深夜図書

書評と映画評が主な雑記ブログ。不定期に23:30更新しています。独断と偏見、ネタバレ必至ですので、お気をつけ下さいまし。なお、ブログ内の人物名は敬称略となっております。

【映画】サンタクロースになった少年~渡すものは形あるものだけど、その中身は心に他ならない~

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≪内容≫

サンタクロースはなぜサンタクロースになったのか。その少年時代が解き明かす、悲しくも心温まるサンタクロース誕生秘話。ラップランドの寒村。事故で両親と妹を失った幼いニコラスは、村人たちが1年交代で世話をすることになる。毎年クリスマスは、ニコラスが新しい家族の元へ移る日。彼はイブの晩、世話になった家の子供たちに手作りの玩具を置いておくのが習慣となった…。

 

フィンランドが続きます。このお話はサンタクロースがどうやって生まれたのか、というお話なんですが、これ観てやっぱりファンタジーっていうのは夢があるなーと思いましたね。人のドロドロしたものも好きだけど、こういう善人しかない世界も信じたい。

 

素適なアイデアが世界中を包み込む

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 ラップランドの寒村はこういう場所です。主人公のニコライは両親と小さな妹と4人で暮らしていました。ある冬の日、妹が熱を出してしまったので両親は妹を連れてお医者さんに行くことにしました。一人留守番をするニコライに"妹へのクリスマスプレゼントを作っておいてね"と言って。

 ニコライは家族の帰りを待ちながら木彫りの人形を作っていました。しかし家の戸を叩いたのは家族の死を知らせる人だったのだ。

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  寒村は貧しく、村人はニコライを一年間ずつ預かろうと決めました。なのでニコライは各家を転々とすることとなったのです。しかしある年は収入源である魚が不漁で村はもっともっと貧しくなってしまいました。このままでは自分を引き取ってくれる家はないと思っていたニコライに、商人のイーサッキが目を付けました。イーサッキはニコライの作った木彫りの人形を見て自分の弟子にしたのです。

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  年月がたち、ニコライは大人になっていました。

 年をとったイーサッキは家をニコライに託し、本当の息子と旅立ってしまいました。一人ぼっちになったニコライはたくさんのクリスマスプレゼントを作って村の子供たち以外にも配ろうと計画しました。

 ですがトナカイが言うことを聞かなかったため、おばちゃんのアドバイスに沿って赤い服と赤い帽子をかぶることにしたのです。これがあの、サンタクロースの服です!

 実は、お父さんが出かける前にニコライに「クリスマスプレゼントか。ステキなアイデアだ」と言っていたのです。きっとニコライはお父さんがほめてくれたことをずっとやり続けて、渡せなかった妹へのプレゼントをずっと作り続けていたのでしょう。

 ニコライは最後、お父さんが渡してくれた時計と妹へのクリスマスプレゼントを残して消えてしまいました。しかし、今でもクリスマスプレゼントの文化は全世界に引き継がれているのでした。

 

 この映画めっちゃ良かったんですが、クリスマスプレゼントって本当にサプライズでもらう側が「これ下さい!」ってサンタさんにお願いするものじゃなかったんですね。小さなささやかな楽しみとして行われていたものが、現代では大分欲深いものになっている気がしました。皆、この映画を見て心を浄化しよう。人がくれたものをメルカリに出品してるなんてニコライが知ったら悲しむだろうな。

  自分ができることで、誰かに小さな贈り物をしようという考えが私的にはすごく尊いものだと感じました。渡すものは形あるものだけど、その中身っていうのは心に他ならないですよね。人に何かをあげる、という本質的な美しさに触れた気持ちになりました。