラスでも浮いた存在になっていて一人ぼっち。中々心を開かない彼女に悟は根気強く声を掛け続ける。
リバイバルした悟は見た目は子供、中身は29歳なわけですから当事者とは違うし結果も知っている。虐待をなんとかしたいけれどなかなかうまくいかない中で、彼の友達の男子はこう言います。
ほんと言うとさぁ、俺も気付いてたんだ、雛月のあざ。
でも、どうしていいか分からんくてさ。なあお前いったい何者?
とりあえず何かやばくね?とは思うけど、実際殺されちゃうなんて思わないし、小学生で自分の身近に死があるなんて想像出来ないと思うし。
だけど、気付いてはいるんですよね。「何か悪いことのような気がする」程度には。
こういう「何か悪いことのような気がする」空気の中にいる子供って、当事者だけじゃないんですよね。
痛みや苦しみを実際受けているのは雛月なのですが、見えない傷や痛みを伴わない苦しみが何となく周りの子にも伝染するんです。
「大人は助けてくれなかった」と思うのは雛月だけじゃなくて、気付いていた子供たちも思うと思います。
だから虐待やいじめの被害者を助けるってことは、その周りの子供も助けるってことなんだと思います。
もし自分の子供や親戚の子が「クラスにこんな子がいるんだけど・・・」って言ってきたら、たぶんその子供もすでに傷付いています。
気付くってことは傷付くってことだから。
過去を変えたので、現実は変わっていました。そして、悟の最後の戦いが始まります。
少年時代に誰かを助けたという世界では、冒頭の孤独な悟とは180度違う悟になっていました。漫画も好評で、友達もいて、見舞に来てくれる女性もいる。
あまりこの作品はネタバレしたくないので、犯人が誰かとかは書かないでおきます。ただ、すごく胸に刺さった言葉がありました。それを書くとネタバレしちゃうのでやめますが、大人って正義じゃなきゃいけないんだと改めて思いました。
久しぶりにいい邦画だったなあ。