≪内容≫
音を出すと“何か"に殺される荒廃した世界に、一組の家族がいた。
その“何か"は呼吸の音さえ逃さない。誰かが一瞬でも音を立てると、即死する。
手話を使い、裸足で歩き、静寂と共に暮らす一家だが、なんと妻は出産を目前に控えていた。
果たして彼らは、無事最後まで沈黙を貫けるのか ―?
これはホラー映画というより家族映画と言った方が合ってる気がします。確かに謎の怪物がいるのでホラーはホラーなんだけど、恐怖を楽しむというよりかは、家族は家族が守る、というのが近いと思います。
怖くはない。ただ、鑑賞中自分の呼吸もひそやかになりました・・・。be quiet・・・
※マジで呼吸が苦しくなってきたら深呼吸してください絶対に。すみやかに停止ボタンを押してからふかーく吸ってー吐いてーを繰り返してください。
英雄は生まれてくるのではなく、人が英雄になるのだ
全世界に突如現れたクリーチャーは音に反応した瞬間に人を殺すため、世界は混乱を極めた。大都市NYは閉鎖され上海では数十万人の死者、国際放送は日に日に繋がらない国が増えていく。謎の怪物の弱点は発見されておらず、SOS発信はどこにも届かない。ふだん頼りになる警察も自衛隊もこの作品では出てこない。
ひっそりと家族四人で暮らす一家の大黒柱である父親・リーは怪物の弱点を追求したり家族の命を守るための防衛線をはっていた。母親・イヴリンは音の出ない食べ物を作り、子供たちの世話とまもなく生まれる赤ん坊をそのお腹に宿していた。
生まれつき耳の聞こえない姉・リーガンは、自分が甘やかしてしまったために怪物に殺された弟への罪の意識を持っていた。一番近くにいたのに耳が聞こえないから弟が出した音に気付けなかったのだ。
弟のマーカスはリーガンが弟の死以来家族の中がぎくしゃくしているのを感じ、こっそりと父親にその旨を伝えるが、そのときイヴリンの出産が始まり、家族は総出で命をかけて母親と生まれてくる赤ん坊を守る戦いに向かう。
誰よりも家族を愛しながら弟の死に縛られている姉・リーガンは父親が自分を愛していないと思うようになる。父親の愛情もなんだか空々しいものに感じて渡された補聴器も素直に受け取れなかった。
しかし母親の窮地によって降り立った地下室にあったのは、改良のために作られたいくつもの補聴器だった。リーガンは父親の愛情に気付き、勇気を持って補聴器を手にする。
一方、新しい命が生まれて再度失った命を思い出した母親は、子を守れないなら自分たち親は一体なんなのだろうか?と父親に問う。
弟の死に縛られていたのはリーガンだけではなかったし、親にとっては誰ひとり失いたくない大切な子供たちなのだった。
そして今、母親と新たな命を救うために子供たちは外で身を潜めている。いつ怪物に襲われてもおかしくない状態だ。果たして家族の運命はいかに・・・?というのが本作のおおまかなあらすじである。
この映画、姉のリーガン役を演じたミリセント・シモンズは実際に聴覚障害があるのですが、このリーガンの、自分だけ怪物の恐ろしい悲鳴も大切な家族に降りかかるサインも聞くことができないという葛藤が本当に素晴らしいというか、こう・・・ホラー映画というよりすごく思いやりのある映画にさせたと思います。
自分のせいで末っ子が死に、しかも自分は戦いたくても戦力外通告を生まれつきくらったようなものです。必死に戦いたくても自分が戦うことで家族に迷惑がかかる・・・でも戦わなければ守ることはもちろんできない・・・。そんな苦しい葛藤の末のエンディングは感動しかありませんでした・・・。
出産で叫べないとか想像以上にキツイだろうに、子供がいたから頑張れたんだろうな・・・と思うとやはり母は強し、ですね。そして誰も大声で泣く赤ん坊の口に手をあてずに全員助かる道を探して突き進む。やっぱりアメリカ映画って希望があるんだよなぁ、と改めて思うのでした。