深夜図書

書評と映画評が主な雑記ブログ。不定期に23:30更新しています。独断と偏見、ネタバレ必至ですので、お気をつけ下さいまし。なお、ブログ内の人物名は敬称略となっております。

【映画】セヴン~誰のための7日間だったのか?七つの大罪の考察~

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≪内容≫

2人の刑事が追うのは、怜悧な頭脳を持つしたたかな連続殺人鬼。男は七つの大罪のいずれかに該当する者を狙い、おぞましい殺人を繰り返していた。そして最後には観る者の心を食い破る、驚愕のクライマックスが待つ。

 

1995年の映画なんですね。

これはね、2018年の感覚で観るとあんまり新鮮ではないかもしれません。

逆に言えば映画の"旬"ってものに気付けた作品です。

 

天地創造のSE7EN

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 主人公は正義漢ミルズ刑事

最初ずーっと実はこいつが犯人なんじゃ・・・?と思ってた内の一人。

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 そして一週間後に退職が決まってるサマセット

 実はこいつが犯人なんじゃ・・・?と思ってたもう一人。ミルズを導く先輩刑事です。

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 最後はミルズの妻トレイシー

アメリカの刑事ものにおける妻ポジションがいかに危険な立ち位置か分かるくらいには、海外映画と小説を読んできたのかな?と思った。

  あとは犯人ももちろん重要人物ですが、この記事ではネタバレしません。それ以外の主要な人物はこの三人。

 

一週間の7。七つの大罪の7。

そしてもう一つ、天地創造の7であると私は思います。

 

1日目 神は天と地をつくられた(つまり、宇宙と地球を最初に創造した)。暗闇がある中、神は光をつくり、昼と夜ができられた。
2日目 神は空(天)をつくられた。
3日目 神は大地を作り、海が生まれ、地に植物をはえさせられた。
4日目 神は太陽と月と星をつくられた。
5日目 神は魚と鳥をつくられた。
6日目 神は獣と家畜をつくり、神に似せた人をつくられた。
7日目 神はお休みになった。 

(wikipedia.より参照)

 

 

天と地=サマセットとミルズ

暗闇と光=諦念と希望

昼と夜=悪と正義

空=社会というシステム

大地=男

海=女

植物=子供

太陽=裁く者

月=罪人

星=その他の人間

魚=社会にいらない人間

鳥=社会にいらない人間

獣=加害者

家畜=被害者

神に似せた人=犯人、もしくは一般人

神=神

 

7日目に神はお休みになった。=神はいない。

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 7日目に神を呼んでも、神はいない。ミルズにとってのSE7ENは7日目に終わる。

 しかし、7日間といっても人によって始まりの1日目が異なるので終わるタイミングも異なるのが普通。では、この作品における7日間は誰の7日間なのか。誰の天地創造なのか。

 

「七つの大罪」は悪なのか?

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 この作品は「七つの大罪」になぞらえて、それぞれの罪によって殺される。

七つの大罪とは

 

傲慢

憤怒

嫉妬

怠惰

強欲

暴食

色欲

(wikipediaより参照)

 

 である。

 私は思うのだけど、これら七つの欲望失くして人は生きていけるのでしょうか?

 正義が存在するためには悪が存在しなければならないのと同じで、人がよりよいものを求めるには、その土台が必要なわけです。これら全て一つも持っていない人間なんているのでしょうか?ほんの小さなかけらや、人生の中の一瞬の中に、これらの罪が存在していた(る)のが、人間っていうか生きるってことなんじゃないの?と思うのです。

 

 いわば犯人も、この中のどれかの罪に値するのだと自分で告白するのですから。だけど、セヴンの中にはこのどれも持っていない人間がいるのです。

それが、サマセットなのです

 

サマセットのための7日間

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 この天地創造はサマセットが生き返るための7日間だったと思うのです。

 サマセットは長年の刑事生活の中で、無関心でいることを覚えていきます。人を疑うこと、諦めること、熱くならないこと。だからまだ若くて正義漢なミルズをたしなめてしまうのです。

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 まず、最初っから終わりに向かっているのがサマセットだったのです。いわば、創造の前の破壊状態だったのがサマセットの年齢による定年と、メンタル。

 しかし若いミルズ(光)と、積極的な妻トレイシー(海)に出会うことで、サマセットの世界は新しい世界建設状態に向かう。

 ちなみにミルズとトレイシーの新居にサマセットが招かれて、3人で会食するなんですが、この家めちゃくちゃ揺れるんです。

 この揺れがね、創造のための破壊って感じがするんですよ。でも、それはサマセットだけのものなんですがね・・・。

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 サマセットの7日目は、彼がヘミングウェイの言葉の後半部分「戦う価値がある」という部分にだけ同意して終わります。

 

 彼にとって戦う日々が創造されて終わった、という風に私は感じました。

 生きるってこと自体、戦いな部分があって、だけどサマセットはそこから降りようとしていた。だけど、本当は悩んでたんじゃないですかね。だからミルズにつっかかるし、後半にかけてイラついてるシーンが出てきたりして、冗談を言ったり怒ったりするのも増えた。

  生きるってそういう負の感情とか醜い欲望に突き動かされてる部分の方が強いと思うんですよ。ただそっちにだけ傾くと地獄に落ちるよってことで、バランスは取らなきゃいけないのですけど・・・

セブン (字幕版)

セブン (字幕版)

 

まさかの主人公がサマセットなんだよなぁ・・・というのが一番の驚き。