≪内容≫
マンハッタンの古いアパートに、若い夫婦者が越してきた。やがて妻のローズマリーは身篭もり、隣人の奇妙な心遣いに感謝しながらも、妊娠期特有の情緒不安定に陥っていく。彼女は、アパートで何か不気味なことが進行している、という幻想にとり憑かれていた……。
これ映画にもなってたんですね。
古典ホラーとして結構有名らしい!知らんかったけど面白かった。
オカルトホラーの面白さ
表紙の逆さ十字からすでに悪魔崇拝の香りがぷんぷん。
この物語はあるアパートに入居してきた新婚カップルにサタニズムの洗礼が行われるところからスタートするのですが、標的となっているのはローズマリーのお腹にいる赤子であるため、サタニズム達はたくみにローズマリーをなだめかし、説得し、彼女の知らぬ間に赤子をサタンの息子へと作り変えていくのである。
昔、宗教を否定する言葉を吐いた人間がどんどん死んでいく映画があって、かなり面白かったんですが、タイトルを失念してしまったせいで、再見出来ていない・・・のですが、こういうオカルトってなんでこう面白いのか。
やっぱり自分に馴染みがないものだからなのでしょうか。
本書だと、もう周りの人間もおかしいし、ローズマリーの夫もがぜんおかしいのですが、人間ってオカルト的な事象に対して「おかしい!」とつっかかれないのですよね。だって、「おかしい」んだけど、「おかしい」って言っちゃうと、そういう自分が一番「おかしい」んじゃないかと思っちゃう。
ローズマリーは大事な人達をどんどん呪い殺されちゃうんですが、もう赤子を守ることに必死で全然周りが見えていない。
でも、私は思うのですが、もし自分がローズマリーの立ち位置になったら、同じ行動を取る気がするのです。
ローズマリーは家族と上手くいっていないので、家族の元に里帰りすることが出来ないのです。そこがキーポイント。もしも、帰れる家があるのなら「なんかおかしくね?」という第三者の言葉で我に帰れる場合もあった。
でも、ローズマリーには夫しかいなかった。頼れる友人も意識不明。おかしな隣人たちは傍目には親切すぎるほど親切・・・ああ、なんかおかしい!でも、でも何がおかしいっていうのかしら!私は人の親切を裏切ってるだけなのかしら!でも・・・でも!というローズマリーに読者もどきどきひやひやしながら一気に読み切ってしまうと思います。
母は強し
ホラーなんですけど、最後ちょっとコメディみたいで面白いのが面白い。
結局ローズマリーの赤ちゃんはサタニズム達に取り上げられ、サタンの子として祭り上げられてしまうのです。
そして、赤ちゃんは彼らがローズマリーに与えてきた薬草や後天的な手術によってなのか、目は白眼も虹彩もない山吹色一色で、縦に黒く細く開かれた瞳孔、指はかぎづめ、というまさしく悪魔の子という風貌で、ローズマリーの眼前に現れる。
自分と夫との血を分けたかわいいベイビーのはずが、恐ろしい形相の赤子がゆりかごの中で眠っている・・・。
その後ろではサタニズムたちの「悪魔万歳」という笑い声・・・。
ああ、私この子を愛せるかしら・・・いや、この子を殺して私も死んだ方が・・・いや待て・・・。
そんな葛藤もそこそこにローズマリーは立ち上がる。
うっせえんだよ!
おめえらの子じゃねえんだよ!変な名前つけやがって黙ってろ!
おめえらの思惑がなんだか知らねえけど、黒い服ばっか着せる訳にはいかねえからな!
チッ!
ほら笑ってみてかわいいおかしな目のベイビーちゃん
ママににこっとほほえんでみて・・・
という終わりである。
最後にはあんなに押しが強かったサタニズムたちが「ローズマリー万歳(恐れ)」と声を上げる始末。
草を禁じえない最後であった。
おもしろすぎる。
映画も笑えるのかな?それともがっつりホラーかしら。。。
アメリカ人のサービス精神ほんと好き。