深夜図書

書評と映画評が主な雑記ブログ。不定期に23:30更新しています。独断と偏見、ネタバレ必至ですので、お気をつけ下さいまし。なお、ブログ内の人物名は敬称略となっております。

【映画】私の頭の中の消しゴム~記憶が消えたら愛も消えてなくなっちゃうのかな?~

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≪内容≫

建設会社の社長令嬢のスジンは、天真爛漫なお嬢様。建築家志望のチョルスとコンビニで運命的な出会いをし、二人はすぐに恋におちてしまった。温かい家族に囲まれて育ったスジンと違い、チョルスは孤独に生きてきた男だったが、スジンの献身的な愛に結婚することを決意。二人は晴れて新婚生活を迎える。建築士の試験にも受かり、幸せいっぱいの二人だった。しかし、スジンはある時から、物忘れがひどくなり、自分の家への道順すら忘れてしまうようになった。病院で、スジンは若年性アルツハイマー症だと診断される・・・。

 

有名な作品ですが、これ原作日本なんですね・・・!

 男側がかなりキッツイと思うのですが、やはり名作って悲劇から生まれるものなのかな・・・。もしもこの物語の続きでチョルスに出会う女がいたら、その人は深淵を覗かざるを得なくなると思う。

 

孤独な男と、許す女

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 ファミマで出会っちゃう二人なんですが、出会い方が絶対感じ悪いのに恋愛に発展するのが面白いですね。

 

 ヒロイン・スジンは不倫相手に裏切られて泣きさらしてたのでめちゃくちゃ態度悪いです。どれくらい悪いかっていうと、男が持ってた缶コーラふんだくってその場で一気飲みしてゲップするくらいです。

 

 まあとりあえず紆余曲折合って付き合う事になりました。←

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 しかし結婚となると絶対に嫌なチョルス

 建設会社の社長令嬢のスジンは、恋愛→結婚というのが当たり前だし、親も心配してるし、自分の気持ちもそうだけど家族のことも考えているのですが、チョルスの生い立ちは悲しかった。

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 しかしスジンの説得もあり、チョルスは刑務所にいる母親に会いに行く。だが、母親からの言葉はさらにチョルスを傷付けただけだった。

 

 孤独が当たり前になっていたチョルスを愛してしまったスジンは何度も泣いたし何度もチョルスにはねのけられる。でも、スジンは諦めなかった。その頑なな愛にチョルスも心を許していったのだった。

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あなたは大事な心の家をそんなに憎んでるお母さんに渡して

家の外でブルブル震えているわ

 

 スジンはチョルスに許す方法を教えた。それはスジンが家族から教えてもらったことだったのだ。

 

 愛されて育った令嬢と愛されずに育った孤独な労働者。

 二人は全く違う育ち方をしたのだけど、違うからこそ分け合えるものがあるのですよね。お前に俺の気持ちが分かるか?と言ったらスジンには分からないと思うのだけど、分からないから見えるものがあって、分かっちゃったら出口を見つけようともしないかもしれない。

 永遠に家の外で震える自分を自分では救えないから。

 

 しかしスジンの病気は進行していた。

 チョルスとこれから幸せな新婚生活が待っているはずだった。永遠に続くはずだったそれは、ものすごく遠い場所に変わってしまったのだ。

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 自分の症状を知ったスジンは別れを告げる。幸せなときに別れて幸せな記憶だけで生きていきたかったのでしょう。例え全てを忘れてしまうとしても。

 

 スジンの家族は娘と別れるようにチョルスに告げる。もちろんチョルスは別れる気はない。しかし、日に日に記憶を失くし、過去と現在の記憶が無茶苦茶になっていくスジンに対して、チョルスの愛が消えるのではなく、スジンがほんとうに自分を愛していたのか分からなくなっていく。

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 許すことを教えてくれたスジン。そのスジンが記憶を無くしていき、自分を忘れていく。それはとても辛いけど、許すことを知ったチョルスは悩み、苦しみながらもスジンを愛していくのだった。

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 スジンは記憶が戻っている短い時間に、チョルスに手紙を書く。この手紙が号泣ものです。もうね、愛を知らない男と献身的な女という時点で泣かせにかかってるのは分かってる・・・・でも泣かずにはいられない。涙が止まらない。

私の頭の中の消しゴム (字幕版)
 

  愛を知らない男がやっと愛を掴んだと思ったら、その人は自分のことを忘れてしまうなんて、悲しすぎる。

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 でもそれが悲しいことなのか、幸せなことなのかはチョルスにしか分からない。