深夜図書

書評と映画評が主な雑記ブログ。不定期に23:30更新しています。独断と偏見、ネタバレ必至ですので、お気をつけ下さいまし。なお、ブログ内の人物名は敬称略となっております。

【映画】シンドラーのリスト~この世界にはユダヤ人か、それ以外か~

f:id:xxxaki:20190525133923j:plain

≪内容≫

 一つの生命を救う者が世界を救える―。
第二次世界大戦中、1,200人を超えるユダヤ人の命を救ったドイツ人実業家オスカー・シンドラーの姿を描いた感動のヒューマン・ドラマ! 
スピルバーグ監督が、10年越しの企画を実現し作品賞他7部門で初のアカデミー賞?に輝いた最高傑作! 

 

 フィギュアのリプニツカヤ兄貴の演目で知って、そのときはあの赤い服の意味が分からなかったけれどこの映画観てやっと分かったし、あの演目になぜ惹かれたのか分かった気がする・・・。3時間超えだけど、全然辛くない展開とドラマチックな部分はさすがアメリカという感じ。

 

ユダヤ人かその他か

f:id:xxxaki:20190531231959p:plain

  ナチスとかヒトラーとかホロコーストとか知らない人はいないし、なんなら学生生活のどこかで戦争の授業を受け、そこでライフ・イズ・ビューティフルとか見ませんでしたか。

 この映画は戦争に興じて一儲けしようとやってきたシンドラー低賃金で雇えるユダヤ人に目をつけ、最初は商売道具としてしか見なかったのに戦況が悪化するにつれて従業員だけでも助けてやりたいと思うようになり、持ち前の社交性と賄賂でユダヤ人を買い取るまでに至る話である。

 

 シンドラーは正義漢というより「稼げるのは戦争中の今だ!よしお前を雇おう!やってくれよな!」みたいな結構調子のイイヤツである。しかも悪気なしにSSの隊長に説教したりするタフさも持ち合わせていて、要するに宣教師ではないが悪いヤツではないのである。ナイチンゲールのような潔癖さはないが、だからこそ観る側は親近感を持てるかもしれない。

f:id:xxxaki:20190531233026p:plain

 全編モノクロの中でただ一人赤い服を着て登場する少女がいる。シンドラーは丘の上からその少女を発見するが、少女の周りの人間はだれ一人彼女に注意を払っていない。

 「もしや未来からやってきた少女か?」と思ったが、彼女あっさりと殺されてしまう。

 つまり、もう赤い服着てようが偉人だろうがなんだろーが関係ない世界なわけです。この世界の正義と悪、白と黒、表と裏はユダヤ人かそれ以外かで成り立ってるという象徴かな、と思います。

 

 こういうの見たり教科書に書いてあるの見たりして、ユダヤ人ってなんなんだよ!って思う人はたくさんいると思うのですが、私的にものっそ納得したのがこの本で

 

 反ユダヤ主義 - Wikipedia

  このwikiにも書かれてるけれど、とにかくユダヤ=選民思想=自分らは特別=ウザ!みたいな認識があるけど、それには理由があるんよ、っていうのがこの本には書いてありました。このwikiマジで一日じゃ読み切れないくらいのボリュームで、でもこれ見るとずーーっと昔から「人」扱いされてないんですよねユダヤ人。だからドイツがどーのーじゃなくてあそこら辺の国全体の負の遺産だと思います。その歴史が粛清された地がドイツであって、耕したのはドイツだけじゃないわけです。

f:id:xxxaki:20190531234520p:plain

 逆になぜ絶滅しなかった・・・?って不思議になるくらい定期的に虐殺されていた歴史がwikiに書いてあったんですが、ユダヤ人は人ではないという国是の中でそれを信じながらも恋しちゃうSSがいるように、ただの安くて頭のいい労働力としか見ていなかったシンドラーがお金ぜーんぶ使ってしまうように、その時代の中で「おかしくね?」って思って動いた人がいたんだろうな、と思います。

  白人主人が黒人奴隷に恋しちゃったりさ、どれだけ国が法や時代を作っても人を好きになるていう個人的な感情は生まれちゃうんだろうなぁ。

 でもどっちも好きになった自分を認められなくて相手をいたぶってしまうの。人を好きになるってすごく素敵な感情を世間という大きなシステムがぶっ潰す。

  分かり合えないのは民族が同じでもあることで、だからこそ民族が違っても惹かれたり愛してしまうこともある。何がいけないとか悪いってのは画一化できないけれど、人を好きになるっていうのは絶対に素敵なことだよ。