≪内容≫
1960年代のアメリカ。両親の離婚にショックを受けた16歳のフランク・アバグネイルJr.は単身ニューヨークへ。やがて、お金に困った彼はその天才的な頭脳とチャーミングな魅力で巧みにパイロットになりすまし、偽造小切手を用い全米各地で豪遊する。ところが、FBIの敏腕捜査官カール・ハンラティが犯人逮捕に乗りだし、世界を股にかけた2人の長い“追いかけっこ"が始まった!
いや、無意識に怖いって意識しとるやん、って感じなんですけど、意識は後からついてきて、逃げてる瞬間瞬間って無意識というか本能なんだろなぁ・・・と思いながら見てました。
愛に気付けない孤独
有名な作品なので、見たことない人も「あ~詐欺師の逃亡劇ね」くらいの知識はあるんじゃないでしょうか。全く知らなくてもタイトルが物語ってるので、まあそんなお話です。
んで、主人公のフランクは小切手詐欺を働いていて、偽小切手を換金してたんですね。まあその小切手を作れちゃうという器用さももちろんだけど、フランクはまぁ人を褒める。
しかもそれが徹底してるのです。
これ、モテたい人とか、好かれたい人はめちゃくちゃ参考になるんじゃないですかね。
キザったらしい!とも思うのですが、褒められて嫌な人っていないですよね。何こいつ?って98%思っても2%くらいは嬉しくないですか?
それだったら100%業務対応の無関心より印象に残りますよね。
しかもそれでいて人を支配しようっていう高圧的なところがない。
誰かを支配するために、都合よく動かすために、相手の懐に入るっていうのは、相手が奴隷になる可能性、罪を着せられる可能性、傷付く可能性、立ち直れなくなる可能性が考えられるのですが、フランクの憎めないところは、嘘をつく理由が自分を多めに見てほしいという一点だけだからじゃないかなぁ、と思います。
ついには、女だけでなく義父さんまで感動させちゃうフランク。
たぶん、嘘は嘘なんですけど、半分以上は相手を喜ばせたいっていうサービス精神の賜物なんだと思います。クリスマス・イヴには寂しくなっちゃって、自分を追いかけてる刑事に電話かけちゃう。
人を愛しても、その分愛される実感がないフランク。思えば、彼が小切手詐欺を始めたのもさみしさからでした。
フランクが幼いとき、父の仕事が上手くいかなくなり、家は売却。
母親は泣きながら家を後にします。フランクは仲の良い両親が大好きでしたが、二人は後に離婚してしまいます。
フランクにとって両親の離婚はとてつもなく怖いものでした。
彼はお金さえあれば、以前と同じ高級車と家が買い戻せれば、また二人は元に戻れると思っていたのです。
おそらく、この映画の中のフランクはそういった現実から逃げたかったんだと思います。そういう意味の「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」でもあるのではないでしょうか。
小切手詐欺はただの逃走のための手軽な手段なだけで、本当にお金が欲しかったわけではない。
刑事はフランクを捕まえたが、フランクが大胆不敵にまたもパイロットと詐称してどこかに行こうとしても追いかけようとはしなかった。
このフランクの逃亡は「ティファニーで朝食を」のホリー・ゴライトリーを思い出すなぁ。
たぶんこのままフランクが刑事の言葉を聞かずに旅立ってたら、ホリーと同じようにポストカードを送るかもしくは電話かけてくると思います。
落ち着いてしまうことへの恐怖って分かるんだよなぁ。