≪内容≫
“不機嫌じいさん”の孤独な人生を笑いを交えて描いたヒューマンドラマ。43年間、鉄道局職員としての仕事を全うしてきたオーヴェは、突如クビを宣告される。家に帰ると今は亡き妻の面影が脳裏をよぎり、孤独に耐え切れなくなった彼は自殺を図るが…。
スウェーデンで国民の5人に1人が見た、史上3位の記録的大ヒット映画!
という文句は間違いなかった。これ観てほしい。ほんっとに面白いからw
正しさとやさしさ
住んでる地区の治安を守るため毎朝パトロールとルール違反をする住民やよそ者へ何度もあきらめず忠告する主人公・オーヴェ。愛する妻と二人で暮らしていたが、訳あって子供はおらず半年前に妻は他界していた。唯一の友人は会長であるルネだったが、彼は口がきけなくなっており要介護の認定を受けていた。
端から見ると孤独なオーヴェ。妻の後を追って自殺を図るが、引っ越してきた陽気なイラン人女性パルヴァネの頼みを聞いている内に教師であった妻の教え子がやってきたり、パルヴァネの娘たちの面倒を見ることになったり、野良ネコを飼うことになったりとどんどん人が集まるようになってしまった。
自殺しようとライフルを口にくわえて準備万端!なところに教え子が友達を引き連れて家に泊めてくれ!とやってくる。オーヴェもきょとんとするが、こんな格好にライフルを持った爺さんが出てくるもんだから教え子たちも若干引き気味で笑える。
やってることは正しいけれど言い方がキツイし高圧的なために、人からの協力を得られず自ら開拓してきた人生だったオーヴェ。対して自国から飛び出し他国で生きなければならなかったイラン人のパルヴァネはそのルーツゆえに人に頼らざるを得なかった。
人に頼らずにやってこれたのは自国だからと理解しているオーヴェはそんなパルヴァネに少しずつ心を開いて行く。
そして人の力に頼ることを身につけていくのであった。
オーヴェにとってルールに反する人間は行政の人間だろうが知ったこっちゃない。人は皆平等なのだ。そういう精神だからこそオーヴェはルールには厳しいが移民やLGBTを特別扱いしたりしない。
だが世の中というのは大半の人が事なかれ主義でグレーゾーンで生きているため、そこを利用するのが上手い人間が甘い蜜を啜る・・・というのはよくあることだろう。言ったもん勝ち、やったもん勝ち、みたいなね。
オーヴェは一番痛いところを突かれながらもルールを守る、という点から引き下がることはしない。しかし、それ以上のことを望むとなると1人の力では限界だった。ルールを守る・守らないでは生きていけないことを体感しているパルヴァネはそんなオーヴェに苦言を呈する。
しかし、変化したオーヴェは怒ることなく冷静にどうすれば旧友・ルネを助けられるのか知恵を絞り、協力者を見つけ出すのだった。
オーヴェの意志を継ぐのがオーヴェを「おじいちゃん」と呼んでなついていたパルヴァネの娘というのが血と国を超えた繋がりで最高のENDだと思う。