≪内容≫
シチリアの小さな村にある森のはずれで、13歳の少年ジュゼッペが突然、姿を消した。思いを寄せていた同級生のルナは、謎だらけの失踪を受け入れられず、なぜか周囲の大人たちが口をつぐむなか、懸命に彼の行方と失踪事件の真相を追う。そして、不思議な湖にある入り口から、彼を飲み込んでしまった闇の世界へと下ってゆく。彼女をこの世界に戻せるのは、二人の不滅の愛だけ―。美しいシチリアの自然の風景とともに描かれる、人間の残酷さ、純粋な心の強さ。1993年にシチリアで起きた凄惨な事件が紡ぐ、美しくも切ない幻想的な恋物語が誕生した。
きっかけは、私の大好きな桜庭一樹さんがこの映画のコラムを書いているのを発見したことからでした。
この中の最後に書かれている
フィクションは、ジャーナリズムとは違う形で、現実の悲劇とこんなふうにコミットできたのか。そんな驚きとともに観終わりました。
という一文で、ものすごく興味をそそられました。
中学生のときみた「ロード・オブ・ザ・リング」以来、久しぶりにパンフレット買いました。
この映画、私の大好きな監督ギレルモ・デルトロが作った私の大好きな作品「パンズ・ラビリンス」を彷彿させる作品との声もあり、もう絶対に見なければならない作品と強く感じました。
雰囲気は似ていますが、本作は12歳の少年少女ということもあり、もっと現実感が強いです。
監督は、この実際に起きた事件が忘れられず、また忘れてはならない出来事として、映画に昇華しました。現地・シチリアでは長期間にわたって上映されているようで、監督と同じ年代の方たちは、この事件が語り継がれるべきだと考えているようです。
マフィアによるジュゼッペの監禁は779日間にも及んだ。
彼の父親はマフィアの一員で警察に捕まってから仲間の告発をしていた。その告発を止めるため、衝動的に誘拐されたジュゼッペだった。
ジュゼッペを愛していた少女・ルナは彼の失踪に疑問を持ち、先生や親や、警察、街の人たちに訴えるが、大人達はみな目を逸らす。
大人たちには彼の捕まった父親がマフィアで、だから彼が誘拐されたのだと気づいていたし、触れなかったのだ。被害が自分に及ぶのを恐れて。
この映画、個人的にものすごく私の深い部分にコミットしてきました。
桜庭さんの言うとおり、現実に起きた事件とこうやって一人一人が向き合うことができるということ。亡くなってしまった命に対して、どれだけ時間が経とうが触れることができるということ。フィクションである意味。そういう色んなことが頭を巡りました。
都内だと新宿シネマカリテしかやってなくて、2/1までですが、場所によってはこれから公開されるところもあるので、ぜひ気になった方は見てほしいです。
これDVD出たら買うだろうなぁ。本当に悲しくて、そして美しい映画だった。