深夜図書

書評と映画評が主な雑記ブログ。不定期に23:30更新しています。独断と偏見、ネタバレ必至ですので、お気をつけ下さいまし。なお、ブログ内の人物名は敬称略となっております。

【映画】Sommersby~他人になることでしか敷かれたレールから降りられない時代~

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≪内容≫

戦地から戻った夫が別人と判った時、妻は初めて真実の愛を知った。
1890年代後半のアメリカ南部。戦争のために村を出た夫ジャック・サマースビーが、6年振りに帰ってきた。戦死したと思っていた男の帰還は、妻をはじめ、村人たちに動揺を引き起こす。しかも、彼はかつての粗野で残忍な性格を潜め、まるで別人のように振る舞う。そんな彼が昔の殺人の罪で逮捕される。法廷でサマースビーの妻は「夫ではない」と証言する…果たして、彼は誰なのか。
リチャード・ギア、ジョディ・フォスター共演。衝撃のクライマックスが感動を呼ぶ、ミステリアス・ラブ・ストーリー。

 

人が死ぬことって必ずしもBADENDではないのだと理解できるのは大人になった一つの利点だと思っています。そう考えるとさ、これもBADENDではないのかもしれない。

仄暗い水の底から

仄暗い水の底から

 

 でも怖かったトラウマが強烈すぎて再見する気になれない・・・。

 

夫を名乗る謎の男

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  農場経営者の夫が南北戦争から帰ってきた。すでに6年の歳月が流れていた。妻のローレル冷淡な夫は戦死したものと見なし、農場で働くオーリンと再婚する約束をしていたが、そんな矢先に夫が奇跡の生還を遂げた。

 それだけでも戸惑いを隠せなかったが、帰ってきた夫は別人のようにやさしく自分の農場の利益だけを追求するのではなく村人全員が裕福になれるように煙草の栽培をしようと持ちかける。

 

 以前のジャックと180度違う態度に疑問を感じながらも生活が豊かになったこととやさしさに触れたことで村人は特に気にすることはなかったが、ローレルとの約束を突然破棄されたオーリンだけはジャックが別人だと見抜き、ローレルに忠告する。 

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  しかしローレルはそんなことは分かりきっていて愛していたのでした。ですが、ジャックに対して殺人の罪で裁判所から通告が来ると、ローレルはジャックを守るために彼が偽物であることを告白するのです。

 

 だが、もしジャックが偽物なら村人たちと交わした契約書は無効になり、村人たちの生活はまた貧しいものとなるかもしれない。ジャックの命を救いたいローレルと、ジャックがジャックであることを望む村人と、ジャックであると言い張るジャックによって裁判は混乱を極める。

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  本当の出生名で生きるくらいならジャックとして死にたいと願う夫は、そのまま罪を着せられ処刑される。ローレルと村人に見守られながら・・・。

 

 この謎の男の出生は細かく書かれていませんが、恐らく孤独だったのではないかなと思うのです。それにローレルは農場経営者の妻ですから、身分も高く本物のジャック自身も金持ちでした。

 アメリカ文学ではグレート・ギャツビーをはじめ、貧しい出生を拒否し別の人間に変わるスタイルが多いらしいのですが、本作のジャック(本名・ホレス)もまたやさしい心を持ちながら家に恵まれず燻っていた一人なのかもしれません。

グレート・ギャツビー (新潮文庫)

グレート・ギャツビー (新潮文庫)

 

生きてるだけで丸儲けというのはある意味今の平均値が上がった時代だから納得のいく見解でこの時代は悪人の子は悪人の道、貧乏は貧乏、金持ちは金持ち・・・と言う風に決して個人としては生きられず歴史から逃れられない時代だったのかな、と思いました。

  自分の処刑シーンに立ち会って欲しいというのは、悲しいけれど冷血を思い出した・・・。

 

冷血↓

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逃れられない血の系譜↓

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