≪内容≫
『凶悪』の白石和彌監督、綾野剛主演による日本一ワルな警察官の“ヤバ過ぎる”事件を描いた衝撃作。北海道警の刑事・諸星要一はうだつの上がらない日々を過ごしていた。ある日、諸星は敏腕刑事・村井から規格外の刑事のイロハを叩き込まれる。
分かってたよ・・・。
『凶悪』の白石和彌監督×ピエール瀧でロクな最後になるはずがないってね!!!
ホラー映画だって二度と観たくないって思うことはあまりないけど、「凶悪」は二度と観たくないと思ったし、なんで観ちゃったんだ・・・と落ち込んだ作品。
あと、「その夜の侍」も落ち込んだ。
この二作と比べると傷は浅いけど、無傷では終われない。
※卑猥なシーンが割と多いのでカップルで見るのはオススメしません・・・。
R15です、色んな意味で。
純朴な青年は悪い大人にスポイルされた
この映画、実話に基づいたお話らしく警察官による不正行為、主に覚醒剤の取引、銃の売買、組織的な裏金作りetcという、警察の闇を描いた作品です。
原作はこちら。
主人公の諸星要一(綾野剛)は柔道の腕前を気に入られて北海道警察の刑事となるが、不器用で真面目な男ゆえ、先輩にしばきたおされる毎日。
「おす!自分は!!」みたいな体育会系の諸星は先輩から扱いづらいめんどくさいやつだと思われている。
その二人のやり取りを見かねた先輩刑事の村井(ピエール瀧)が「青年よ・・・」といって悪の道を指し示すのだった。
村井のアドバイスを忠実に遂行していった諸星は、うだつのあがらない使えない新人から、有能な刑事へとなり上がっていく。
当時のすすきの警察は拳銃を集めていたから、成績を上げるために他国から買い取ってまで警察に上げて点数稼ぎに勤しんだ。
もちろん、他国からの買い取りは無料じゃないし、情報を集める資金は警察から降りない。諸星は成績を上げるために、S(スパイ)を作り、Sの世話をして、拳銃のお金も工面しなければならなかった。自分のためもあったけど、警察のためという意識もあった。自己犠牲の精神もあったはず。
しかし、日本が拳銃を集めていると知った外国人は値を吊り上げてきて、簡単に拳銃を挙げることが出来なくなってしまう。
そして兄弟とお互い呼び合い信頼関係を結んでいたヤクザに騙され、大惨事に発展するのだった・・・。
仲間に裏切られたことで警察からの信用も失くした諸星は夕張へ異動になった。やりがいのない仕事、裏切り、Sとのぎくしゃくで上手くいかなくなった諸星はあれだけ手を出してはいけないと周りに言ってきたはずのシャブに手を出す・・・。
その先は、諸星だけじゃなく色んな人が苦しい道を歩むことになります。
なんか、こういう人って割と多いんじゃないかなって思った。
諸星は不器用だけど誠実な男でした。
誰かの役に立ちたいと願う男でした。
その願いが正しくない方向に作用した結果がこれです。
自分の人生が割と上手く行っていて、道を踏み外していないなと思うなら、それは自分の選球眼ではなく、周りの人間に感謝すべき。
諸星に助言を与えた人物が善き人間なら、諸星は別の正しいヒーローになれていたと思う。
自分の人生が上手くいかなかったことを他人のせいにしちゃいかん、という意見もあるだろうが、人生が上手くいくかいかないかなんて、出会った人間次第なんだと私は思う。
大体、楽な儲け話とか簡単で高収入とか、そういう時間をかけないで手っとり早く進むことには、丁寧が生まれないんですよ。丁寧ってすっごく時間がかかりますよね。丁寧に出汁をとるとかもう半端なく時間かかるし、効率悪いし、楽じゃない。すぐに言われて「はいできたー」ってもんじゃない。
何度も失敗して繰り返して習得されるものです。
それを「はいできたーはいオッケーはいお金ー」なんてやってたらボロボロになっていくしかないんですよ。ね、もう丁寧に生きていきましょう。大丈夫、不器用でも、うだつが上がらなくても、見てる人は見てる。
そういう姿を見ることができる人っていうのは、どこかしら丁寧な部分があるから。
かんたんな抜け道は一番の遠回り。
遠回りが一番の近道。
オマケ・デニス植野がおもしろい
この人むかしアメトークで、自分はバリバリの大阪人で向こうの国の言葉を話せない的なことを言っていたと記憶しているんですけど、めちゃくちゃカタコト合ってた笑
しかもパキスタン人役だし。
なんにも共通点ないのになんか違和感ない。笑
で、このパキスタン人ことラシードがいいこというんですよ。
オカネデナーーーーーイ!!!
オキャクサンコナーーーーーーイ!!!!コレハオカシイ!
ナンデ!!
義理人情で諸星をたてる太郎、諸星は警察に貢献したくて借金まで背負う。
そんな異常な日本人に対して、ラシードはかんたん。
金になるかならないか、そんだけです。
でもさ、これって普通だよなーと思って見ていました。冷静に正論言ってるのはラシードじゃんって思いました。
太郎は諸星の弱さに気付いていながらも、優しさゆえに見て見ぬふりをしていた。なんとも日本人的優しさだと思う。口に出さないで、相手が立ち直るのをじっと待つ。自分より相手。
だけど、パキスタン人のラシードは違う。
やることやったんだから、対価を渡してよ。今度じゃなく、今渡してよ。
相手のことより自分。
なんかもう自己犠牲精神って美しくもなんでもないよなーって思う。結局みんな破滅に向かうし。誰もハッピーになってないよ。
義理人情とかいう見えないもので成果あげて、対価報酬という見えるものが作用しない世界じゃどんな政策が役に立つんだろう。
これじゃブラックをみんなが求めているようなものじゃないの?って思ってしまう。
これ観ると人生のバクチ感がすごくて色々削がれる。。。