深夜図書

書評と映画評が主な雑記ブログ。不定期に23:30更新しています。独断と偏見、ネタバレ必至ですので、お気をつけ下さいまし。なお、ブログ内の人物名は敬称略となっております。

ハリネズミの願い/トーン・テレヘン~コミュニケーションには傷付ける勇気が必要~

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≪内容≫

ネガティブすぎるハリネズミの姿が共感を呼んで9万5000部。本屋大賞受賞の海外小説

自分のハリが大嫌いで、ほかの動物たちとうまく付き合えないハリネズミ。突然みんなを自宅に招待しようと思い立つが、本当にやってきたらとんでもないことが起こりそう。せっかく書いた招待状を出さないまま、ハリネズミの妄想と不安は広がっていく……。

そんな風変わりなシチュエーションを描いた海外小説が、静かな共感の輪を広げ、部数を伸ばしている。

 

ハリネズミって流行ってますよね。情報が古いかな。

なんか飼ってる人が割といるなーって思った記憶が・・・。

 

この作品むずかしかったです。

たぶん自分がハリネズミくんの気持ちが分からなかったからだと思います。

なので、レビューとか色々見たんですが、どうやらハリネズミくんは自意識過剰思考のようです。

 

読書で後天的に得られるもの。

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ちょっとなめていたというか、大人の童話というからすぐに読み終わるかなって思ったんですけど、3日くらいかかりました・・・。

自分的に、トルストイとか村上龍さんの作品よりかなり難しかったです・・・。比べることじゃないんですけど、一応そんな風に感じた人間もいるとお伝えしたくて・・・。

 

すごい私的につっこみどころがあったので紹介したいのですが、それによって傷付く人がいたらごめんなさい。

 

ハリネズミはひとりぼっちだった。訪ねてくるものはだれもいないし、偶然だれかが通りかかり、(ああ、ここにハリネズミが住んでるんだったっけ)と思ってドアをたたいても、ハリネズミは寝ているか、あまりにも長くためらってからドアを開けるものだから、そのだれかは通りすぎてしまっているのだった。 

 

いや、訪ねてきてるヤツいるじゃん!!!

むしろ相手の方が嫌われてると感じると思うんですけど!!

 

 

こういうのがすごく多くて「?」ってなってしまって全然進まなかったんです。

 

ていうか根本的なことを言ってしまうと、自分が行けばいいじゃんとか思ってしまうんです ・・・。

だってさ、他人に来てもらうって相手の交通費とか時間とか足を使わせることになるし、自分の家に呼ぶ方は自分のテリトリーに入れるわけですけど、相手は人の陣地に入るわけだから緊張するじゃないですか。

 

いやもちろん、これは個人的な意見なので、人の家に行く方が気楽な人や自分の家に来られた方が疲れる人もいると思うのでね・・・あれなのですが。

 

だって、引用文の

 

訪ねてくるものはだれもいないし、偶然だれかが通りかかり、(ああ、ここにハリネズミが住んでるんだったっけ)と思ってドアをたたいても、ハリネズミは寝ているか、あまりにも長くためらってからドアを開けるものだから、そのだれかは通りすぎてしまっているのだった。  

 

 ってハリネズミ自身が相手を選んでるじゃないですか。

「この人か~ちょっと開けるのやめよっかな」みたいな?「いや、君は呼んでない」みたいに感じるんですよね。

 

でもハリネズミくんは選んでいたわけではありません。

 

ぼくはヘンで恐怖をかきたてて孤独で自信がない。ぼくにはハリがあって、それでもだれかにあそびに来てほしい。でもやっぱりだれにも来てほしくない・・・ハリネズミはそう思った。

 

ハリネズミくんは誰かが来てくれたときのおもてなしを想像します。紅茶をいれて、ケーキを出して・・・相手がしたいことが自分の嫌なことでも「NO」とは言わない。

 

こういうのってすごくデリケートな問題な気がして、この書評書くのどうしようかなって思ったんですけど、自分の中にないものを教えてくれるのが本であり書評だと思うので、書くことにしました。

 

私自身はハリネズミくんの気持ちを先天的には持っていないです。

たくさんの友だちがいて、自信があるわけではないです。ただ誰かと遊びたいときは自分から誘うし、家には誰にも来てほしくないからです。故に招待状を書くという不安が生まれない。

そんで、考えても分からない他人の気持ちを想像するのが苦手だからです。

相手が自分をどう思ってるのかなんて考えてもしょうがないと思ってるので、気になったら直接聞くし、そこまで気にならないなら気にしない。

 

んで、私が思うこういう人間のマイナスなところは不本意に人を傷つけるってところにあります。

自分ではそんなつもりはなくても場の空気を凍らすってところがね、あったりしますね。

自分が他人の意識に興味がないってことは言っちゃえば汲み取るのも下手なわけです。だからよく知らない人と会ったときの「こういうことってあるよね~」っていうふんわりした言葉に対して「何が?」「何で?」とかマジレスしてしまい、場が一瞬凍るってことになります。

自分的にはちゃんと会話したいから聞いてるし、一応気を使って優しいトーンで「えっどういうことですか?」って返すようにしても、やっぱ「えっ?あっあの・・・」っていう困った返しが相手から来るので、経験上どうやっても凍る。

 

で、ハリネズミくんというのはたぶんこういうことにならないように、すごく気を使えるんじゃないかと思う。

 

それでもだれかにあそびに来てほしい。でもやっぱりだれにも来てほしくない

 

 だれかと遊ぶってことは、私がよく経験する場の凍りつきが生まれる可能性が発生する。だからだれかを傷つけるくらいなら一人でいたほうがマシだ・・・と思うんじゃないかと。

 

 人を傷つけるかもしれないってことにとらわれるとほんっとーに廻らないんですよね。

 前に「前の彼女ってどんな人だった?」って聞いたら「そういうのはなしたくない」って言われて場が凍ったことがありました。でも人によってはガンガン聞いてくる人とか話してくる人もいるから人それぞれなんですけど、会話って地味に相手を傷つける勇気が必要なんですよね。

じゃないと一生天気の話で終わります。

 

んで、ハリネズミくんはそういう地雷回避のイメトレをこなし続けます。

ときに相手を極悪人じゃねえか!ってくらい無茶苦茶な設定にします。

これも相手が極悪人でも許せるイメトレしておけば、いざってとき相手を傷付けなくて済むように思います。

 

でも実際は百聞は一見にしかず。

 

ハリネズミとリスは紅茶を飲み、ハチミツを舐め、ときどきうなずきあった。

 

リスがほんとうにたずねてきたのです。

ハリネズミはびっくりするけど、中にいれる。

二人はただ紅茶を飲み、ハチミツを舐め、ときどきうなずきあっただけでした。だけど二人とも時間が止まればいいのに、と思ったんですね。

 

 

自分と他人って違う。

 私はハリネズミくんの思考は自分の中からは生まれない。誰かから指摘されたり、こういう本を読んだりしてどこからか輸入しなければハリネズミくんのような人に会ったときに否定的に思ってしまうと思う。

 考えすぎ、自意識過剰、ネガティブ、相手を悪人にしすぎ・・・とか。

 自分と違うからわかんない、で終わったらすごくもったいない気がする。

 相手がどうしてそういう風に思ってしまうんだろうって一歩先のことを考える手助けをしてくれるのが、こういう自分にないキャラクターの物語だと思うので、ハリネズミくん的な人もそうじゃない人にも学べるところがたくさんあると思う。

生まれたときから持ってるものをどう使うか、どう受け取るかによってその人の人となりみたいなものが作られていく気がします。

どんなものでも一長一短、人の好みは十人十色。