≪内容≫
凶暴な純愛がここに完結する。『グラン・ブルー』『二キータ』のリュック・ベッソン監督が、ニューヨークを舞台に放つアクション・エンタテインメント!アカデミー賞女優、ナタリー・ポートマン鮮烈のデビュー作。『レオン オリジナル版』には未使用の、レオンとマチルダが心を通わす過程がより緻密に描かれた、22分のシーンを加えた完全版。家族を惨殺された12歳の少女マチルダは、隣の部屋に住む殺し屋レオンに助けを求める。戸惑いながらもマチルダに救いの手を差し出すレオン。そこから二人の奇妙な共同生活が始まった。弟の仇を討ちたいというマチルダにしかたなく殺しのテクニックを教えるレオンと、読み書きもできないレオンに文字を教えるマチルダ。やがて二人の間には父娘とも恋人ともつかない愛情が芽生えていくが…。
人生で見た映画、大体100本くらいいったかな。
もしも、名作の映画を教えて!と言われたら間違いなくこの作品をすすめる。
二回目だけど、今回は前回より深く感じることができた気がします。
映画の楽しみ方は人それぞれで、特にこの作品は色んな見方が出来る分、見てる側がどんな色にも変えられると思います。
今回はちょっと穿った見方をしていきたいと思います。
魂の死と肉体の死
名作と名高い「LEON」ですが、内容はシンプルでとても分かりやすい。殺し屋が少女と出会って人間を取り戻す、といった感じです。
家族を殺されたマチルダは間一髪で一人逃げるが、殺し屋たちは家族全員を殺すため、マチルダは死の危険にさらされる。
単純に、マチルダ(若かりしナタリー・ポートマン)の美貌も名作に貢献していると思う。彼女、ほんとうに美しい。美しくて、小悪魔で、悲しくて、純粋なのです・・・。
さらに主役・レオンのジャン・レノがものっすごいいい。殺し屋ではないとき、こんなにあどけない表情を見せるのです。この映画が名作になったのは、ただ単に内容が良かったからじゃなくて俳優陣もあるだろうなぁ、と思う。
レオンはマチルダに会わなかったらたぶん死ななかったし、マチルダと会ってもマチルダが復讐を望まなければ死ななかったと思う。
でも、じゃあこれはBAD ENDなのかというと、私的にはHAPPY ENDではないけど、ANOTHER ENDみたいな気がして良かったと思うのです。
人の死は、どこからが死なのだろうか?
そのことについてこの映画で感じたことを書いて行きたいと思います。
レオンの魂は19歳で死んでいる
レオンが初めて人を殺したのが19歳。レオンの恋人だった娘は実の父親に殺されたが、事故扱いで父親はすぐに釈放されてしまった。レオンはその父親を殺し、この街にやってきたのだった。
マチルダも銃をぶっ放し、留めをさすのがレオンでも人を傷付けてる。だけどマチルダの魂は未だ死んでいない。それはなぜか。
彼女には欲がある。それは人間が生きていくための必要不可欠な栄養みたいなもので、例え健康的な肉体を維持していても欲がなければ、土に埋まっていても萎れている草木のようなものなのだと思う。
レオンの年齢は書かれていないが、見た目からして40は越えているだろう。とすると、20年以上肉体だけが生命活動を維持していた、という状況だったと考えられる。
マチルダとの出会いは何をもたらしたか
端的に言うと、「死」をもたらしたわけなのですが、今回のレオンの「死」っていわゆる悲しいことなのか?と思うと、ちょっと違くて、どちらかというと、救いの「死」だと思うのです。
例えば、魂が死んでいないまま肉体が死ぬとどうなるか。いわゆる怨霊とか自縛霊などの説明にあるように、自分が死んだことを理解できず彷徨う霊となる。
ここら辺のお話はノラガミで分かりやすく書かれていました。
では、魂が死んで肉体だけが生き残ったらどうなるのか。心と肉体がバラバラになっても人は生きられる。生命を維持できる。では心とは何か。心とはいわゆる無駄なことである。
そもそも映画とか小説とか、芸術鑑賞とかゲームとか無くても生命活動はできますよね。食事と睡眠と運動。それの繰り返しで人は生きていける。ただ、生きるだけなら。
レオンはいわゆる生霊みたいな存在だったと思います。
自分を愛せなきゃ人も愛せないというように、大切なものがなければ何かを大切にすることもできない。死んでるなら人を死なせることもできる。逆に言うと、死ななければ人を殺すことはできない。
だけど人間は不老不死じゃない。魂が死んだまま肉体が老衰したら、その人間はどうなるのだろうか。まぁ死ぬのだけど、それは救われない死になると思う。
人はみんな死ぬ。いずれ死ぬ。
なんのために生きてんのかって究極どうやって死ぬかを探していると思うのです。
魂と肉体が同じタイミングで死ねたらベストだと思うし、少しのずれなら自分で納得できると思う。ベストタイミングの死はこれ。↓
レオンの魂と肉体はバラバラのまま20年を過ごしてきたけど、その距離をマチルダが埋めたのだと思います。
死ぬのを怖がるのは、魂と肉体が近い場所にいるからだと思うのです。とても幸せなことだよね。
ついついマチルダに目が行ってしまうのは、彼女の生命エネルギーのせいだと思うのですが、これはレオンという孤独な男の最後のひとときのお話です。
マチルダは彼の人生の最後に竜巻みたいに現れて、彼の魂と肉体とを再会させた。そして彼の大切な友達を受け継いでくれた。
本作の何がいいって、素直に「誰かのためにしてやれることが、自分を救うことにもなる」って部分だと思います。誰かのためが過ぎると責任転嫁だし、自分のためが過ぎると破滅につながる。だから、レオンがやったことというのはとても難しいことだと私は思う。
また40歳になったら見直したいな。