深夜図書

書評と映画評が主な雑記ブログ。不定期に23:30更新しています。独断と偏見、ネタバレ必至ですので、お気をつけ下さいまし。なお、ブログ内の人物名は敬称略となっております。

オカルト/森 達也~"わからないは一番ポジティブ"~

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≪内容≫

それは科学か?インチキか?本当のオカルト(隠されたもの)か?なぜ人はほとんどが嘘だと思いながら、この世界から目をそらさずに来たのか。否定しつつも惹かれてしまう「オカルト」。その境界をたどる。

 

カバーかけずに電車のつり革を掴みながら読んでいると、目の前に座っている人が大体二度見するが凝視する。

 

みんな好きじゃなくても興味はある"オカルト"。

 

オカルトとは?

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オカルト、といったら何を想像しますか?

私は・・・「エクソシスト」でした。

 「エクソシスト」の記事を読む。

ホラーとか心霊とかサスペンス・・・なんかいろいろあるけど、結局なんなのかはよく分からない。でも、小野不由美さんの「ゴーストハンターシリーズ」とか

 八雲シリーズはオカルト感あるな。 

心霊探偵八雲1 赤い瞳は知っている (角川文庫)

心霊探偵八雲1 赤い瞳は知っている (角川文庫)

  • 作者:神永 学
  • 発売日: 2008/03/21
  • メディア: 文庫
 

となると、やっぱり心霊になるのかな。いや、でもスプーン曲げとかホラー映画のポルターガイスト現象とか・・・も心霊のなのかな。とりあえずwikiにはこうありました。

 

目で見たり、触れて感じたりすることのできないことを意味する。そのような知識の探求とそれによって得られた知識体系は「オカルティズム」と呼ばれている。ただし、何をもって「オカルト」とするのかについては、時代や論者の立場等により見解が異なる。

wikipediaより 

 

 本書の中ではスプーン曲げ恐山のイタコメンタリストのDaigo霊園に出るという幽霊UFO占い師・・・etcetc・・・面白そうな話題がいっぱい。

 

 スプーン曲げは、実際曲がったあとのスプーンは目で見えるけど、曲がる瞬間、どうなっているのかは見えない。イタコが言ってることも真実かどうか分かる術がない。結局は個人個人の信じる・信じないに委ねられる。

 

 オカルトというのは、社会的ではなく非常に個人的なのだと思う。

その現象が起きたとして、それを防いだり回避する方法を見つけることができない。しかしこの世界は個人ではなく社会である。社会というシステムの中に個人が在る。

そう考えると「オカルト」などどいう得たいの知れないエネルギーは社会システムにとって脅威なのである。だから、目で見たり、触れて感じたりできないにも関わらず、我々はコミットせざるを得ない。

 

 ・・・のではないかな、と思う。

単純に個人の好奇心で許される範囲じゃない。

社会システムに我々が動かされているのか、オカルトが我々の潜在意識の中で社会システムから逃れようとしているのか・・・。鶏が先か卵が先か・・・。

 

超常現象と宗教

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「それを信じたい人には信じるに足る材料を与えてくれるけれど、疑う人にまで信じるに足る証拠はない。超常現象の解明というのは本質的にそういう限界を持っている」 

 

 「信じる者は救われる」にめっちゃ似てるな・・・。

 宗教が科学の発展によって力を失ってきたというのは、やはり宗教もオカルトの一種なんじゃないかなぁと思ったりする。それでもなくならないのは、心霊現象がなくならないのと同じで、宗教の中にも科学的なものと、オカルティックなものとが混じり合っていたからなのでは・・・と思う。

 

 今残ってるものは、現代の科学が追いついていない部分か、オカルトな部分だとしたら・・・。

 

 でもそもそもなんですが、じゃあ全員信じたらオカルトじゃなくない?とか思っちゃう。

 宗教も一緒で、全員が同じ宗教を信じたらそれって宗教じゃなくて道徳になるんじゃない?

 

 結局信じたい人間と信じたくない人間がいないと成り立たないのがこの二つで、画一化されたら「オカルト」や「宗教」という言葉だけじゃなくていろんな言葉が死語の後消滅するだろうな、と思う。

 

 社会の発展、文明の開化、それには多様性が必要不可欠。

全員が同じ場所に立ったら船は傾いて沈んじゃう・・・。生きるためには、対立するものが必要なのかもしれない。だけどその方法はなるべく穏やかであってほしい。

 

わからないは一番ポジティブ

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「わからないから研究したい。ほとんどが嘘だっていうことはもうわかっています。でもすべてが嘘とも言いきれない。だから研究するんです。」

 

  面白いし・・・という科学者。

 この分野は玉石混淆で石の方がずっと多い。だけど、その中に必ず玉もある。だから一概に"インチキ"とは出来ない。でも玉に遭遇しても、その現象が個人の領域を越えないから、社会的な話が出来ない・・・。というのが本書に書いてある"オカルト"に対しての現在の状況でした。

 

 思えばなんでも、恋愛でも語学でも最初は"わからない"状態ですよね。わからないから相手と交流したり勉強したりっていう行動が生まれる。

 

 わからないことは克服すべきこと、みたいに思ってしまう時も、長い一生の中ではあると思いますが、実は一番可能性を秘めてる時なんですよね。

 

 この世はわからないことがあるから楽しい。一生かけても見きれないほど大量の本と映画のおかげで死ぬまで楽しいんだろうな、と思う時があります。

最近意識してる口癖?というか思考は「のびしろー!」です。「まだやったことないんだよね」「それ知らないな」って言われたとき、「いいな、この人はまだ知らないからものすごいのびしろあるんだな」って思うようにしてます。それと同時に自分も初めてのことで不安なときは「のびしろ!のびしろ!」と言い聞かせてます。