≪内容≫
内戦時代のスペインで、痛覚を持たない子供たちが次々と生まれた。彼らの存在を危険だと判断した政府は、子供たちをフランスとの国境近くの施設に隔離した…。現在のスペイン。骨髄移植が必要になった優秀な医師デヴィッドは、自分が養子であることを知らされ、実の両親の居場所を探し始める。やがてデヴィッドは、これまで国が隠していた隔離施設の真相、その施設でモンスターと化した少年の存在を知ることになる…。
スペインの内戦と言ったらこれなのだけど
やっぱり独特な世界観があって、スペイン映画好きなんだよなぁ。たぶんエグイことをそのままエグく描くんじゃなくて美しく描いてるんだよな。その美学が好き。
痛覚と愛情は別モノ
ほらね、冒頭からこんなマジック仕掛けてくるからほんとスペインってほんと。
さて、1931年のスペインのある村では痛みを感じない子供が多数いた。子供たちは生まれつき痛みを感じないわけだから他の子供たちも自分と同じだと思いこむ。しかし普通の子供は普通に痛い。だから彼らは死なないけれど他の子供は死んでしまう。さらに彼らも死なないし痛くはないけど肉体は通常の人間と同じように壊死する。ここら辺は「LOVELESS」のゼロシリーズと同じですね。
ちなみにこの漫画で痛みを感じない子供が痛みを知っていたら目を背けるような拷問を仕掛けたとき、相手が言う「これはルール違反だ、勝ち方には美学が必要だ」というシーン(ちなみに三巻)は作者の美学が溢れてて大好きです!単純に勝てばいいってもんじゃなく、そこに美を求めるのがゼロサム!って感じです。
んで、その子供たちは彼らにとっても他の子供たちにとっても野放しはよくないということで隔離される。彼らは病棟で痛みについて学び成長していたが、外の世界で起きている戦争は日に日に悪化を辿り、ついに彼らの病棟は占領されてしまうのだった。
子供たちの中でも特別だったのがこの少年だった。痛みは感じないが人一倍愛を欲しがっていたし、愛したいと願う心を持っていた。
しかしその強すぎる愛は、時に自分や仲間を傷つけるものに容赦なく牙を突き立てた。危険人物としてただ一人隔離された少年は奇しくもこの病棟で唯一の生き残りとなった。
時は流れ世界情勢も落ち着きを取り戻した2000年。一人の男が白血病を発症し肉親に骨髄移植を頼む。彼には兄弟がいなかった。しかし両親はその願いをあっけなく却下する。そこには、絶しがたい凶悪な過去と知らない方が幸せな事実が存在していたのだった。
痛みを感じないからといって殴る看護師に対して痛みはなくても怒りは生まれるし憎しみはダイレクトに伝わってくる。痛覚がないこと=愛を受ける資格がないわけではないのに、求めても得られない愛情。悲しくて切ないんだけど猛烈に美しいのが特徴的です。最後のシーンは壮絶。心に焼きつく名シーンだと思う。