
≪内容≫
泣き虫の殺し屋。若き映像作家リュック・ベッソンが、鮮烈に描いた“過激な純愛映画”。女殺し屋・ニキータの過酷な日々と愛を描いた、スタイリッシュでパワフルな女性アクション!政府の秘密工作員に仕立てられた不良少女、ニキータ。次々と下される暗殺指令を着実にこなしていく日々の中、ニキータに初めての恋が芽生えるが・・
レオン好きなら見ちゃうよね!!あとなぜか「ニキータ」っていう言葉に聞き覚えがあったんですが、これそんなに話題になってましたっけ・・・?
とりあえず、ニキータが草薙素子にクリソツなのと、『マイフェアレディ』のやくざ版みたいなところが殺し屋映画にしてはとっつきやすい。
誰も彼女の本当の名前を知らない
本作の主人公ニキータは、ヤク中の仲間たちとともに強盗に入り、そこで仲間たちは全員死亡。ニキータはラリっていたので話しかけてきた警察を持っていた銃で撃ち殺してしまう。
ニキータは裁判で無期懲役を言い渡されるが、納得が出来ず暴れたため薬物による死刑執行がなされた。
が、彼女は目覚めた。
しかし、恐らく死亡届が出され葬式も終了しており、彼女はこの世には存在しないこととなっていた。
政府のために働いているというこの男ボブは、ニキータの命を拾い彼女を殺し屋へ仕立て上げていく。
不良娘だったニキータは、ボブの下で一般知識や教養、女性の身だしなみ、護身術などを身につけ、殺し屋になるための最初の殺しを成功させ、無事試験に合格。晴れて彼女は外へ出れることとなった。
ニキータの表舞台での名称は「マリー」
殺し屋としてのコードネームは「ジョゼフィーヌ」となった。
ニキータは外に出ると早速男を誘います。
はい!こいつがマルコです!
■マルコ
職業:スーパーの新米レジ打ち
性格:内気
趣味:船の設計
ニキータ超肉食系じゃねえか!そうか、そうやって出会いって作るのか・・・などと最初は純粋に見ていました。
ニキータとマルコは愛し合う。
無期懲役となったニキータに面会にさえ来てくれなかった家族、死んでしまった不良友達、そして今は戸籍も失い天涯孤独となったニキータはマルコを愛し、愛されることで、自分がしている殺しに疑問を感じ始める。
しかし自分が殺し屋であることはマルコにはもちろん秘密なので、泣き虫なのに泣ける場所がなかったニキータはついに仕事の最中に感情が崩壊してしまう。任務を失敗したニキータはマルコと別れ逃亡の道を選ぶのだった。
で、この映画ラストが謎なのです。
というのも、マルコがニキータの正体を知っていると独白するシーンから「あれ・・・おかしいぞ・・・?」と思えてくるのです。
ニキータの逃亡前夜、マルコは落ち込むニキータを抱きよせ、ニキータが隠してきた全てを自分は知っていると告白します。
まあ二人はずっと同棲していたし、ニキータの不審な行動や、彼女が質問をタブーにしていたことなどから、マルコが彼女を怪しんで独自に調査考察した結果、真実に辿りついた・・・というのもなくはないと思うのですが、もう一度マルコとニキータのシーンを思い起こしてみると不思議な点があるのです。
怪しい点①最初の出会いのシーン。
レジの機械の不調をニキータに言うただの店員であるマルコ。でも彼女が来る前はヒマそーにそっぽ向いてたんですよねぇ。たぶん、これ壊れてないんじゃないかなぁ。ニキータに話しかけて、更に自分がまだ初心者であると告白することで、彼女に親近感を持ってもらうことが重要だったんじゃないでしょうか。
それで後々距離を縮めていく・・・という予定がニキータの肉食っぷりでその日のうちにやっちゃった・・・という展開に。
怪しい点②ニキータの交遊関係に苦言。
付き合って半年経つと、マルコはニキータになぜ友達や家族や兄弟、誰ひとりも食事会に呼ばないのか?と尋ねる。
しかし、次のシーンの食事会はニキータとマルコとボブの三人っきり。
怪しい点③ニキータ暗殺中に話しかける。
その前にボブが旅行券をくれた時点でまったく不審がらない二人が心配になりましたが、とりあえず旅先で案件あるから行ってこいやって感じだったので、ニキータは部屋につくなり浴室に準備されていた銃で人を殺すことになります。
ニキータはシャワーを浴びる、と嘘をつき浴室に立てこもるのですが、マルコはその扉に向かって話しかけ続ける。
怪しい点④作戦の最後の夜に質問してくる。
この質問自体は全然怪しくないのだけど、怪しいのはニキータが「今日で終わり」と答えたあとのマルコの反応である。まるで「合格」といわんばかりの満足げな顔で納得する。
怪しい点⑤察しが良すぎる。
逃亡前夜もニキータは自分から自らのことは口にしていませんし泣き言もマルコには言っていません。なのに、ニキータの「あなたが救ってくれた」という言葉から「逃亡」へ繋げるのは一般人には無理回路だと思う。
怪しい点⑥なぜお前がマイクロフィルムをw
完全に黒じゃねーか!というラスト。おそらくニキータから預かったのではなく、マルコが勝手にニキータの持ち物から抜き去っていたのだと思います。
だって、ニキータはマルコが「俺も連れてって (ノω・、) 」って言った時、「あなたを巻き込みたくない」と言ってるのですから。
以上6点からマルコはニキータの監視役だったと私は思います。
度重なる彼女への苦言や質問は、彼女がきちんと素性を隠すかどうか試していたのであり、バスルームでの一件はニキータが殺しより愛を取るかどうか揺さぶりをかけて試していたのだと思います。
最後、ニキータが逃亡したあとにやってきたボブをマルコは家に入れるのですが、普通に考えてマルコが一般人だったら、色んな事情を知ってしまった人間は抹殺されるのだと考えて脅えるものじゃないでしょうか?
マルコはボブと対面し、ニキータがボブに宛てた手紙は捨てたという。
その直後のボブの笑み・・・と思いきや、たぶんこの笑みはマルコの煙草によって引き出されたものじゃないかなぁ、と思うのです。
マルコはボブに「彼女を守ってくれ」と伝える。
だけど、殺し屋の世界で逃亡した人間を野放しにすると思いますか?普通に考えて彼女が戸籍を抹殺されていたとしても、誰かに今までの出来事を話せばもみ消せても面倒にはなるわけです。
つまり、どう足掻いてもニキータは死ぬ運命にあります。
作中でずっと吸わなかった煙草をマルコが吸った意味。
それはニキータへの弔いのため、だったのだと私は思います。海外の人?って煙草を吸って、火が着いたままの煙草をお墓に置いたりしません?線香の煙と煙草の煙をかけてるのかなぁと思うのですがどうでしょう?
ボブの笑みとその後の「お互い寂しくなるな」は、お互い話している言葉とは裏腹に心の中で思っていることは同じなのだという意味なのだと思います。
さて、作中もそうですが、設定からしてそうなのか、彼女の本当の名前は誰も知りません。三つも名前が付けられるのにね。そう考えると、この映画ものすっごい鬱映画にもなり得るな・・・と思うのでした。