深夜図書

書評と映画評が主な雑記ブログ。不定期に23:30更新しています。独断と偏見、ネタバレ必至ですので、お気をつけ下さいまし。なお、ブログ内の人物名は敬称略となっております。

【映画】黒い家~理由なき殺人の証明・サイコパスに遭遇したときの対処法~

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≪内容≫

「この人間には心がない」 現代人の心の闇をえぐり出す 傑作リアル・サイコ・サスペンス!この恐怖体験、最期まで耐えられるか!? 若槻は保険の営業のため訪れた菰田重徳の家で子供が首を吊った状態で死亡しているのを発見してしまう。事件の疑いが濃厚な事案であったことに加え、菰田家には以前にも自傷とも疑われる不可解な保険金請求があったことから、若槻の会社では保険金の支払いを保留していたが重徳は執拗に支払いを求める。疑念を抱いた若槻は、一連の事件の首謀者を重徳と推測、妻の幸子に注意を促す匿名の手紙を送るのだが…。

 

 これ原作怖くて即売ったやつ・・・。

 貴志祐介さんにハマりだしたのは「黒い家」からだったけど、いかんせんまだうら若き乙女だった。まだ人間に対して希望があった・・・w

 これは断然原作が怖いです。映像の方が家の雰囲気とか怖いかな~と思ってみたのですが、原作の描写の文字を目で追ってる方が怖かったなぁ。でもその恐怖が癖になってハマっちゃったんだよなぁ・・・。ということで、ぜひこの映画を見て原作読んでみてください。

 

理由なき殺人の証明

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ね、

今までずっと心理学をやってきて私が学んだ一番大切なことって分かる?

人間は一人一人が全く違う複雑極まりない宇宙だということ

若槻さんは本当に人間らしい心を持たない人間がこの世に存在すると思う?

  主人公は生命保険会社の主任・若槻慎二。ある日、若槻がとった電話は「自殺でも保険金は支払われるのか?」という内容だった。電話の女は名乗らなかったため、顧客かどうかも分からない。しかし女が自ら自死を選び、保険金を家族に渡そうとしていると早合点した若槻は何とか思いとどまるように説得する。女は若槻の名前を聞いた後「ありがとう」と言って電話を切る。

 後日、顧客である菰田重徳が若槻を指名して自宅に来るようにと電話をかけてきた。若槻はそこで菰田重徳の息子・和也が首を吊っているのを目撃する。和也の死亡保険を申請してきた菰田家に不信感を抱いた若槻は独自に菰田家を調査していく。

 なかなかおりない保険に対し菰田重徳は毎日会社の窓口にやってきて若槻を呼び出し急かす。なんとか若槻がなだめ帰らせる。そんな繰り返しをしていたある日、菰田重徳の妻・菰田幸子が窓口に現れた

 

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はっきり言いましょう
あの男はあなたを殺す危険性があります

あんたの恋人あたしん家で
あんたが死ぬの待ってるよ 

  息子の保険金は本社の決定により支払われたが、その後菰田重徳の両腕の欠損事故に対する保険申請を幸子が行った。

 連続する菰田家の不幸に対していよいよ本社も動きだすことに。外交員を派遣し、事故が故意である場合保険金は支払われず保険は解約になると幸子に説明すると事態はさらに加速する。

 向かう先は菰田家の担当・若槻。自分を殺しても保険金は下りないから動機はないはずだと断言する若槻に対して、犯罪心理学の教授は「それは普通の人間の感覚で相手はサイコパスなのだ」と忠告をするのだった。

 その忠告通り、矛先は若槻に直接当てられるのではなく人間の良心を信じる恋人・恵へと向かったのだった。

 

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  私が今でもめちゃくちゃ怖かったシーンとして覚えているのが、ラストの若槻呼び出しシーンです。これ、優績者である高倉という女性部下に相談があるから何時にどこどこで!という誘いを若槻が電話で受けているのですが、この左側にいるのが幸子なんですね。

 で、これテレビ電話なのか知らないですけど、原作は電話越しにシャラシャラと刃物をさするような音がするんですよ。それで若槻は悟るんです。幸子が自分を殺しにやってきて、今電話をかけている高倉も電話を切ったら殺されることが。

 

 恋人の恵は、人間らしい心を持たない人間がこの世に存在しないと信じていたから、若槻が「いや存在するよ、毎日保険の窓口にいたらわかるよ」という返事に異論を唱えた。しかし、現実は若槻の「君はそういう人間に出会ったことがないからそんなことが言えるんだ」という言葉通りになる。

 かといって、若槻の「僕を殺したって保険金はおりないのだから・・・」という持論も執拗な幸子の殺意によって覆される。

 

 人は理由や因縁を探したい生き物である。なぜならそれさえ見つかれば自分を納得させられるから。なぜ納得させたいのかというと、人は理解できないことや現象、人間に恐怖を抱くからだ。その恐怖心から逃れるために人は必死に人を理解しようとする。自分のものさしで計ろうとし、計れなければ差別したり排他したりする。

 しかし、理由なき殺人はあるのだ。というか’ない’はあるものの中からしか生まれない。いつも’ある’と思っている人間が’ない’を作る。

黒い家

黒い家

 

  ラストの「乳しゃぶれぇえええええええ!」「へたくそぉ!」は圧巻。ここら辺サラっと流したくはないけど、掘り下げられるほどの知識がない。幸子は親から保険金欲しさに自分の手首を切られていたということから、性よりも先に死と出会っていたと仮定すると、死を感じて初めて性欲が沸き上がる・・・ということなのかもしれない。

 

 貴志さんって小説のあとの参考文献がやばいことになってるくらいものすっごい知識量から生み出してくれているので、ここら辺は貴志さんの意思なのか映画版なのか謎だけど根拠はありそうですよね。ユング心理学が出てくるし。

 

 余談ですが、私がもう一つ怖すぎてほっぽり出した本がこちら。

「残穢」に関しては映画一生見れる気がしない。

 大竹しのぶさんはいわずもがなすごすぎるけど、若槻役の内野聖陽さんも腰が引けてカックカクなのとか汗の量とかで見てるこっちが一緒に怖くなる。ちなみに映画に原作者の貴志さんも出ていることは知っていたが全然分からなかった。