深夜図書

書評と映画評が主な雑記ブログ。不定期に23:30更新しています。独断と偏見、ネタバレ必至ですので、お気をつけ下さいまし。なお、ブログ内の人物名は敬称略となっております。

【映画】華麗なるギャツビー~育ちが悪い人間は努力で階級を得ても欲しい愛には届かない~

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≪内容≫

宮殿のような豪邸に暮らす、謎めいた男がいる。彼の名は、ジェイ・ギャツビー。どこから来たのか?どうやって大富豪になったのか?仕事は何をしているのか?いったい何のために、毎夜のように豪華絢爛なパーティーを開くのか?誰一人その答えを知らない。「真実を話そう」と、ギャツビーは隣人のニックに、自らの生い立ちを打ち明ける。裕福な名家に生まれ、ヨーロッパで宝石や名画に囲まれた贅沢な暮しを送った。戦争では数々の勲章を受けて英雄となり、両親が亡くなった今は天涯孤独の身……。出来すぎた話に、「彼は何かを隠している」と直感するニック。やがて、耳を疑う噂と危険な人脈、そして上流社会の女性との禁じられた恋が、少しずつギャツビーの華麗な仮面をはがしていく。ギャツビーがこの街にやって来た、本当の目的は?果たして、彼が人生のすべてをかけた<秘密>とは――? 。

 

小説を読んでから映画を観ました。

 1974年と2013年のものがあって、悩んだんですが・・・レオ様が好きなのと、デイジー役の女優さんのキュートさで2013年を選びました。

レオ様は今回も水に入ってますw

 

戻れない過去に向かって

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  証券会社に勤めるべくやってきた家の隣の豪邸に住むギャツビーに何かと話をふられるニックは、不信に思いながらギャツビーの言葉に耳を傾ける。

 

 彼が話す過去はあまりに華やかでそれが真実だとはニックには到底思えなかった。孤独感を知っているニックはギャッツビーの本当の目的を知り、それが破滅に向かうことを知りながらギャツビーの姿を追いかける。

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 なぜニックの家の隣にギャツビーがやってきたのか。それは、ニックの親戚であるデイジーと出会える日を待っていたからである。

 

 毎夜開かれる豪勢なパーティーはギャツビーなりの合図であった。人目を引く行為と華やかさが必ずデイジーをここにつれてきてくれると確信していたのだが、なかなか彼女はやってこない。

 そんなときに現れたニックにギャツビーは望みを託す。

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 デイジーとギャツビーが出会ったのは、ギャツビーが軍人だった頃。まだお金も名誉もなく愛してはいてもデイジーとつりあうだけの男ではなかった。

 ギャツビーは当時の愛を胸にここまでやってきたのだった。

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 一方デイジーはシカゴの金持ちと結婚し妻になっていた。子供もいる。だが、楽しい事が大好きなデイジーにとって昔の恋人ギャッツビーの開く豪勢なパーティーと豪邸は妻という存在をよりいっそう味気なくさせた。

 デイジーはギャツビーといるときはギャツビーを、トムといるときはトムを愛せる。そういう器用な女性でした。

 

 しかしギャツビーはただデイジーと再会したいと思っていたわけじゃない。彼の目的は五年前からやり直すことなのだから。彼は五年前に持っていなかったものを五年かけて手にして舞い戻ってきたのだから。

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  だがそれは第三者のニックの目から見ても無謀なことでした。すでにデイジーは結婚して子供もいて相手は大富豪です。

 対するギャツビーの金の出所は密酒であり、違法行為、かつ家族もいない。誰がどう見てもデイジーがトムと子供を捨てギャツビーを選ぶとは思えない。 

 

 ですが、ギャツビーの生きる目的は全てデイジーに注がれていたから、そのためにここまでやってこれたから、そんな理性などないのです。言っちゃえばデイジーの今の幸せ、今の家庭を壊しても自分を選んでほしかったのです。

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  一見華やかで、誰もが慕う場の中心的人物であったギャツビー。だけどそれはギャツビーに便乗しただけの通りすがりの集団であり、本当にギャツビーに寄り添っていたのは、第三者であるニックだけでした。

 

 デイジーはトムとギャツビーに責められ脅えてしまいます。そしてその動揺が事故を招き、その後始末はギャツビーに廻ってきます

 

 この映画の切なさは、持って生まれたもの(親や資産)がない人間が年数をかけて手にしてもそれはハリボテであり欲しいものに手は届かない、ってことなんだと思います。そういう時代を色濃く描いているのでしょう。

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  ギャツビーがどんなに紳士に振舞おうとしても隠し切れない育ちの部分が、愛よりも階級の時代だったのだと強く感じさせます。