≪内容≫
1988年、平凡なサラリーマン、オ・デス(チェ・ミンシク)は何者かに誘拐、監禁され、何と15年もの歳月を経て突然解放された。なぜこのような仕打ちを受けたのか真相を突き止め復讐すべく、すぐさま彼は行動に移すのだが…。
これ韓国のお家芸的復讐サスペンスなので、THE韓国!とか思ってましたけど原作日本なんですね。
日本が映画にしてたらどーなってたろう?日本でヤバイな・・・と思ったのは「凶悪」と「その夜の侍」「冷たい熱帯魚」辺りですが、韓国が割と激しいバイオレンスなのに対して日本は静かな狂気って感じなので・・・「日本で一番悪い奴ら」みたいな感じかな?
壮大にネタバレしていきます!!!
監禁が15年の意味
ミドというこの女性。
この女性が大人になるまで15年必要だったのです。
こいつが監禁したヤツなので、主人公・デスが監禁されたとき、ミドは4歳だったと考えられる。とすると、今は19歳か20歳。韓国では19歳で成人なので、彼女の成長を待ったのだと思われます。
犯人の目的と罪と罰
さて、本作は突然誘拐されて15年の監禁後、唐突に解き放たれた男が事件の真相を探る話であります。
犯人であるウジンは学生時代、実姉・スアと恋に落ちていた。そしてデスは二人の行為を思いがけず見てしまう。しかしデスは二人の名前を知らなかったため友人にこの出来事を話して誰なのか聞いてしまう。引っ越しが迫っていたデスは友人に「誰にも言うなよ」と口止めをして転校。その後スアは自死したが、デスにその知らせは届いていなかった。
ウジンは姉が自殺したのは、デスの舌のせいだという。デスが友人に話したせいで、友人が噂を広げてしまい、ありもしない妊娠説が飛び出し、スアは想像妊娠してしまった。そのことで絶望したスアは自死・・・しかし、ミドの言うとおり「そんなことで人を15年も監禁したの?」と思ってしまう。
だが、15年監禁したのはただの憎しみだけではない。
近親相姦という禁忌をデスに追い体験させたかったのだ。
スアとウジンは愛し合っていた。他人同士なら問題ない。妊娠もそこまで重くのしかかることではなかったかもしれない。しかし、姉弟の間での妊娠は新たな血族の誕生であり、甥の妊娠(ということは男だと判別できるくらい時間がたっていたのか?)というワードは思いのほか二人にのしかかってきた。
学生時代、女をとっかえひっかえのモテ男だったデスのことをウジンは軽蔑していた。本当に人を好きになったことのないチャランポランな男の言ったことで、自分の愛する女性が追い込まれついに死んでしまった。
しかし、自分の女を守れなかったのはウジン自身である。
スアを追いつめたのはデスの舌だけでなくウジンでもあったのだ。そのことを分かっているからこそ、ウジンはデスに執着したのだ。ウジンがデスに言うことは、自分自身に言っているようにも聞こえる。
デスの罪は二人の愛を引き裂いたこと。
そしてウジンの目的は、自分たちの愛が純愛だったことをデスに認めさせること。
スアの汚名を雪ぐために。
父と娘のその後は?
デスはミドの血の繋がった父親である。
しかし、何も知らないミドに今更打ち明けることもできず、デスは「おじさん」として生きていく道を選ぶ・・・という終わりだと私は思います。
デスは妻も失い、娘も失った、ということになります。
ここにいるミドは娘でありながらもう娘ではないのですね・・・。これ、家族の繋がりが深い韓国の風習からするとすごく辛いことなのかな?
私はまだ娘視点しかないからかな。でも、自分が息子とこんな感じになっちゃったら辛いよね。子供には幸せになって欲しいのに、それをぶっ壊してるのが己自身ってことだもんな・・・。
ほんとに今更だけど、タイトル「OLDBOY」の時点でOB→学生時代→同窓生だと最初っから犯人の目星あったんですよね。ぜんっぜん気付かなかった・・・。ほんとタイトルと冒頭は内容より濃いわ。分かっていても最後まで分からないし、映画ってほんと楽しい。