≪内容≫
“ホラー映画界の若き帝王”イーライ・ロスが製作を務めたホラー。息子の誕生日にクラウンの衣装を着て祝った父・ケント。ところが、なぜか衣装が脱げなくなってしまう。ケントは次第に衣装が肌の一部になり、自分が変わり始めていることに気付き…。
久しぶりに正統派ホラーを見た気がする。最近は「アクションホラー」とか「コメディホラー」とか、恐怖+何かがついていたのでそこまで恐くなかったけどね・・・これは怖いです!!!要注意!
子供のとき観てたら完璧なトラウマとなっていたであろう・・・。
半端ない救われなさ
愛する一人息子・ジャックの誕生日パーティーに依頼していた大目玉であるピエロが当日キャンセルとなってしまったため、急遽ピエロの変装してパーティーに現れた父親のケント。
彼は不動産の営業をしており、家主が死亡し売りとなった家にあったピエロの衣装をラッキー感覚で着たのだが、なんとこの衣装とカツラと赤い鼻が何をしても取れなくなってしまうのだ。
ケントの身体は日に日に変化していった。悪臭を放ち、咳をすれば喉からなにかがせり上がり、不快な音とともに茶色の汚物を吐きだし、吐瀉物の中には歯が何本か入っていた。
不審に思ったケントは衣装があった家の親族に電話をかけた。そして家主の弟からピエロの起源を知らされるのだった。
なんと、ピエロとはそもそも山奥に住んでいて冬を越すために子供を洞窟に誘いこみ、毎月1人食べて冬の間の5か月を過ごしていたというのだ。
脱げなくなった衣装は今やケントの肌に張り付き、カツラは地毛と化している。今までの人間の食事では腹が減ってたまらないケント。しかも子どもたちはピエロ姿の彼を見ると喜んで無邪気に話しかけてくる。
元はと言えば、自分に似て内気でいじめられっ子な息子を喜ばせたくて、せめて彼の誕生日だけは彼が主役として楽しめるように、悲しい思いをしなくてすむように道化となったはずなのに、ジャックは突然父親がいなくなり、ピエロ姿を友達に笑われ、お前もピエロにしてやる、と顔にボンドを擦りつけられそうになるなど、誕生日パーティーの後は悲しい日々の連続であった。
カントは衣装に自我を支配されそうになりながらも、息子の涙の理由を聞き出し、息子が泣かないで済むために、自分ができる唯一のことをするのであった。
今まで見てきたホラーものって大体は悪を倒せるか、そうでなくとも災いに打ち勝つストーリーだったので、この展開が与える恐怖は「仄暗い水の底から」以来。何が怖いって日常にこういう落とし穴があって、それを踏むのに何の因果関係もないこと。マジ怖い。