深夜図書

書評と映画評が主な雑記ブログ。不定期に23:30更新しています。独断と偏見、ネタバレ必至ですので、お気をつけ下さいまし。なお、ブログ内の人物名は敬称略となっております。

【映画】CUB/カブ -戦慄のサマーキャンプ-~考察・ここで起きた惨殺事件は果たして現実なのか?~

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≪内容≫

 シッチェス映画祭受賞の新感覚ホラー!カブスカウトのチームに所属する少年サムは、キャンプに向かった森に何か異様な空気を嗅ぎ取る。その内にメンバーの周りで不可解な出来事が起き始め、木の仮面を被った少年の出現を機にキャンプは、予想だにしない恐ろしい現場へと変貌をとげる。

 

 これベルギー映画なんですよ。なんか雰囲気が米英仏・北欧系じゃないな~と思って調べたらベルギー!チョコワッフルかヒエロニムス・ボス等のグロかわいい芸術しかイメージがなかった。わっふるわっふる。

 

新感覚ホラーの考察

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  本作はボーイスカウトのカブ隊が、いわく付きの森の中でキャンプをするが、そこで怪事件の犯人であるとされている狼人間・カイの張った罠に引っ掛かり、楽しいキャンプが凄惨なスプラッター現場になる、というお話である。

 

 主人公は右はじの緑の帽子をかぶっている少年・サム。彼は両親に虐待されていたらしくある女性養子となっていた。その女性がサムに虐待によるトラウマを感じカブ隊に入れてほしいと言ってきたのだ。そして「息子から目を離すな」とも。

 

 サムは早々にカイの存在に気付き、子どもたちや大人に告げるけれども嘘付きと非難されてしまう。しかし夜になると、カイが実際に現れカブ隊に襲いかかるのだった。

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 見づらいけれど、前を歩くカイと懐中電灯を持ってついていくサム。

 

 割と早々に隊長が言った怪事件と狼人間・カイの話が作りものでサム=カイであることに気付くのは、やはりサム役の子の演技が上手だったからかな?だってさ、サムにしか見えないのはおかしいし、そんな事件があった場所にボーイスカウトが行くことはあり得ない。

 

 たぶん多重人格的なものでサムの内なる一人としてカイなる存在がいたのだろうけれど、隊長の作り話を聞くまではその人格に名前や具体的な特性はついていなかったのだろうと思われる。

 おそらく隊長の作ったカイという名前と狼人間という設定が、サムの中にあった人格の血肉となったのだろう。

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  特にこのシーンは象徴的だな~と思って見てました。

 サムをいじめる副隊長はカイの罠に引っ掛かり、大木の下敷きになってしまう。カブ隊唯一の女性・ヤスミンを探していたサムは副隊長の助けに応じて木を持ち上げようとするが、持ち上げると更なる罠が作動し十字型になるようにもう一つ大木が落ちてくる仕様になっていた。

 これは、世間の目のためや良心ゆえに助けたい表人格・サムと憎き相手を亡きものにしたいという裏人格・カイの二人で一つの行動に見える。

 

 ちなみに副隊長はヤスミンと出来てて、二人がキャンプ場でいちゃつくのをサムは目撃する。サムの存在に気付いた副隊長は怒り、サムを詰り、胸ぐらを掴みあげた。

 この一連の三人の役割はそのまま虐待されていた当時のサムの両親とサムに当てはまる気がする。恐らく繼父と実母なのではなかろうか。

 だからこそヤスミンを助けに奔走するサムと彼女を滅多切りにするカイ(サム)が同時に存在するのだ。

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  そしてこの無敵の男

 カイを駒のように扱っていた男で、サムかヤスミンかどちらかしか生き残れない、生き残りたいならヤスミンを殺せとサムにナイフを渡してくる。

 んで、サムとカイの対決もあるのですが、これはたぶん選ばれたい意識なんじゃないかなぁと思います。

 サムが持っていた写真には顔が潰された少年と母の腕に抱かれている赤子とライフルを持つ父が映っていました。おそらく少年はサムで、もしかしたら親は赤子だけを自分たちの子供として選び、サムを養子として出したのかも知れません。

 

 選ばれる存在の影には選ばれず死んでいく者がいるという意識が、選ばれるためには選択肢を抹消するという答えを導き出したのかな。ライフルを持つ父は、圧倒的な強さを持ち逆らえない存在=無敵の男として登場。

  じゃあ森の細工とかはどう説明する?こんな子供ができるかいな、と思うのですがサムは冒頭から遅刻だし、単独行動も多く、遅れて登場がすこぶる多いのでもしかしたら夜な夜な家を抜け出して、自分の存在を確かめていたのかしれない。その名前のない行動にCUB隊が名前をつけたことからそれは"在る"ものとして我々の日常に現れた・・・と私は読む。

 そう考えるとかなりリアルなホラーだった・・・。