深夜図書

書評と映画評が主な雑記ブログ。不定期に23:30更新しています。独断と偏見、ネタバレ必至ですので、お気をつけ下さいまし。なお、ブログ内の人物名は敬称略となっております。

【映画】青の炎~我慢と秘密が同居する罪は、その子供を滅ぼす~

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≪内容≫

17歳の完全犯罪。

秀一は湘南の高校に通う17歳。
女手ひとつで家計を担う母・友子と、妹の遥香の三人暮らし。
しかし、十年前に母が離婚した男・曾根が出現し、その平和な生活は壊される。
傍若無人に振る舞い、一日中飲んだくれ、母の体に手を出す曾根。
ついに妹にまで危険が及んだとき秀一の怒りは頂点に達した……。

 

やっぱり10代のときに観て噛み砕けなかったものってもう一回観た方がいいな。もう観たカウントに入れない方がいいなってくらいおぼろげな記憶でしか残ってなかった。これ小説読みたいな~。読もう。大好きな貴志さんだし。

 

ちなみにこの作品にすごく似ているというか、少女版がこちら。

「子供は我慢しすぎて、死んでしまった。我慢と秘密が同居する罪は、その子供を滅ぼす。だから我慢しすぎない方がいいってことだよ」

  本作は17歳の少年。こちらは13歳の少女二人。

 共通点はアル中DVの親父。

  

僕達は声を張り上げるべきなのか? 

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 主人公の秀一はお兄ちゃんです。血の繋がっていないとその父、自分と自分の母の四人家族。既に父と母は離婚済みなのだが、いきなり父(ていうか離婚済みだから元ままちち)が家に戻って来てから家族はぎくしゃくし始める。

 

 三人の平和な家に突如として現れた父は、二階の一部屋を自分の城にして寝るか酒飲むかの毎日でした。

 三人の食卓にフラっと現れては酒を探し、嫌がる母を抱き伏せ、さらには妹にまで手を出そうとしていました。 

 秀一は母になぜヤツを追い出さないのかと問い詰めるが、母は秘密を打ち明けることはせずのらりくらりと秀一を受け流してしまう。

 

 秀一は頼れる大人がいない現実を冷静に分析し、ならば自らが現状を変えるしかないのだとひとつの計画を練り上げる。

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んで、この作品の最初と最後に流れる洋楽があるんですが。

 これがすごく耳に残る。

 んで、すごくリンクするんです。

 っていうのも最後のシーンで聞こえてくる歌詞に「suicide」ってワードがあって、それが強烈に耳をついたんですね。

 suicideって自殺って意味です。

 お、これはただの雰囲気で選ばれた曲じゃなさそうだぜ・・・という私の勘でググったところ、ピンクフロイドの「ザ・ポスト・ウォー・ドリーム」という曲でした。

ファイナル・カット

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 貴志さんってたぶん音楽かけて執筆している人だと何かで読んだ気がして、だから執筆中にこのアルバム聞いてたんかな?とか思ったりしました。

それくらいちょっと歌詞がシンクロします。

 戦争が終われば幸せになれると言っていたのに、日出ずる国の若者たちは自殺に追い込まれている・・・といったように日本のことも交えていた歌詞でした。

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 この歌詞からして、最後彼は自殺したでしょうね・・・というのが私の感想です。だって、一応声は張り上げたんだもの。

 それでも現実が変わらないなら、大人が変えようとしないなら、子供が動くしかないじゃない。だって被害を受けるのは子供なんだもの。

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明日から一生 死ぬまでひどい夢を見てうなされるかもしれない
でも世の中には笑ってやりすごせないこともあるんだ

 秀一は友達に話すみたいにレコーダーに向かってひとり言を言います。自分の考え、計画、日記みたいに残します。重要な証拠です。完全犯罪を企むくせにおかしくないですか?

 

 これたぶんどこかで誰かに止めてほしかったんじゃないかなぁと思うんです。誰か自分の心の声を拾って自分の異変に気付いてほしい。自分では止められないところまできてしまっている感じ。

 

 結局アル中の親父は末期ガンで老い先短いから実の娘である妹に会いに来たのだと、こっそり妹には打ち明けていたみたいなんですね。

 お母さんは知らなそうだけど、ほんとのとこは分かりません。だから秀一が手を下さなくても死んだので、ほんっとこういうとこ救いないんですね・・・。

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 人と触れ合うのにこんなに分厚くて大きなガラスが彼の心にはあるのでしょうね。レコーダーに向かって話すことを友達にも言えたらいいのに。相談出来たらいいのに、それが出来ない。

 

 別に人って誰かと触れ合わなければいけないわけじゃないと思うんです。別にぼっちだっていいじゃない、と思うわけです。

 だけどそんなの寂しいよ、とか友達と過ごしなよ、とか言う人がいて、それが何を根拠に言っているんだと思っていたんですが、これを見るとちょっと気持ちが分かるのですね。

 

 たられば論ですけど、例えば秀一がどれだけうざがっても、すっごい絡んでくるヤツがいたら違っていただろうなって。

「なにこのデカい水槽」とか「お前最近おかしくね?」とか「お前が外で書くなら俺も外で書くわー」とかおめえぶっ殺すぞレベルのうざいヤツがいたら、未来違ってたろうな、とか思ってしまうんです。

 

 たぶん、そんなの寂しいよ、とか友達と過ごしなよ、とか言う人の中には、そうしないと一人で抱え込んでしまう可能性があることを知っている人がいるんじゃないかなって思うんです。

 

 自分から口に出せる人もいれば、口に出さなくても消化できる人もいて、だけど他人が口うるさくつついたことでやっと吐き出せる人もいるから、何がいいとか、こうすればいいって答えはないも同然、ケースバイケース、人対人です。

 

 なんかこれ観て人に興味を持つってことは悪いことじゃないんだなぁってちょっと考えが改まりました。

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  わりと名作だと思うんですよね・・・。二宮君の肌のきれいさとクラスにいそうな感じもgood。次はリリーシュシュみたいな。